私たちはストレスの多い社会で生きていますので、何もしなければ日に日にセロトニンの分泌量が減少していくと言われています。
ですが逆に、セロトニン神経を刺激する生活を続けていれば、セロトニン神経は構造を変化させ、より多くのセロトニンを分泌するようになるとも言われています。
今回は、セロトニンを増やす食べ物や様々な方法について解説していきます。
セロトニンが、どんな時に減ってしまうのかを知っておくことも大切ですね。
この記事の目次
セロトニンを増やす方法とは?
セロトニンを増やすには、次のような方法があります。
- セロトニンの原料・補酵素となる食べ物を食べる
- セロトニンを脳へ運ぶ食べ物を食べる
- 腸内環境を整える
- 「セロトニンが増える運動」をする
- 筋トレでセロトニンの合成をスムーズにする
- 前頭前野を鍛える
- スキンシップを多くする
- セロトニン神経のスイッチとなる朝日をあびる
- セロトニンを増やす薬を服用する
などです。
セロトニンは、セロトニン神経を移動する神経伝達物質です。セロトニンの分泌が正常に行われることで、精神が安定し、眠りにつくことができるとされています。
セロトニン神経を活性化させると
セロトニンは不足することで、うつ病を発症することが知られていますが、セロトニン神経への刺激を続ければ、セロトニン神経が活性化され、セロトニンの分泌量を増やすことができるようになるとされています。
セロトニン神経には、セロトニンの分泌量を調整する機能があり、多く分泌された後は、少し分泌を減らしたりします。
ですが、繰り返し繰り返しセロトニン神経を刺激することによって、セロトニン神経の調整機能をゆるませ、セロトニン分泌量を上げることができる、というわけなのです。
それでは、セロトニンを増やす方法について、くわしく見ていきましょう。
セロトニンの原料となる食べ物ってなに?
セロトニンは体内で合成されるのですが、合成に必要な原料は、食べて摂りいれなければなりません。
セロトニンの原料は、食品のたんぱく質に含まれている「トリプトファン」という必須アミノ酸です。
トリプトファンを多く含む食べ物には、次のようなものがあります。
アボカド、バナナ
アーモンド、ひまわりの種 、ゴマ、ナッツ、くるみ
たまご
牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品
カツオ節、タラコ、スジコ、明太子などの魚の卵
豆腐、納豆、凍り豆腐、味噌、醤油、枝豆、豆乳、きなこなどの大豆製品
などです。
セロトニンの補酵素となる食べ物ってなに?
セロトニンの合成にはさらに、ビタミンB6やマグネシウム、亜鉛などの補酵素が必要です。
ビタミンB6を多く含む食品は
にんにく、唐辛子
マグロ、カツオ
レバーなどです。
マグネシウムを多く含む食品は
青のり、わかめ、ひじき、昆布
干しエビ
などです。
亜鉛を多く含む食品は
牡蠣
牛肉、豚レバー
などです。
セロトニンを脳へ運ぶ食べ物ってなに?
セロトニンの原料となるトリプトファンや補酵素を摂り入れただけでは実はだめで、それを脳に届けるためには、炭水化物が必要だと言われています。
炭水化物を含む食品には、次のようなものがあります。
ご飯、麺類、パンなどの穀類
芋類
果物
などです。
セロトニンの合成に、ナイアシンが必要なわけ
ナイアシンはビタミンB群の仲間で、不足していると優先して合成が行われる成分です。
セロトニンの原料となるトリプトファンを脳内に取り込めても、ナイアシンが不足していると、セロトニンの合成が後回しにされてしまうというわけなのです。
ナイアシンを多く含む食品は
魚介類や肉類などです。
セロトニンの合成に、腸内環境が大切なわけは?
脳で正常にセロトニンが作られるためには、腸内環境が大切なカギを握る、ということがわかってきました。
セロトニンになるための前段階の物質が、腸の有用菌(善玉菌)によって腸で作られるからです。また、腸でつくられた前段階の物質を、脳に運ぶ働きのある有用菌があることもわかってきました。
ちなみに、からだ全体の90%のセロトニンは腸にあり、脳には2%、残りの8%が血管にあるとされています。
腸内環境を整えて、セロトニンを増やす!
腸内に有用菌を増やし、腸内環境を整えるためには、有用菌のエサとなる食物繊維や、有用菌を増やす効果のある発酵食品などの摂取がいいと言われています。
ぬか漬け、納豆、味噌汁などの乳酸菌を含む発酵食品の摂取が、日本人の腸の調子を整える効果的な食べ物だと言われています。
ヨーグルトで便通がよくなる、という方はヨーグルトでもいいですね。
食物繊維を多く含む食べ物は、こちらで解説しています。
淡々と続けられる運動でセロトニンを増やす!
