耳が痛い原因は、もちろん耳に障害が生じている場合もありますし、耳以外に障害が発生している、ということもあります。
耳の中や耳の周りは、複雑な構造になっていますので、炎症などもおきやすく、様々な原因で耳に痛みがでます。
今回は、耳が痛い原因について、ほかの特徴的な症状などと共に解説していきます。
この記事の目次
耳が痛い!原因はなに?
耳が痛くなった原因を、ほかの症状や痛い場所などから考えられることを見ていきましょう。
耳が痛くて熱もある!?
急に耳が痛くなって、さらに、
- 熱がある
- のどが痛い
- 耳の奥や中が痛いと感じる
という症状がある場合には、中耳炎(ちゅうじえん)・乳様突起炎(にゅうようとっきえん)・耳管機能不全(じかんきのうふぜん)の疑いがあります。
幼児が耳を引っ張るのも、これらの疾患の特徴のひとつだと言われています。
耳から分泌物が出てる!?
耳から分泌物が出ている、という場合には、外耳炎(がいじえん)、壊死性(悪性)外耳炎(えしせいがいじえん)、鼓膜穿孔(こまくせんこう)の疑いがあります。
それぞれの耳の病気について詳しく解説します。
耳が痛い!どんな病気?
中耳炎(ちゅうじえん)
中耳炎は、おもに喉の奥から細菌やウイルスが耳に侵入し、鼓膜の内側にある中耳に炎症が起きる病気です。
中耳炎には次の4つのタイプがあると言われています。
- 耳の痛みと発熱が主な症状である、急性中耳炎
- 急性中耳炎が長引いた慢性中耳炎
- 中耳炎が悪化して、耳の周囲の骨を破壊したり、顔面神経麻痺など、深刻な病気を引き起こす真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎
- 耳が詰まった感じがしたり、聞きづらくなる難聴がおもな症状で、鼓膜の内側の空間に液体がたまる滲出性(しんしゅつせい)中耳炎
中耳炎では、耳から分泌物が出ることもあり、子供はしばしば不機嫌になります。
乳様突起炎(にゅうようとっきえん)
出典:wikipedia
乳様突起炎の乳様突起とは、耳の後ろ、外側の少し下にある出っ張った骨のことで、急性中耳炎を治療しなかったり、十分に治療を完了していない場合などに、乳様突起まで炎症が広がる、乳様突起炎を引き起こすことがあります。
耳の後ろを触ると痛かったり、赤くはれていたり、耳の中がズキンズキン痛かったり、膿のような耳だれがでる、熱がある、などの症状がみられると言われています。
難聴が進んでしまうこともあります。
耳管機能不全(じかんきのうふぜん)
耳管機能不全の耳管(じかん)とは、耳と鼻の穴をつなぐ通り道のことで、通常は閉じていて、あくびをしたり、つばを飲み込んだりした時に開いて、気圧のバランスをとっています。
この耳管が何らかの理由で閉じたままになってしまうと、中耳内の酸素が吸収されて中耳の圧が低下することで、耳が痛い、というほかに、中耳内の血管から液体がしみだしたりしてしまうことがあります。
耳が詰まったような、こもったような感じや、パチパチとはじける音、グーグー鳴る音が聞こえることもあります。
季節性のアレルギーや花粉症があるという場合に、発症しやすいと言われています。
外耳炎(がいじえん)
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの耳の穴(外耳道)に炎症が起きることで、耳かきなどが原因で細菌に感染して発生します。
プールに入った後に発症したり、ヘアスプレーや毛染め剤、不衛生な耳栓、イヤホン、補聴器が原因になることもあります。
アレルギーや湿疹、乾癬(かんせん)、耳の近くにニキビなどの皮膚炎がある人もかかりやすく、 耳を引っ張ると痛みが増すと言われています。
耳にカビが居座ってしまうと外耳道真菌症(がいじどうしんきんしょう)を発症します。外耳道真菌症については、こちらで詳しく解説しています。
壊死性(悪性)外耳炎(えしせいがいじえん)
壊死性(悪性)外耳炎は、まれな疾患で、外耳道周辺の軟骨や骨を破壊して、頭蓋内にまで炎症が広がり、生命をおびやかす危険性があると言われています。
糖尿病を患っている高齢者が発症するケースが多く、夜間に痛みが増すこともあります。
鼓膜穿孔(こまくせんこう)
鼓膜穿孔とは、鼓膜に穴が開いた状態のことで、中耳炎が原因でおこることが多いです。
また、飛行機に乗っていて急に気圧が変化したときや、スキューバダイビング、耳を殴られた、などの状況で鼓膜穿孔が起こることもあります。
鼓膜穿孔では、耳の両側が痛い、ということが起きるほかに、分泌物が出る、発熱、出血、耳鳴り、聴力低下という症状をともなうことがあります。
自然に治ることもありますが、手術が必要になることもあると言われています。
耳以外の病気で耳が痛い?
