腕には、「咳(せき)止めのつぼ」として知られるツボがあり、風邪を引いたときなどに効果があると言われています。
また、手やのどには呼吸器系に作用して、応急処置的に即効性が期待できるツボや、自律神経を安定させ、夜中の咳を予防する効果のあるツボなどもあります。
今回は、咳を止める効果のある15のツボを図解で解説していきます。
この記事の目次
咳に効く即効性のあるツボは?
咳の発作を、応急処置的に即効で止める効果があると言われているのは、のどにある「人迎(じんげい)」と、手にある「魚際(ぎょさい)」というツボです。
人迎(じんげい)
人迎の位置:人迎は、のどの骨の外側で、指で軽く押さえたときに脈を感じるところです。
人迎の押し方:親指と人差し指で軽く触れるように、首の中心に向かって優しく押します。
人迎の効果:人迎は喘息(ぜんそく)にも効果があると言われています。
魚際(ぎょさい)
魚際の位置:魚際は、親指の下にある骨の真ん中です。
魚際の押し方:やや手のひらの方から骨のきわをおさえます。
魚際の効果:魚際にはリラックスを促し、不安感などを静める効果もあると言われています。
「咳(せき)止めのツボ」は?
「咳止めのツボ」と呼ばれているのは、腕にある「尺沢(しゃくたく)」です。
尺沢と同じ肺経(はいけい)という経絡(けいらく)上にある、「孔最(こうさい)」もせき止めに効果的なツボとして知られています。
尺沢(しゃくたく)
尺沢の位置:尺沢はひじを曲げたときにできるしわの真ん中で、太い筋の外側です。
尺沢の押し方:位置を確かめたら腕を伸ばして軽く押しましょう。
孔最(こうさい)
孔最の位置:尺沢と、手首の親指側にある太淵(たいえん)というツボを結ぶ線上で、真ん中よりも親指の巾1つ分尺沢よりです。
孔最の効果:咳をはじめ、痰(たん)や喉の痛みなどを静めたい時にもよく用いられます。
気管支炎、咳、痰に効果のあるツボ
「天突(てんとつ)」というツボには、気道を広げ、呼吸や食べ物の飲み込みなどを楽にする効果があると言われています。
天突(てんとつ)
天突の位置:鎖骨の間にあるくぼみにあります。
天突の押し方:天突は、指で下に向かって力をくわえます。喉の方に向かって押し込まないように注意してくださいね。
天突の効果:息苦しいぜんそくの咳にも効果があると言われています。
小児喘息・風邪の咳に効果のあるツボ
風邪による咳や、小児喘息のようなひどい咳、慢性気管支炎、痰などをやわらげる効果があると言われているのが、胸の上にある「中府(ちゅうふ)」というツボです。
中府(ちゅうふ)
中府の位置:中府は、鎖骨のすぐ下で、第二肋骨の外側にあります。
中府の押し方:子供の咳を静めてあげたい時は、子どもを仰向けに寝かせ、4本の指で腕をつかむように持ち、親指を中府にあてて軽く押します。
喘息、子供の虚弱体質改善に効果のあるツボ
喘息や子供の虚弱体質改善のほか、風邪のひき初めや予防に効果があると言われているのが、首の後ろにある大椎です。
大椎(だいつい)
大椎の位置:首を前に曲げた時に出てくる大きな骨の下にあります。
アレルギー体質の方は、大椎の刺激に敏感だと言われています。
虚弱体質の子供には、頭のてっぺんにある「百会」というツボの刺激も合わせてすると効果的です。
治喘(ちぜん)
大椎(だいつい)から親指の巾1つ分外側にも咳をしずめ、喘息に効果があると言われる治喘(ちぜん)というツボがあります。
大椎と治喘にカイロを当てたり、お灸をしたりするのも効果的だと言われています。
呼吸器の機能を整えるツボ
背中の緊張をほぐして、肺の機能を整える効果のあるツボに、「肺兪(はいゆ)」があります。
肺兪(はいゆ)
肺兪の位置:第3胸椎の少し下にあり、背中の中心線から親指の幅1つ半分外側です。
肺兪の押し方:子供にしてあげる時はうつぶせ寝にさせ、両方の親指の腹で、やさしくもみほぐしてあげてください。
カイロなども効果があります。
肺兪の効果:風邪や気管支炎のほか、花粉症などにも効果があると言われています。
体の緊張をほぐし、活力を高める効果のあるツボ
