体温が高くなる原因には、じつに様々なことがあります。
免疫細胞の異常行動かもしれませんし、自律神経の乱れかもしれませんし、感染症かもしれません。
また、新陳代謝がものすごく高くなっても、体温が高くなります。
今回は、体温が高い原因について解説していきます。
この記事の目次
体温が高い、原因はなに?
いつもより体温が高い、微熱が続いている、という原因には、次のようなことが考えられます。
- ウイルスや細菌に感染しことが原因で、からだが熱を出している
- 体温を高めるタイプのがんができた
- ストレスなどが原因で、免疫細胞が異常な行動に出た
- 新陳代謝がものすごく高くなった
- 貧血が、自律神経を乱れさせた
などです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
ウイルスや細菌に感染して体温が高い!?
ウイルスや細菌に感染すると、体温は高くなります。免疫システムが働いて、熱による攻撃をウイルスや細菌に仕掛けるからなのです。
風邪などでおなじみですよね。
体温が高い原因が、ウイルスである場合には、
- のどの痛みや咳(たん)、鼻水
などをともなうことが多いと言われています。
細菌に感染している場合には、
- 鼻やのど、耳に炎症が起きる
- 中耳炎(ちゅうじえん)、 扁桃腺炎(へんとうせんえん)、 細菌性副鼻腔炎(さいきんせいふくびくうえん)
などを発症していることが多いと言われています。
からだにガンができて体温が高い!?
「体温が高い」という症状がでるガンに、「悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)」があります。
「悪性リンパ腫」とは、リンパ系の組織にできるガンです。
リンパ系の組織には免疫機能があり、免疫細胞がガン細胞をリンパ節に運び、破壊しようとします。破壊できなかった場合は、リンパ節にがん細胞がたまるので、リンパ節が腫れたりします。
「悪性リンパ腫」の初期症状は、37℃前後の微熱、体重の減少、ひどい寝汗、貧血などがあると言われています。
免疫機能が乱れて体温が高い!?
免疫機能では本来、免疫細胞は外敵を攻撃するために働きます。
ですが何らかの理由で、免疫細胞が私たちのからだを攻撃してしまうことがあります。それを「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」と言い、その 結果体温が高くなることがあります。
免疫細胞が異常な行動をおこす原因には、ストレスが大きくかかわっていると言われています。
自己免疫疾患は、発生する場所によって色んな病気があり、さまざまな症状がでます。
「自己免疫疾患」は「膠原病(こうげんびょう)」とも呼ばれており、次のようなものがあります。
- 関節に症状がでる、リウマチ、
- 血管に症状がでる、川崎病や過敏性血管炎
- 唾液腺(だえきせん)や涙腺(るいせん)に症状がでる、シェーグレン症候群
- 皮膚に症状がでる、全身性硬化症(ぜんしんせいこうかしょう)、皮膚筋炎(ひふきんえん)
- 筋肉に症状がでる、多発性筋炎(たはつせいきんえん)
- 消化管に症状がでる、クローン病、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
- 肝臓や胆管に症状がでる、原発性胆汁性肝硬変(げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん)
- 粘膜に症状がでる、ベーチェット病
膠原病についてはこちらで、くわしく解説していますので、参考にしていただければと思います。
代謝が異常に高くなって体温が高い!?
私たちの喉には、ホルモンを分泌する小さな臓器「甲状腺(こうじょうせん)」があります。
甲状腺は、細胞の代謝を促すための「甲状腺ホルモン」を分泌しています。
甲状腺に関係して体温が高くなってしまうのは、甲状腺が多量のホルモンを分泌させて、全身の代謝を高めたことが原因です。これを甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)といいます。
甲状腺機能亢進症になると、汗がたくさん出たり、食欲がすごく出たりすることがあります。
また逆に、食欲がでなくなったり、動悸(どうき)がしたり、手足の震え、イライラ、排便回数の増加などがみられることもあると言われています。
甲状腺機能亢進症を発症する原因に、遺伝的要因が関係していることが多い、と言われています。
鉄欠乏性貧血で体温が高い!?
体温が高い女性に多くみられるのが、鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)です。
鉄欠乏性貧血は、鉄分が不足していることが原因で、鉄を材料として作られるヘモグロビンの数が少なくなります。
ヘモグロビンは、血液の中にあって、酸素を運ぶ大切な働きがあります。ヘモグロビンの数が減ってしまうと、体のあちこちで酸素不足による不調が起きてしまうのです。
体温の調整を行っている自律神経も働きが悪くなり、体温が高くなってしまう、というわけです。
鉄欠乏性貧血の原因に、女性の生理があります。また、もともと、 鉄分の吸収効率が悪い体質の人もいらっしゃいます。
男性でも痔や潰瘍(かいよう)などを患っている人では、鉄が不足しやすいと言われています。
鉄欠乏性貧血の症状は、体温が高いというほかに、めまい、疲れやすい、顔色が悪い、動悸(どうき)がするといったこともあります。
自律神経を乱れされる原因は貧血だけではありません
体温の調整を行っている自律神経を乱れさせるのは、貧血だけではありません。
特に女性は、生理や妊娠、加齢などが原因でホルモンの分泌量が変わりやすいので、それにともなって、自律神経も乱れやすいと言われています。
また、ストレスの多い男性・女性においても自律神経は乱れやすいと考えられています。
体温が高いって何度のこと?
体温が高い、といっても、個人の普段の熱の温度に違いがありますので、「何度」ということは言いにくいものがあります。年齢によってもかなりの違いがあります。
生まれてすぐの赤ちゃんでは 37.2℃~37.4℃が平熱です。1歳の誕生日を迎える前くらいまで、37.5℃くらいある赤ちゃんもいると言われています。
大人でも、平熱が37℃前後の人がいますよね。
高齢者は体温が低い!?
80歳をこえると、朝の寝起き時の体温が、35℃~35.9℃になることもありますので、37℃になれば体温が高い、ということになるでしょう。
気になる時は早めの受診がおすすめです
なんとなく体温が高い気がする、というのは体からのサインにきちんと気が付いているということかもしれません。
自分の体ですから、ちょっとした変化にも気づきますよね。
ですが、忙しすぎて疲れすぎたせいで、自分の体の変化に気がついていなかった、なんていうこともあります。
気になる時は、何はともあれ医療機関を受診されることをおすすめします。
女性は妊娠の可能性も!
女性の場合は、妊娠なども考えられます。自己判断で安易に解熱剤などを服用しないように、十分注意が必要ですね。
まとめ
今回は、体温が高いというときに考えられる、病気などについてみてきました。
色んなことが原因で体温は高くなります。
- ウイルスや細菌の侵入
- リンパ節にできたガン
- 膠原病とも呼ばれる様々な自己免疫疾患
- 甲状腺の機能が激しくなって起こる甲状腺機能亢進症
- 鉄不足による貧血
- 自律神経の乱れ
などです。
体温を定期的に測っておくことも大切ですね(^^)