咳(せき)が止まらないという原因には、様々な病気があって、咳がどんな時にでて、どんな咳なのか、などによって考えられることが異なります。
咳以外に、どんな症状が出ているのか、ということを観察することも大切です。
今回は、咳が止まらない原因などについて解説していきます。
何科の病院を受診すればいいのかも、参考にしていただければと思います。
この記事の目次
咳が止まらない!原因は?
あなたの咳や最近の体調は、どんな様子ですか。咳の状態によって考えれれる病気などを解説していきます。
- 乾いた咳がでる
- 特定の季節に咳が悪化する
- 咳とともに黄色い膿状(うみじょう)の痰(たん)が出る
- 咳とともに透明、または白っぽい痰が出る
- 咳とともに悪臭がして大量の膿状の痰が出る
- 運動すると息切れがする
- 嗄声(させい:かすれ声)をともない咳が止まらない
- 夜や早朝に喉にヒリヒリした痛みがある
- いつも口臭があるように感じる
- 鼻のまわりや額に痛みがある
- 睡眠時に窒息感や息切れ感で目が覚めることがある
- 喉の奥に分泌物を感じる
- 運動中や運動後に咳が悪化する
- 横になると咳が悪化する
- 夜になると咳が悪化する
- 姿勢を変えると咳が悪化する
- 市販の抗ヒスタミン薬を飲めば咳が改善する
- 熱が出て咳が止まらない
乾いた咳が止まらない
乾いた感じの咳が出る場合には、次のような病気が考えられます。(かっこ内は、参考にしていただければと思います。)
- ウイルス感染後咳嗽(かんせんごがいそう) (耳鼻咽喉科、内科)
- 間質性肺疾患(かんしつせいはいしっかん) (内科、呼吸器科)
- GERD(胃食道逆流症) (内科や胃腸科)
ウイルス感染後咳嗽(かんせんごがいそう)ってなに?
ウイルスや細菌に感染した後に咳がなかなか止まらない、というのが「ウイルス感染後咳嗽(がいそう)」です。インフルエンザウイルスなどが原因になることがありますが、最近では、百日咳(ひゃくにちぜき)によるものも増えていると言われています。
間質性肺疾患(かんしつせいはいしっかん)
肺のまわりにある血管や神経、線維などが損傷するために、乾いた感じの咳が止まらない、という症状がでるのが間質性肺疾患です。息切れや微熱といった症状をともなうこともあります。
GERD(胃食道逆流症)
胃酸の逆流が刺激となっておこる疾患がGERD(胃食道逆流症)で、咳が出るほかに、夜、横になると咳が悪化する、喉にヒリヒリした痛みがある、胸やけや口に酸味を感じる、などの症状がでることがあります。
GERD(胃食道逆流症)についてはこちらで詳しく解説しています。
時間とともに悪化している
時間とともに咳が悪化している、と感じる場合には、
- 気管支炎(きかんしえん) (耳鼻咽喉科、内科)
- 気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう) (耳鼻咽喉科、内科)
- 肺炎、肺結核、肺がん (呼吸器科、内科)
- 喘息(ぜんそく) (呼吸器科)
- うっ血性心不全(うっけつせいしんふぜん) (内科、循環器科)
などが考えられます。
気管支炎(きかんしえん)
図にあるように、肺と気管支をつないでいる気管支に、炎症が起きるものが気管支炎です。
気管支炎では、咳が止まらない、ということのほかに、黄色い膿状または、透明か白っぽい痰(たん)が出ることがあります。
慢性の気管支炎の場合は、寝ている間に痰がたまるので、午前中によく咳がでたり、横になると咳が悪化しやすい、と言われています。
気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)
気管支が感染することで慢性的に炎症を起こし、気管支が広くなったり、傷ついたりするのが、気管支拡張症です。
悪臭のする膿状の痰がでたり、姿勢を変えたときや横になったとき、または午前中に咳が多く出ると言われています。
肺炎・肺結核・肺がん
咳とともに微熱がある場合は、肺炎や肺結核の疑いがあります。さらに、一日中咳が止まらない、といった場合には肺がんの初期、ということも考えられます。
肺炎や肺結核の症状として、黄色い膿状の痰がでたり、悪臭がすることもあると言われています。
喘息(ぜんそく)
喘息は、気管支に慢性的に炎症が起きているために、咳がでやすく、運動中や運動後に咳が悪化する、という特徴があります。
咳とともに透明または白っぽい痰が出ることもあります。
喘息についてはこちらで詳しく解説しています。
うっ血性心不全
うっ血性心不全の症状は、咳が止まらない、というほかには、睡眠時に窒息感や息切れ感で目が覚める、運動すると息切れがする、痰がでる、などがあります。
うっ血性心不全については、こちらでも詳しく解説しています。
特定の季節に咳が悪化する
咳が季節的なものだと感じる場合に考えられるものに、アレルギー性鼻炎があります。(耳鼻咽喉科)
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、「花粉症」などにみられる、アレルギーを起こす特定物質によって引き起こされる鼻炎です。
運動中や運動後に咳が悪化したり、市販の抗ヒスタミン薬の服用で改善する、喉の奥に粘液が落ちてくる感じがするという症状があります。
夜や早朝に、喉にヒリヒリした痛みがある場合は、口呼吸によるアレルギー性鼻炎ということも考えられます。
膿(うみ)状の痰(たん)が出る