咳を1回すると2kcal消費されると言われており、咳込むとそれだけ体力が奪われてしまいます。背中には体の緊張をやわらげ、活力を高める効果のある腎兪(じんゆ)というツボがあります。
腎兪(じんゆ)
腎兪の位置:肋骨(ろっこつ)の一番下と同じ高さで、背中の中心線から親指の幅2つ分外側にあります。
腎兪の押し方:押しにくいときは仰向けになり、腎兪の位置にボールなどを置いてもいいでしょう。
腰が痛いときは、やらないでくださいね。
腎兪の効果:痰を出しやすくする効果もあると言われています。
腹筋を元気にして、痰を出しやすくするツボ
お腹には、出にくい痰をだすことで疲れてしまった腹筋に活力を与え、痰をはきだしやすくする効果のある「天枢(てんすう)」というツボがあります。
天枢(てんすう)
天枢の位置:おへその横で、親指の幅2つ分外側です。
天枢の押し方:やわらかいところですが、押さえすぎないように注意してください。温めたり、やさしくなでたりするようにしても効果があります。
喘息や自律神経の乱れに効果のあるツボ
手のひらには、自律神経を整え、喘息や不眠症などを改善する「老宮(ろうきゅう)」と呼ばれるツボがあります。
老宮(ろうきゅう)
老宮の位置:手を握ったときに、中指と薬指の先があたる真ん中です。
寝ているときは通常、自律神経の副交感神経が優位になるのでゆっくり休むことができますが、交感神経が優位になり緊張がゆるまないと咳が出やすくなります。
気管支ぜんそくや肺結核などは、寝ているときに咳がひどくなることが多いですね。
自律神経を整える方法は、こちらでも色々ご紹介しています。
咳や痰に効果のあるツボ
手や足にも咳や痰をおさえる効果のある「合谷(ごうこく)」や「足三里(あしさんり)」などのツボがあります。
合谷(ごうこく)
合谷の位置:人差し指と親指から続く骨の間です。
合谷の押し方:、人差し指側の骨の下を押すようにするといいでしょう。
足三里(あしさんり)
足三里の位置:膝のお皿の外側下で、骨と骨のあいだです。
風邪などによる鼻のつまりを改善するツボ
鼻づまりは後鼻漏(こうびろう)となって、のどを刺激し咳を誘発することがあります。
迎香(げいこう)
迎香の位置:小鼻のすぐ横で、へこんだところです。
迎香の効果:迎香には、鼻水、鼻づまり、鼻血、臭いがわからない、鼻炎など鼻の様々な症状をやわらげる効果があると言われています。
増え続ける大人喘息!?
大人喘息の患者さんはここ30年で3倍に増えたと言われており、半数以上は40歳以上です。
喘息の原因は、食品添加物やたばこなどで、風邪やストレス、鎮痛剤の服用などがきっかけで発症すると言われています。
ツボの刺激が効果的な理由
ツボの刺激は、細胞に必要な栄養や酸素を届ける血流や、不用な老廃物を回収するリンパの流れを改善する効果があります。細胞が元気をとりもどすと自然治癒力が高まります。
また、外敵から体を守る免疫細胞は、血液の中を移動しますので、血流のとどこおりは、素早い対応の妨げになってしまいます。
ツボの刺激は、血流やリンパの流れをよくするだけでなく、神経の流れを改善し、ホルモンを正常に分泌させ、つながっている臓器を活性化させる効果もあります。
ツボの刺激に慣れるととっても便利!
ツボの位置はわかりにくいかもしれませんが、慣れてくると数ミリ違いでツボの位置がわかるようになることもあります。
また、いくつかのツボを押していると、自分にとってより効果の高いツボを見つけることもあります。
ツボはとっても便利なので、色々試していただければと思います。
ただし、咳の原因がわからない時やなかなか改善しない時は、医師の診察を受けるようにしてくださいね。
まとめ
いかがでしたか。
ツボは、押すだけでなく温めたりなでたりしても効果を発揮することがありますので、気軽に活用していただければと思います。
普段から、手などをもんだり軽くつねったりするのもとってもおすすめです。
季節の変わり目などは、早めにツボ押しを実施して、咳を予防しましょう(^^)