「食べ物が免疫力を高める」と言っても、その作用の仕方には、成分の違いにより様々なものがあります。
免疫力は大変重要ですので、世界でもいろんな研究や発表が盛んに行われています。
今回は、そんな実験の結果などと共に、免疫力を高める効果のある食材をご紹介していきますね。どれも身近な食べ物ですので、再認識して毎日の食事にしっかりと摂りいれていただければと思います。
最後にレシピもご紹介していますので、良かったら参考にしてくださいね。
この記事の目次
免疫力を高める食材・食べ物
免疫力を高める食材はつぎのような食べ物で、この中にアメリカで「免疫力を高める王様」、と言われたものがあります。
- りんご・レモン・オレンジ・みかん
- ヨーグルト
- にんにく
- れんこん・キャベツ・なす・大根
- 緑黄色野菜
- きのこ類
- 豆腐
- 海藻
- 緑茶
これらの食べ物の何がどう私たちの免疫力を高めてくれるのかを、それぞれ解説していきます。
実験や調査の結果もご紹介していますが、長くなりますので飛ばしたい方は、読み飛ばしてくださいね。
りんごを食べて免疫力を高める!
りんごに含まれる アップルペクチン( 水溶性食物繊維)、 ケルセチン(ポリフェノール)には、次のような効果があると言われています。
- がんを抑制する効果(アップルペクチン)
- ヒスタミン(体内にあるアレルギー症状を起こすもの)を減少させアレルギー疾患を予防する効果(アップルペクチン)
- 肺がんの発生を抑制する効果(ケルセチン)
がんを抑制する効果(アップルペクチン)
ある大学で行われた実験で、大腸がんの発生を促す注射をされたラットのうち、普通のエサを与えられたラットはすべて大腸がんになったのに対し、アップルペクチンを含むエサを与えられたラットは、45%の発症にとどまりました!
ペクチンの効果・・・大腸の粘膜を保護する作用 ⇒ 大腸菌から腸を守ってくれる効果。
水溶性食物繊維の効果・・・水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)は、腸内で水分を吸収しふくれる。⇒ 過剰なブドウ糖やコレステロールの吸収を抑える効果 ⇒ 生活習慣病を予防。
水溶性食物繊維の効果・・・ふくれることで腸を刺激 ⇒ 腸が活発になる ⇒ 便秘を改善する効果 ⇒ 大腸がんのリスクが減少
水溶性食物繊維の効果・・・善玉菌を活性化 ⇒ 悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を改善する効果。
快便のためには、水に溶けない食物繊維も必要です。便秘解消については、こちらも参考にしていただければと思います。
ヒスタミンを減少させアレルギー疾患を予防する効果(アップルペクチン)
日本で行われた調査で、りんごを食べ始めて3週間がたったころ、ヒスタミン(体内にあるアレルギー症状を起こすもの)が減少した、という報告がありました。
肺がんの発生を抑制する効果(ケルセチン)
フィンランドで行われた実験では、25年にわたる実験で、りんごを食べている人は、食べていない人に比べて、肺がんを発生する危険性が、58%も低かったということです。
ケルセチンには、酸化作用(細胞をきずつけること)に対抗する強い力がある、とも言われています。
柑橘類(かんきつるい)を食べて免疫力を高める!
レモン・オレンジ・みかんなどの柑橘系に含まれるビタミンCには、次のような働きがあります。
● ウイルスをやっつけるナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活発にします
● ウイルスに対処したり、 がん化した細胞を片付ける働きのある、インターフェロンという物質を増やします
● ウイルスの力を弱める作用のあるタンパク質を増やします
● 外敵を食べて処理するマクロファージという免疫細胞を活性化します
また、 ビタミンCは活性酸素にくっついて、活性酸素が悪さするのをおさえる働き(抗酸化作用)があると、考えられています。 ビタミンEと一緒にとると、抗酸化作用はアップします。
ビタミンCは柑橘類のほかにも 緑黄色野菜や いも類にも、豊富に含まれています。ですが、りんごと違って、熱に弱く、光にも弱いのです。効果的な食べ方などについては、こちらで解説しています。
ヨーグルトを食べて免疫力を高める!
腸内の環境と免疫力には、密接な関係があると言われています。 腸内の善玉菌が増えると、免疫力が高まり、腸内に悪玉菌が増えると、免疫力が下がって、さまざまな病気にかかりやすくなると、言われているのです。
そのわけは、腸内にある パイエル板というリンパ節に、からだ全体の60~70%の リンパ球が集まっている免疫システムがあり、お腹に入ってきた外敵が腸管をすり抜けて、血管などに侵入しないように守りを固めているから、と言われています。
お腹の中の免疫力の高さが、その人の免疫力の高さと言えるでしょうし、免疫力の高さは 善玉菌の多さによる、とも言えるでしょう。
リンパ球とは、
リンパ球とは、免疫力の中心となる血液細胞です。
リンパ球の中には、ナチュラルキラー細胞やT細胞、B細胞と言われる、働きのことなる免疫細胞が含まれます。
お腹の中に善玉菌を増やす食べ物と言えば、 ヨーグルトです。
ヨーグルトを販売しているメーカーは、次々と研究・開発した新しい商品をだしていますね。たとえば、胃酸に負けない 乳酸菌や ビフィズス菌といった善玉菌が入っているものとか、O-157の増殖を抑える乳酸菌とか、粘りを持たせて、消化酵素に負けない乳酸菌とか、インフルエンザを予防するヨーグルトなどもあります。
ヨーグルトも毎日食べたい食べ物ですね。いろんなものを楽しみながら試してみるのもいいでしょう。
ヨーグルトには アレルギーを予防する効果がある、ということにも注目が集まっています。
にんにくを食べて免疫力を高める!