膿状の痰が出る場合に考えられる疾患には、
- 副鼻腔炎(ふくびくうえん) (耳鼻咽喉科)
- 上気道咳嗽症候群(じょうきどうがいそうしょうこうぐん) (耳鼻咽喉科)
と先ほどの気管支炎、などがあります。
副鼻腔炎(ふくびくうえん)
鼻の奥には8つの大小さまざまな空洞(副鼻腔)があり、ここが炎症を起こすことを副鼻腔炎といいます。副鼻腔炎は咳が止まらない、膿状の痰がでる、ということのほかに、喉の奥に分泌物を感じることがあります。
副鼻腔炎が慢性になると、口臭がしたり、頬や額に痛みがある、という症状が出ることもあります。
COPD(chronic obstructive pulmonary disease)
COPDとは、生活習慣病の一つで、喫煙者に多く見られる喉や肺の疾患のことです。COPDは、慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)とも言い、気管支炎が慢性的になってしまった状態のものや、肺にあるたくさんの肺胞(はいほう)という袋が十分に機能しなくなった状態のことです。
COPDでは、咳が止まらない、膿状の痰、透明または白っぽい痰が出るほかに、運動すると息切れがする、睡眠時に窒息感や息切れ感で目が覚める、といったこともあります。
上気道咳嗽症候群
上気道咳嗽症候群(じょうきどうがいそうしょうこうぐん)とは、副鼻腔炎をきっかけに喉が刺激を受けて咳が止まらない、という症状がでることで、膿状の痰がでるほかに、喉の奥に分泌物を感じる、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼーヒューヒュー)がでる、などの症状がみられることがあります。
上気道咳嗽症候群についてはこちらで詳しく解説しています。
悪臭のある大量の膿状の痰がでる
悪臭がして大量の膿状の痰がでるものに、
- 肺膿瘍(はいのうよう) (呼吸器科、内科)
と、先ほどの気管支拡張症、肺炎などがあります。
肺膿瘍(はいのうよう)
肺膿瘍とは、肺に膿がたまる病気です。肺に炎症が起きたことで肺の一部が破壊され、空洞ができ、膿がたまります。
重度の飲酒や糖尿病、免疫力の低下、誤嚥(ごえん:気管に食べ物や胃液が入ってしまうこと)を繰り返すことなどが原因と言われています。
嗄声(させい)をともない咳が止まらない
嗄声とは、かすれた声とか、しわがれ声といわれるもので、 嗄声がでて、咳が止まらないというものに、
- 慢性咽頭炎 (耳鼻咽喉科)
- 声帯結節、声帯ポリープ、(耳鼻咽喉科)
先ほどのGERD、上気道咳嗽症候群などが考えられます。
慢性咽頭炎(まんせいいんとうえん)
慢性咽頭炎とは、慢性的に喉の粘膜やリンパ組織が炎症を起こしているものです。
慢性咽頭炎の原因には、飲酒や喫煙、大気汚染、アレルギー、胃酸などいろいろあります。
声帯結節(せいたいけっせつ)・声帯ポリープ
声帯とは、肺からの空気を音に変換するための器官です。大きな声で叫んだり、喫煙などが原因で損傷し、良性の腫瘤(しゅりゅう:まめのようなもの)がおもに片側にできることを声帯ポリープといい、おもに両側にでる炎症を声帯結節といいます。
声帯ポリープや声帯結節では、咳が止まらない、嗄声、というほかに、喉の違和感、異物感、乾燥などの症状が出ることがあります。
睡眠時に窒息感や息切れ感で目が覚める
咳が止まらないという症状のほかに、寝ているときに息苦しかったり、息切れがして目が覚める、という場合には、
- 閉塞性睡眠時無呼吸 (耳鼻咽喉科)
GERD、COPD、うっ血性心不全などが考えられます。
閉塞型睡眠時無呼吸
閉塞型睡眠時無呼吸(へいそくがたすいみんじむこきゅう)とは、睡眠時無呼吸症候群のひとつで、80%はこの閉塞型と言われています。喉のまわりにある扁桃(へんとう)が大きかったり、肥満、飲酒、上を向いて寝るなどが原因で、息を吸ったときに気道が閉まりやすくなってしまうために起こります。
咽頭炎などを起こして、咳が出ることがあります。
そのほかの咳の原因
そのほかに、咳が止まらない原因として、薬によるもの、家のカビやホコリによるものがあります。
ACE阻害薬誘発性咳嗽(そがいやくゆうはつせいがいぞう)
高血圧の薬であるACE阻害薬(そがいやく)によっておこる咳もあり、 ACE阻害薬誘発性咳嗽(そがいやくゆうはつせいがいぞう)と言います。女性に多くみられ、服用開始後、数カ月を得て発症することもあります。
服用患者の5~30%に生じ、通常は1~4日で改善するといわれています。
家庭内のカビ
家庭内に浮遊しているカビが原因で咳が出ることがあります。
寝たときに出るのであれば、寝室のチリやホコリということも考えられます。
まとめ
咳が止まらない原因や、咳以外の症状を見てきましたが、いかがでしたか。咳がでる原因はたくさんあり、咳は 体の中に生じた異変をなんとか吐き出そうとしているために起こっています。
吐き出してあとはすっきり、となればいいのですが、何日も続いたり、微熱が出ている、胸のあたりがなんかへんだと感じたときはもちろん、そうでない場合も、なるべく早く医師の診察を受けられることをおすすめします。
咳が出ると苦しいですし、睡眠が妨げられることもあります。
ストレスが引き金になって、各器官を緊張させて起こっている、ということも考えられますので、今一度、体のことを見直してみてくださいね。
お酒やタバコはほどほどにして、休養をとることも大切ですね ^^)