喉(のど)が痛いと思って口の中をみたら、なんかすごく腫れてる!ということってありますよね。これがいわゆる扁桃腺が腫れてる、と言われるものですが、とても痛く、食べ物や飲み物はおろか、つばが口の中でたまってしまい、それを飲み込むのがつらいということもあります。
また、扁桃腺は腫れているのに痛みがない、ということもあり、扁桃腺に関係する病気には色々なものがあります。
扁桃腺はどうして腫れてしまうのでしょうか。また、治し方や対策はないのでしょうか。
今回は、扁桃腺の腫れについて解説していきます。
この記事の目次
扁桃腺が腫れるってどういうこと?
私たちの体は、外敵から身を守るためのシステムが数多くありますが、 扁桃腺もその一つです。扁桃腺が赤く腫れているときは、喉に入ってきた細菌やウイルスと扁桃腺が戦っているときです。
一般的に「扁桃腺が腫れた。」という場合は、扁桃腺の一つで、喉(のど)ぼとけの両側にある 口蓋扁桃(こうがいへんとう)が腫れたことを言います。
喉には扁桃腺がいっぱい
喉は外敵の侵入経路でもありますから、扁桃腺は喉の上にも横にも下にも斜めにも、喉をぐるりと囲むようにいくつもあります。喉の上にあるのが「 アデノイド」、別名「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」です。喉のことを「咽頭」と呼ぶので咽頭扁桃です。扁桃は舌にもありますし(舌扁桃:ぜつへんとう)、耳の穴と鼻の奥、喉をつなぐ耳管(じかん)と呼ばれる細いくだのまわりにもあって、外敵の侵入に備えています。
喉の上にあるアデノイドは、3歳から小学校に行くくらいまでが一番大きくなると言われていて、小学校に入ったころから、だんだん小さくなっていき、中学校に行くまでにはなくなります。
アデノイドが大きいと、大きないびきをかくことがあり、鼻の通りが悪くなったり、鼻づまりを起こしやすくなります。 風邪をひくと、アデノイドがさらに大きくなるので、子供にとっては苦しいことですし、 中耳炎を引き起こす原因にもなります。
そういう子供さんは、風邪をひいたら、耳鼻科の受診もされるといいでしょう。
扁桃が、外敵の侵入に備えてくれるのはいいのですが、赤くなったり腫れたりすることで、私たちは痛みを感じたり、不快な気分になったりします。症状が長引くと、耳や鼻にまで、害が及ぶこともあります。
扁桃腺を取る手術!?
こんな場合は、扁桃腺を取る手術が行われる場合もあります。
- 扁桃腺を年に何回も腫らして、薬がきかなくなる
- 寝ているときに無呼吸に陥ることがある
- 喉の痛みがいつまでも取れない
- ものを飲み込むことが困難になっている
- 腫れた扁桃腺のまわりにひどい膿(うみ)ができている
- 骨が破壊されるほどの中耳炎を引き起こしてる
- ほかの重大な病気を引き起こす恐れがある
などです。
扁桃腺が腫れる病気
扁桃腺が腫れる病気には、次のようなものがあります。
- 急性口蓋扁桃炎(きゅうせいこうがいへんとうえん)
- 扁桃周囲炎(へんとうしゅういえん)、または扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)
- 伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)
- 悪性リンパ腫
などです。
それぞれについて、見ていきましょう
急性口蓋扁桃炎(きゅうせいこうがいへんとうえん)
急性口蓋扁桃炎は、細菌やウイルスが原因で口蓋扁桃が炎症をおこし、腫れる病気です。
急性口蓋扁桃炎の症状
急性口蓋扁桃炎の症状には、扁桃腺が腫れるほかに、喉の痛み、うみ、発熱、頭痛、全身倦怠(だるさ、疲れ)、鼻水、咳(せき)、食欲不振などがあります。また、耳に異常が起きていなくても、 耳に痛みを感じる、ということもあります。
扁桃炎を引き起こしやすいのは、過労などで免疫力が落ちているとき、気候の変動があるとき、などが考えられています。
扁桃周囲炎(へんとうしゅういえん)、扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)
急性の口蓋扁桃炎に続き、発症することがあるのが、 扁桃周囲炎(へんとうしゅういえん)、または 扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)と呼ばれる病気で、通常、 片方の扁桃腺に膿瘍(のうよう:うみがたまること)ができます。
扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍の症状
扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍の症状には、扁桃腺が腫れるほかに、喉の痛み、ものを飲み込むときの激しい痛み、口を開くのもつらい、などの症状がでて、食べることや話すことが困難になることもあります。
伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)
エプスタイン‐バーというウイルス(EBウイルス)に感染したことで起こる病気が、 伝染性単核球症です。若い人に多く、 唾液感染で発症すると考えられています。
伝染性単核球症の症状
伝染性単核球症では、口蓋扁桃が赤く腫れて、発熱し、喉の痛み、首などのリンパ節の腫れ、膿のかたまりができる、などがあります。また、肝臓や脾臓が腫れて、お腹が圧迫され痛くなることもあります。
悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)
悪性の腫瘍(しゅよう)ができたときにも、扁桃腺が腫れることがあります。
悪性リンパ腫
腫瘍は通常片方にでき、発熱、寝汗、体重減少などの症状が現れます。 同じ側の首が腫れている場合は、特に要注意です。
ドライマウスに要注意
扁桃腺に炎症をおこす原因には、ドライマウスもあると言われています。ドライマウスは、口の中やのどにとって、とても悪い状態なのです。
寝ているときに口を開けていると、口の中がカラカラに乾いて、苦しくなって、目が覚めることもありますが、口を開けていると、外敵が入ってきやすいうえに、唾液という殺菌作用のあるものがない状態のところで、菌が繁殖しやすくなるのです。
オーラルケアって何?
最近注目されているのが、オーラルケアです。具体的には、寝る前に透明のゼリーを塗ることで、乾燥状態を防ごうというものなのです。寝ているときに苦しくて目を覚ますかたや、喉を傷めやすい方は一度確認してみられるのもいいかもしれませんね。
まとめ
扁桃腺が腫れるという症状に関係する病気などを見てきましたが、いかがですか。体がとても元気な時は、少しくらい腫れてもすぐに治ったりしますが、長引いたり、痛みがひどかったりすると心配ですよね。
扁桃腺が腫れたときは、なるべく休養をとって、安静にしておくことをおすすめします。また、ご紹介したように原因にもいろいろありますし、感染した細菌の種類によっては、人にうつるものもあります。なるべく早く医師の診察を受けられることも大切ですね。
飲酒や喫煙が過ぎると、喉を傷めてしまいやすいので注意してくださいね。
子供になるべく風邪をひかせないために、手洗いうがいはきちんとさせたいですね ^^)