総コレステロール値やLDLコレステロール値が高いというのは心配ですけど、低いのも心配ですよね。血液検査の結果、コレステロール値が低すぎて「要観察」とか「要注意」なんていわれる方もいらっしゃいます。
先ごろ、厚生労働省では制限を設けていたコレステロールの摂取について、目標量を撤廃しています。
そんなこんなで、コレステロールは低い方がますます注意が必要！？ということなのでしょうか。
今回は、コレステロールが低い、ということについて解説していきます。。
この記事の目次
コレステロールが低いと病気になるの？
コレステロールは、私たちの健康を保つために大切な脂質のひとつですので、少な過ぎるのは、当然いいことではありません。
それは「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールも同じです。
LDLコレステロールには、必要としている細胞にコレステロールを届けるという重要な働きがあり、コレステロールは、細胞膜や神経の皮膜、胆汁、副腎皮質ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモン、ビタミンDなどの材料として使われる大切な成分です。
免疫力を保つコレステロール
コレステロールは免疫力にも深く関わっています。
免疫力を正常に保つためには、いろいろな条件が必要ですが、細胞を覆っている細胞膜がしっかりと働いている、ということがとても大切です。
すでに解説したように、コレステロールは細胞膜の重要な材料になっています。
細胞膜には次のような働きことがあります。
- 細胞を守る
- 外部とエネルギーや物質のやり取りをする
- 細胞間で情報のやりとりを行う
- 細胞同士がくっ付き過ぎないようにする
- 細胞を形作る
などです。
コレステロールが低いとガンになる？
免疫力の低下で心配になってくるのがガンですが、がんの中で、コレステロール数値が低いことが原因になると考えられているのは、 肝がんです。
その他のガンでは、今のところ因果関係は認められていませんが、胃ガンなどの進行にともなって、総コレステロール値が下がる、ということは言われています。
ちなみに、コレステロール値が高いことでリスクが高まると言われているのが、 前立腺がんです。コレステロールが低いと不妊になる！？
コレステロールは、男性ホルモンのアンドロゲンや、女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンなどのホルモンの材料でもあります。
不妊で悩んでいる方は、コレステロール値が低い傾向にある、と言われています。
コレステロールが低いとうつになりやすい！？
コレステロール値が低い場合、精神的に不安定になったり、攻撃的な言動が多くなったりすることがあると言われ、自殺率が高くなるという調査結果があります。
これには、幸せホルモンなどと呼ばれる「 セロトニン」が関係していると考えられています。
セロトニンとは、体がストレスを感じると、血小板から放出され、心の バランスをとるなどの働きがあると言われている、情報伝達物質のことです。
セロトニンがうまく作用するためには、細胞間の情報をやりとりする細胞膜の状態が良好でなければなりません。
うつ病の人は、セロトニンが不足しているとともに、細胞膜を作っているコレステロール値が低い傾向にあると言われています。
コレステロールを下げる原因は病気？
「LDLコレステロール」を下げる原因に、 甲状腺機能亢進症（こうじょうせんきのうこうしんしょう）があると言われています。
甲状腺機能亢進症という病気は、甲状腺内(のどにあります)の組織が異常に活動することにより、甲状腺ホルモンの分泌が増える病気です。
甲状腺ホルモンの分泌が増えると、 コレステロールが過剰に消費されてしまうのです。
甲状腺機能亢進症になると、次のような症状が出ると言われています。
- 汗が多く出る
- 胸がドキドキする
- 手がふるえる
- イライラする
- 体温が上昇する
などです。
コレステロールの減少は、肝臓の病気が原因？
肝硬変や肝炎などの肝臓の病気をわずらっていると、LDLコレステロールを体内で作る能力が下がってしまうと言われています。
コレステロールは食べ物からの摂取が、血中コレステロール全体の4分の1で、体内で合成されるのが、4分の3ほどあります。
健康な人の体では、食べ物からの摂取が減ると、体内で合成される分が増え、食べ物からのコレステロールの摂取が多いと体内で作られる量は減る、という具合にコレステロール値は一定になるように調整されるとされています。コレステロール値を上げる食べ物は？
コレステロールを多く含む食べ物には、次のようなものがあります。
- するめ・ホタルイカ・からすみ・たたみいわし・桜エビ・イクラ・ししゃも
- 卵
- 鶏レバー・豚レバー・牛レバー
などです。
コレステロール値の低い人は精密検査を
血液検査でコレステロール値が低く「精密検査が必要」というアドバイスを受けられた方は、まず検査をして、検査の結果を見てから食事指導などを受けられることをおすすめします。
精密検査などが必要でない場合も、特定の食べ物だけを食べるということがないようにしたいですね。
食事はバランスよくとることが健康を保つ上で、とても大切です。
まとめ
いかがでしたか。
コレステロール値が低いと、身体的、精神的の両面で思わしくない影響が出てしまいかねませんので、注意が必要ですね。
「モテホルモン」などと呼ばれている「テストステロン」というホルモンにもコレステロールが使われており、テストステロンの増加は、男性にとっても女性にとっても、活力をもたらすなどのいい効果があると言われています。
もちろん何でも、食べ過ぎる、ということはよくありませんが、動物由来の脂質であるコレステロールも、適量は取りたい成分ですね。
