「収める」と 「納める」と 「治める」と 「修める」は、全部「おさめる」と読みます。
4つも同じ読み方をする漢字があって、しかも意味も近いですよね。
使うときに迷わない方がおかしい、とさえ思ってしまいます。
今回は、この「収める」と 「納める」と 「治める」と 「修める」の 意味の違いや使い方について、ご説明します。
「収まる」「納まる」「治まる」「修まる」も一緒に見ていきましょう。
この記事の目次
「収める」「納める」「治める」「修める」の違いってなに?
まずは、それぞれの意味と使い方の例を見てみましょう。
「収める」「収まる」の意味は?
「収める」「収まる」には、次のような意味があります。
- 一か所にまとめ入れる
- 手に入れる
- 解決する
- 良い結果を得る
使い方の例を見てみましょう。
- 金庫に売上金を収める
- 箱に荷物を収める
- 手中に収める
- 懐に収める
- 全集に収める
- 目録に収める
- テープに収める
- 利益を収める
- 勝利を収める
- 成功を収める
- 権力を一手に収める
- 博物館に収まる
- 争いが収まる
- 枠内に収まる
などです。
「納める」「納まる」の意味は?
次は「納める」「納まる」の意味です。
- きちんとあるべきところに入れる
- 終わりにする
例を見てみましょう。
- 税金を納める
- 会費を納める
- 注文の品を納める
- 刀をさやに納める
- 遺体を棺に納める
- 胸に納める
- 歌い納め
- 仕事納め
- 見納め
- 社長の椅子に納まる
- 元のさやに納まる
- 国庫に税が納まる
などです。
「治める」「治まる」の意味は?
「治める」「治まる」の意味は、
- 問題のない状態にする
- 統治する(まとめおさめること)
です。
例を見てみましょう。
- 国を治める
- 乱世を治める
- 痛みを治める
- 天下が治まる
- 咳が治まる
「修める」「修まる」の意味
「修める」「修まる」には、
- 身につける
という意味があります。
例を見てみましょう。
- 学業を修める
- 技を修める
- 身を修める
- フランス語を修める
これは目安です
「収める」と「納める」と「治める」と「修める」の使い方の例をご紹介しましたが、厳密にこうでなけらばならない、というものではありません。
解釈の仕方により、いろんな意味にとれる、というものもありますし、文脈によっても変わってくることがあるからです。
たとえば、 「丸くおさまる」といった場合、
「収まる」の意味にある、 『解決する』、という意味にとれたり、
「治まる」の意味である、 『問題のない状態にする』という意味にとれることもあります。
また、「腹(はら)の虫がおさまる」といった場合には、
『解決する』の「収まる」とすることができますし、
『問題のない状態にする』の「治まる」とすることもできますし、
『終わりにする』の「納まる」にすることもできる、というわけなのです。
熟語を手掛かりに
「収める」と「納める」と「治める」と「修める」の使い分けに迷ったら、熟語を思い出してみるといいかもしれません。
「収める」の意味は、『一か所にまとめ入れる』『手に入れる』『解決する』『良い結果を得る』という意味でしたね。
「収」を使った熟語には、
- 収束(しゅうそく)
- 収拾(しゅうしゅう)
- 収集(しゅうしゅう)
- 収録(しゅうろく)
などがあります。
「納める」の意味は、『きちんとあるべきところに入れる』『終わりにする』という意味でしたね。
「納」を使った熟語には、
- 納入(のうにゅう)
- 納付(のうふ)
- 納税(のうぜい)
- 奉納(ほうのぅ)
などがあります。
「治める」には、『問題のない状態にする』『統治する』という意味があります。
「治」を使った熟語には、
- 政治(せいじ)
- 治安(ちあん)
- 治療(ちりょう)
などがあります。
「修める」の意味は、『身につける』という意味で、
「修」を使った熟語には、
- 修学(しゅうがく)
- 修業(しゅぎょう)
- 修士(しゅうし)
- 修飾(しゅうしょく)
などがあります。
熟語を先に思い出すことで、使い分けしやすいこともあるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
「収める」と「納める」と「治める」と「修める」の違いは結構むつかしいですよね。
特に違いが難しいと思われる「収める」と「納める」の違いを、 自分が手に入れるのか、先方に入れおさめるのか、という風にざっくり認識しておくのも、いいかもしれません。