慢性的な耳の痛みは、実は耳とは違う場所に障害が発生している、という場合も多く、次のようなものがあると言われています。
神経痛
耳にうずくような、焼けるような痛みがある場合は、耳につながっている神経の損傷、いわゆる神経痛(三叉神経、顔面神経膝、蝶口蓋神経、舌咽神経、頸椎神経根)であることもあります。
神経痛がでると、耳などを軽く触ったことで、痛みが誘発されることが多いと言われています。
あごの関節障害
あごの関節をいためていたり、関節がうまく機能していない場合にも、耳が痛い、と感じることがあります。
あごがカツンと鳴る感じがしたり、ものを噛んだり、食べたりしているときに痛みが出る、朝になると痛みが増す、という場合には、あごが関節障害を起こしているかもしれません。
耳が痛い、そのほかの病気
耳の痛みをともなうそのほかの疾患に、 胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)や、 茎状突起過長症(Eagle症候群)、 狭心症、 耳下腺疾患などがあります。
胃食道逆流症
胃食道逆流症とは、胃酸が食道に逆流することで生じる痛みです。耳の両側が痛くなることがあります。
関連記事⇒「胃食道逆流症とは」
茎状突起過長症(けいじょうとっきかちょうしょう)
茎状突起過長症(けいじょうとっきかちょうしょう)(Eagle症候群)は、耳の下あたりにある、細く突き出た骨の先端が、構造物に触れて、痛みや違和感が生じます。
飲み込むときに痛みが増すことがあります。
狭心症(きょうしんしょう)
狭心症(きょうしんしょう)とは、心臓の筋肉に、十分な酸素が供給されないことでおこる、一時的な胸の痛み、圧迫感のことです。
耳下腺疾患(じかせんしっかん)
耳下腺疾患の耳下腺とは、唾液(だえき)がでる器官で、外耳道の前、耳の入り口の斜め下あたりにあり、炎症を起こすと耳が痛くなることがあります。
耳下腺がウイルスの感染で炎症をおこすものに、流行性耳下腺炎、またの名を「おたふくかぜ」があります。
親しらずの感染
熱いものや冷たいものを食べたときに、耳の痛みが増すという場合には、 奥歯である、第三大臼歯(だいさんだいきゅうし:親しらず)が感染しているのかもしれません。
まとめ
耳が痛い、という場合に考えられる原因を見てきましたが、いかがでしたか。
おさらいすると、耳が痛くなる耳の病気には、つぎのようなものがあります。
- 中耳炎(ちゅうじえん)
- 乳様突起炎(にゅうようとっきえん)
- 耳管機能不全(じかんきのうふぜん)
- 外耳炎(がいじえん)
- 壊死性(悪性)外耳炎(えしせいがいじえん)
- 鼓膜穿孔(こもくせんこう)
耳以外の病気には
- 神経痛
- あごの関節障害
- 胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)
- 茎状突起過長症(Eagle症候群)
- 狭心症(きょうしんしょう)
- 耳下腺疾患(じかせんしっかん)
- 親しらずの感染
などです。
こうやって並べてみると、怖い感じがするかもしれませんが、早めに医師の診察を受けられることをおすすめします。
耳は複雑で、入りくんでいますので、長引くと悪化してしまうこともあります。
また、綿棒を中まで入れたり、触りすぎないようにして注意して、症状が出ているうちはなるべく睡眠もしっかりとっておかれた方がいいでしょう。
耳は音を聞いたり、平衡感覚を保つために大切で、繊細なセンサーですから ^^)