何も考える必要がなく、淡々と続けられて、一定のリズムにのってできる運動に、セロトニンを増やす効果があると言われています。
ウォーキングやフラダンス、ジョギング、スクワットなどの運動で、腹式呼吸や読経、写経、ゆったりとした音楽をきくことなどもいいとされています。
運動する際のポイントは、からだの動きや感覚、呼吸などに意識を向けて、なるべく思考を働かせないことです。
運動を始めて5分くらいすると、セロトニンが分泌を始めると言われており、長く続ける必要はありません。
好きなことに没頭したり、我を忘れて創造にふける、などもセロトニンを増やす効果があります。
筋トレでセロトニンを増やす
筋トレには、セロトニンの原料であるトリプトファンの移動を容易にする、という効果があると言われています。
筋肉が作られるときに、アミノ酸が使われるのですが、血液中のアミノ酸が使われて減ることで、トリプトファンの移動がしやすくなると考えられているのです。
筋肉を活発に動かす筋トレもいいですし、ストレッチやウォーキングなどの有酸素運動でも効果があります。
運動するときは疲れない程度にすることが大切で、疲れるとセロトニンの分泌量が減ってしまうと言われています。
ストレッチのやり方はこちらでいろいろとご紹介しています。良かったら参考にしてくださいね。
前頭前野を鍛えてセロトニンを増やす
おでこのあたりにある前頭前野という脳の部分は、活性化させることで、やる気がでたり、人の気持ちに共感できる能力や創造力、集中力などが高められたりすると言われています。
つまり、前頭前野を活性化させることで、セロトニンを減らす原因になっているストレスに強くなるということなのです。
泣くと自律神経が整えられる!?
ドラマや映画を観て泣く、ということも前頭前野を活発にする効果があるということが、脳内の血流を調べる実験結果からわかっています。
泣くことによって、副交感神経が優位になるとも言われています。セロトニンを減らす原因になっているストレスは、交感神経が働き過ぎる、または副交感神経の働きが低下していることでも生じます。
泣くことで副交感神経を活性化させれば、自律神経のバランスを整えることにつながる、というわけです。
副交感神経を活性化させるものはほかに、睡眠や食事などです。
食事は味わって食べること、噛むことに集中すること、たくさん噛むことなどを実践することで、「淡々と行うリズム運動」にもなりますので、意識して行うといいでしょう。
「自律神経を整える13の方法とは」
スキンシップがセロトニンを増やす
親しい人とのスキンシップや心のふれあいが多いほど、セロトニン神経が活発になるとも言われています。
忙しい毎日の生活に追われて、大切なことを見失ってしまわないようにしたいですね。
子供に1日1回はハグをしてあげたり、頭をなでてあげたり、人と話をするときにはお互いの目をしっかり見て笑顔で話をする、ということなどがおすすめです。
セロトニン神経のスイッチとなる朝日をあびる
朝日を体に浴びることによって、寝ている間に小休止していたセロトニン神経が活性化するとされています。
セロトニンにはまた、適度に交感神経を興奮させる作用がありますので、目覚めをよくする効果もあります。
最近は紫外線の害が心配ですので、直射日光はさけて、窓越しやレースのカーテン越しに朝日を感じるといいでしょう。
セロトニンが増えるのはいつから?
セロトニンは「一度にたくさん作って、ためておく」ということができませんし、一度活性化されたセロトニン神経でも、日々のストレスにより減少してしまいます。
ストレスはセロトニン神経のある視床下部の縫線核(ほうせんかく)という場所に刺激を与え、セロトニンの分泌量を減らしてしまうのです。
このような状況でセロトニンを増やすには、コツコツと続けることが大切で、腹式呼吸などは気が付いたときにいつでもする、というくらいが効果的です。
セロトニン神経が活性化されて効果があらわれるのは、3か月くらいしてからだと言われています。
また、セロトニン神経が活性化される過程で、一時的にからだの調子を崩すこともあると言われています。
あせらず続けることが大切ですね。
セロトニンを増やす薬ってあるの?
セロトニンはすでに述べたように、体内で合成される物質なので、セロトニンそのものを薬やサプリメントなどで服用することはできないとされています。
セロトニンを増やす効果のある「SSRI」という薬には、セロトニン神経にある「セロトニンの分泌量を調整する」という機能を阻害して、脳内のセロトニンを増やすねらいがあり、医療機関で処方され、うつ病の治療に用いられることがあります。
SSRIは「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」と言って、セロトニン神経から分泌され、多すぎてあぶれたセロトニンの再取り込みを阻害して、セロトニンを脳内に漂わせる、というものです。
脳内をただよっているセロトニンは通常、再びセロトニン神経にとりこまれか、血管にとりこまれます。
血管にとりこまれたセロトニンは、片頭痛などで痛みを起こす物質になることもありますが、いずれ尿として排出されます。
セロトニンが頭痛の原因になる理由を知りたい方は、こちらをご覧くださいね。
SSRIはセロトニン神経を活性化させるものではありませんので、うつ病の根本的な解決にはならないとされています。
セロトニンが減りやすい生活習慣とは
セロトニンを増やしやすい生活習慣がある一方で、次のような生活習慣を続けているとセロトニンが減りやすいと言われています。
- 朝、出かけるギリギリまで寝ている
- 朝食をとらない
- 朝日を浴びない
- 炭水化物を控えている
- 魚より肉をよく食べる
- ダイエットをしている
- よく噛んで食べない
- 運動不足であまり歩かない
- 仕事や遊びでよくパソコンをする
などです。
セロトニンを増やすためには、色々な食べ物をバランスよく摂って、適度にからだを動かし、少し早起きして朝はゆったり過ごす、ということが大切だということですね。
まとめ
セロトニンを増やす食べ物や方法などをみてきましたがいかがでしたか。
セロトニンは「幸せホルモン」なんて呼ばれていますよね。
また「落ち着きのある覚醒」をもたらす物質とも言われています。セロトニンを増やすことで、今まで気になっていたことが気にならなくなったり、湧き上がる感情に振り回されなくなったり、俯瞰して物事を見られるようになったりといったことも、期待できます。
セロトニンを増やすためには、毎日続けることが重要ですが、効果があらわれ出したら、気持ちがよくなりますので、続けることが楽しくなりますよ ^^)