にんにくに含まれている アリシンには次のような働きがあります。
● ナチュラルキラー細胞(ウイルスを攻撃する・がん化した細胞を処理する働き)を活性化する
● 免疫グロブリンE(アレルギー症状を引き起こすきっかけとなるもの)がつくりだされるのを阻止する
● 活性酸素を抑える働き
● ビタミンB1と結合して疲労回復
● 血行促進・整腸作用
にんにくが苦手、また好きだけど臭いが気になる、という方には、にんにくを発酵させて、熟成させた 黒にんにくをおすすめします。
トロッとしていて、食べやすく、筆者は臭いも気になりません。しかも、黒にんにくは白いときよりもいろんな栄養素が何倍にもなっているのです。毎日1つぶか2つぶを口に入れるだけなので手間もかかりません。黒ニンニクの効果などについてはこちらでも解説しています。
1990年にアメリカ国立がん研究所で行われた研究結果によると、がんを抑制するもっとも効果のある食材に にんにくが選ばれています。
きのこ類を食べて免疫力を高める!
きのこ類に含まれているβ(ベータ)グルカンには、次のような効果があると言われています。
● ナチュラルキラー細胞の数を増やす
● 免疫反応を助けるタンパク質(補体:ほたい)やマクロファージを活性化する
マウスを使った実験では、膀胱がんを発生させる物質を与えられたマウスのうち、普通のエサを食べたマウスより、干しシイタケの粉を混ぜたエサを食べたマウスの方が、50%も発生率が低かった、という結果が報告されています。
日本茶を飲んで免疫力を高める!
日本茶に含まれる茶カテキン(タンニン)には次のような効果があると考えられています。
● 活性酸素を抑える働き
● 菌を殺したり、抑える働き
● 毛細血管を保護し、回復させる働き
静岡大学で行われた実験・調査では、1日10杯以上の日本茶を飲み、残った茶がらを料理に使っている、というある地方の人たちは、ほかの地方の人たちに比べ、胃がんの発生率が低かったという報告があります。
アフリカでとれるルイボスティも素晴らしい効果があります。よかったら、参考にしてください。
緑黄色野菜を食べて免疫力を高める!
緑黄色野菜に含まれる カロテノイド、 β(ベータ)カロチン(別名プロビタミン)には、次のような働き、効果があると考えられています。
● 体の粘膜を健康に保つ(カロテノイドがビタミンAに変化)
● 免疫細胞を増やす(β‐カロチン)
● 細胞のがん化を防ぐ(β‐カロチン)
● ナチュラルキラー細胞やほかの免疫細胞の活性化(β‐カロチン)
● 活性酸素を抑えこむ(β‐カロチン)
WHOで行われた調査では、WHOが2年間、開発途上国で行った調査によると、ビタミンAを十分にとっている子供は、とっていない子供に比べ、感染症になる率が3分の1であることが分かりました。
ビタミンAはカロテノイドが体内で変化した栄養素です。
ただし、ビタミンAの取りすぎには注意が必要です。
その他の食材・食べ物
そのほかのたくさんの食材にも、免疫力を高める作用、効果があります。次にご紹介するのは、 その一部です。
長いも(粘液タンパク質)・・・臓器にある結合組織の委縮を防止・・・膠原病(こうげんびょう)予防
長いも・・・赤血球を守り、免疫機能を強化
なつめ(多糖)・・・Tリンパ球(免疫細胞のひとつ)を増やす・・・免疫力を高める
なつめ(ビタミンP(ヘスペリジンなど))・・・血液の循環を改善・・・胃を丈夫にする
なつめ・・・アレルギー反応、細胞のがん化を阻止
グリーンアスパラ(セレン)・・・抗酸化作用
黒豆(ダイジェイン)・・・免疫細胞を増やす
黒豆(イソフラボン)・・・リンパ細胞を増やし、マクロファージ(外敵を食べて処理する免疫細胞)の機能を高める・・・胃がん、乳がん、直腸がん、前立腺がんの予防
キャベツ、ナス、大根など(ビタミンU)・・・胃の粘膜の新陳代謝を活発にする
キャベツ、ナス、大根など(ビタミンU)・・・マクロファージの質を高める
キャベツ(フラボノイド)・・・マクロファージの質を高める
大根(リグニン)・・・マクロファージの活力を数倍にアップさせる・・・抗がん作用
ごぼう(リノール酸、リノレン酸)・・・免疫機能の増強・・・がん予防
いわし、玄米、ごま(ビタミンB6)・・・免疫細胞が育つ場所である「 胸腺(きょうせん)」にとって大切な栄養素
