汗が大量に出る原因として考えられるのは、何らかの病気か、ホルモンの分泌や自律神経に乱れや異常が発生した場合などです。
何らかの病気が原因である場合は、汗をかく場所が一か所に集中しているのか、全身的なのかによって、推測できることに違いがあります。
今回は、汗が大量に出る原因について解説していきます。
汗が大量に出る原因はなに?
汗が大量に出る原因を、特定の場所に出る場合と、全身に出る場合とで分けて見ていきましょう。
特定の場所に集中的に大量の汗がでる原因とは?
汗が、特定の場所に大量に出る原因には、次のようなものがあると言われています。
- 背中、わき、後頭部などに、褐色脂肪組織 (かっしょくしぼうそしき)が集まっているため
- 味覚性多汗症(みかくせいたかんしょう)という病気で、鼻の下に大量の汗がでる
- 低血糖症(ていけっとうしょう)で、わきに大量の汗がでる
- 肥大性骨関節症(ひだいせいこつかんせつしょう)で、手のひらに大量の汗をかく
- ストレスが原因で、顔やわき、足の裏、手のひらなどに大量の汗がでる
- 脳を守るために、頭や顔から大量の汗が出る
などです。
全身に汗が大量に出る原因とは?
特にどこ、ということがなく、全身に大量の汗をかく原因には、次のようなことがあると言われています。
- 爪の中に良性の腫瘍ができる、グロムス腫瘍(しゅよう)
- 新陳代謝を調整する甲状腺が活発になりすぎる、甲状腺機能亢進症(こうじょせんきのうこうしんしょう)
- 薬の服用
- カフェインの摂取
- 自律神経障害
- 悪性腫瘍(あくせいしゅよう)
- カルチノイドという腫瘍(しゅよう)ができる、カルチノイド症候群
- 脳内にある、ホルモンの分泌を調整する下垂体に腫瘍(しゅよう)ができる、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)
などです。
それぞれについて、少し詳しく解説していきます。
特定の場所に汗が大量に出る原因は?
背中、わき、後頭部に大量の汗をかく原因
背中やわき、後頭部には熱を作り出す褐色脂肪組織(かっしょくしぼうそしき)と呼ばれる脂肪の集まりがあり、たくさんの酸素が必要なため、周りには毛細血管が多く集まっています。
ホルモンや自律神経の乱れがきっかけで
褐色脂肪組織のあるところでは、もともと汗がよく出るのですが、妊娠中や更年期前後などの、ホルモンや自律神経のバランスが乱れやすいときに、褐色脂肪組織が刺激を受けて、さらに大量の汗が出ることがあると言われています。
冬でも汗が大量にでる!?
たとえ冬でも、この褐色脂肪組織が寒いと感じると、熱を作り出そうとしますので、大量に汗が出ることもあります。
鼻の下に大量の汗をかく原因は?
食べたり飲んだりした物が、辛かったり熱かったりした時に、鼻の下や口の周りから汗がでることがあり、味覚性発汗(みかくせいはっかん)といいます。
発汗神経が刺激を受けることで汗が出るのですが、大量に出る場合には味覚性多汗症と呼ばれたりします。
味覚性多汗症の原因は?
味覚性多汗症を引き起こす原因に、低血糖や顔面帯状疱疹(がんめんたいじょうほうしん)と呼ばれる湿疹が出る疾患、糖尿病の合併症による神経障害などがあると言われています。
低血糖とは、血液中のブドウ糖が不足している状態のことで、原因にはアルコールの摂取やある種の薬による作用など、さまざまなものがあります。
顔面帯状疱疹は、帯状に広がる痛みをともなう湿疹が顔にできるものです。
わきに大量の汗をかく原因は?
わきに大量の汗をかく原因には、低血糖症もあると言われています。
血液中のブドウ糖が少なくなる低血糖は、大量の汗のほかに、動悸、震えなどを引き起こすこともあります。
空腹で低血糖になっているときには、肝臓にたまっている脂肪を燃やして補充しようとすることから、脇汗や冷や汗が出やすくなると言われています。
寝ている間に低血糖の状態になることもあり、寝汗をかくことがあります。詳しいことはこちらで解説しています。
手のひらに大量の汗をかく原因は?