こんぶ(デンプン硫酸エステル)・・・体液の免疫機能を強化
こんぶ(ヨウ素)・・・乳がんの予防
白きくらげ・・・インターフェロン(がん細胞を殺し繁殖を防ぐ)を作り出す・・・抗ガン効果
はちみつ(脂肪酸類物質、遊離アミノ酸)・・・免疫力を高める・・・がんを予防
はちみつ・・・抗菌、殺菌作用
わかめ(血球凝集素)・・・免疫機能を刺激・・・免疫機能を活性化
わかめ(血球凝集素)・・・がん細胞の活性化を防ぐ
サツマイモ(ムチン)・・・免疫力を高める作用
いちじく(多糖類)・・・免疫系統に刺激を与え、活性化
れんこん、ごぼう、イモ類、根菜類、豆類(レクチン)・・・病原体や異物にくっついて、免疫細胞に知らせる・・・免疫力をサポート
ナッツ(ビタミンE)・・・免疫細胞の活性化、数を増やす
海藻(フコイダン)・・・がん細胞の 自滅を促すことができる・・・がんの予防
こんにゃく(グルコマンナン)・・・整腸作用・・・腸内環境を改善
こんにゃく(グルコマンナン)・・・皮膚の炎症を抑える働き・・・アレルギー予防
大豆(タンパク質)・・・免疫細胞のもとになる成分
大豆(サポニン、ビタミンE)・・・強い抗酸化作用
丸大豆(イソフラボン)・・・細胞のがん化を防ぐ
大豆(オリゴ糖)・・・善玉菌を優位にし、腸内環境を改善
などなど...
免疫力を高める食事・レシピ
免疫力を高める食材を使った食事をいくつかご紹介します。といっても、みなさんよくご存知のものばかりです。
豆腐に野菜または海藻をプラスした味噌汁
ひとつめは豆腐+野菜または海藻の味噌汁です。
豆腐も味噌も、免疫力を高めるタンパク質、サポニン、イソフラボン、ビタミンE、オリゴ糖などを含んだ 大豆が原料になっています。しかも大豆のタンパク質は、からだに必要な必須アミノ酸8種類が全部ふくまれた、上質なタンパク質です。
そこに、あなたの好きな免疫力を高める野菜や海藻などをプラスして毎日食べれば、とてもいい効果をもたらしてくれるでしょう。
味噌汁の塩分が気になる、という方はこちらを参考にしていただければと思います。
干しシイタケともやしの炒め物
次は、干しシイタケともやしを使ったレシピです。もやしにも、食物繊維が豊富に含まれています。
材料
干しシイタケ・もやし・ネギやニラなど
作り方
①戻した干しシイタケはスライスにします
②もやしとネギは、2cmくらいの長さに切ります。(もやしは、切らなくてもOKです。切るときはザクザクで大丈夫です。子供にとっては切ってある方がいいかもしれません。)
③フライパンに油をひき、まずは干しシイタケを2分ほどいため、次に、もやしを入れて1分ほど炒めます。
④そこに、塩コショウか、しょうゆか、オイスターソース、ポン酢、焼き肉のたれなど、好きな味つけをしてください。
⑤ねぎを加えて1分ほど炒め合わせ、出来上がりです。
材料は、お好きなものに変更して、いろいろ試してみてください。豚肉などをプラスしてもいいですね。
塩コショウかしょうゆなどで味付けした時は、最後にごま油を少し足して炒めると、とってもいい香りがしますよ。
まぐろの山かけ
最後にまぐろの山かけをご紹介します。
材料
まぐろ・長いも・味のり
作り方
①まぐろは一口大に切り、器に盛り付けます。
②山芋は皮をむき、すりおろし、マグロの上にかけます。
③味のりを上にかけて、しょうゆや、わさび醤油など、お好みの調味料をかけて出来上がりです。
まぐろには、血液をサラサラにするDHAなどが、豊富に含まれています。
まとめ
免疫力を高める食材や食べ物などをご紹介してきましたが、いかがでしたか。
たぶん、普段から召し上がっているものも多かったと思います。でも、こうやって改めて、その食材や食べ物に含まれている栄養成分や効果などを見てみると、やっぱい食べ物って大切だなぁ、なんて思いませんでしたか。
私たちが口にする、一口一口の食材や食べ物が、私たちの体にとってとても大切な一口だということですよね。食べるものをよく選ぶことも大切ですし、味わってよく噛んで食べる、ということもしたいですね。
せっかく取り入れるものは、よく噛むことで、消化吸収もよくなりますからね。
この食べ物が体を強くしてくれている、と想像しながら食べるとさらに効果がアップしますよ。
免疫力をグングン上げていきましょう! ^^)