手のひらに大量の汗をかく原因に、肥大性骨関節症(ひだいせいこつかんせつしょう)があります。
肥大性骨関節症とは、手や足の指先が大きくなる「ばち指」になったり、関節炎がでたりする病気で、10代で発症することが多いと言われています。
顔やわき、足の裏、手のひらに大量に汗をかく原因は?
ストレスが原因で、顔やわき、手のひら、足の裏などに大量の汗をかくことも多く、交感神経の活動が活発になるためだと考えられています。
ストレスが原因で汗をかくタイプの人は、子供のころからよく汗をかいていた、と言われています。嫌な記憶として残っている場合に、意識しすぎて余計に汗がでる傾向にあります。
気にする、ということが、汗の分泌を調整している 自律神経を過敏に反応させてしまう、というわけなのです。
頭から汗が大量に出る原因は?
頭から異常に汗が出るのは、暑さによる 脳へのダメージを防ぐためだと考えられています。
頭からの汗については、こちらで解決策などもご紹介しています。
全身に汗がでる原因は?
グロムス腫瘍ってなに?
グロムス腫瘍(しゅよう)とは、爪の中にできる良性の腫瘍のことで、汗が出るほか、指先に激しい痛みがでたり、頭痛といった症状がでると言われています。
甲状腺機能亢進症(こうじょせんきのうこうしんしょう)ってなに?
甲状腺機能亢進症(こうじょせんきのうこうしんしょう)とは、新陳代謝をつかさどる甲状腺の機能に異常が発生することで、汗が大量にでたりします。
薬の服用で汗が大量にでる!?
ある種の薬の服用により、汗が出やすくなることがあります。
例えば、痛み止めなどの目的で用いられる「アスピリン」には、血管を拡張させて、熱を発散させる作用がありますので、汗がでやすくなることがあると言われています。
痛みの緩和に用いられる「オピオイド」という薬には、服用をやめてから、大量の汗が出るようになる、という離脱症状が出ることもあると言われています。
カフェインの摂取で汗が大量にでる!?
コーヒーなどに含まれるカフェインの摂取で、汗が多くなることがあります。
カフェインは自律神経の交感神経を活発にさせる作用がありますので、脈を早めたり、汗を出したりするように働きます。
カフェインは、コーヒーのほか 栄養ドリンクなどにも多く含まれています。
自律神経障害ってなに?
自律神経障害とは、糖尿病や免疫機能の異常、がん、過度の飲酒、ある種の薬などが原因で、 自律神経に損傷が起きてしまうことです。
症状には、様々なものがあり、体の一部に異常に汗がでる、というほかに、下痢や便秘、不整脈、立ちくらみなどの症状が出ることもあると言われています。
悪性腫瘍(あくせいしゅよう)で大量の汗が!?
リンパ腫や白血病などの悪性腫瘍が原因になっている場合には、おもに寝汗を引き起こすと言われています。
カルチノイド症候群ってなに?
カルチノイド症候群とは、カルチノイドという腫瘍(しゅよう)が出す化学物質によって引き起こされる様々な症状です。
カルチノイドは良性のことも悪性のこともあり、大量の汗が出るほかには、動悸、呼吸困難、下痢、腹痛、嘔吐、顔面紅潮などを引き起こすことがあると言われています。
カルチノイドができる場所として多いのは、虫垂(ちゅうすい:お腹の右下)や、小腸、大腸、胃などです。
下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)
下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)とは、下垂体にできる良性の腫瘍(しゅよう)のことで、成長ホルモンが過剰に分泌されると、汗が大量にでるようになったりします。
ほかの症状として、皮膚が分厚くなったり、手や足が大きくなったり、耳たぶや唇が分厚くなることがあると言われています。
まとめ
いかがでしたか。
汗が大量に出る原因には、いろんなことがあります。
ホルモンの異常であったり、神経の乱れであったり、病気であったり、脳を守るためであったり、ストレス、薬、飲み物、などなど様々です。
飲み物やストレスなど、自分で改善できそうなことであれば、ぜひ、そうしていただければと思います。
でも、気になることがある時は、自己判断せず、医療機関などで相談してくださいね。
暑い夏は、扇子が手放せません ^^)