むくみの原因には様々なものがあります。
血行が悪くなっていたり、組織全体の代謝が低下していたり、水分を吸収するリンパ管の機能が低下して発生した、炎症がむくみの原因になることもあります。
今回は、むくみが出る原因について解説していきます。
むくみがあると心配ですよね。改善できることはないのか、探っていきましょう。
むくみの原因はなに?
日常生活や体の変化が原因?
むくみの原因が、日常生活や環境にある、という場合から見ていきましょう。次のようなことで思い当たることはありますか。
- ナトリウムの摂りすぎ
- 屋外や高温の場所で働いている
- ステロイドを使用している
- 静脈注射薬の治療を受けている
一つずつ解説していきます。
ナトリウムの摂りすぎ
ナトリウムとは、食塩に含まれる成分のひとつで、取りすぎが原因で、血液中の水分が外にしみ出し、むくみやすくなります。
ナトリウムを多く含む食品には、ポテトチップス、塩味のピーナッツ ファストフード、缶詰、中華料理などがあります。
屋外や高温の場所で働いている
高温の気候が原因で、 アルドロステロンという、ナトリウム量を左右する ホルモンの濃度が上昇すると、一日の終わり頃にむくみが発生しやすくなる、と言われています。汗をかいて体の水分が減ると、さらに悪化することになります。
ステロイドを使用している
ステロイドの使用は、 アルドロステロンの濃度を上昇させ、ナトリウムと水分をためてしまう、と言われています。
ステロイドの使用が原因のむくみを、「ステロイド誘発性浮腫(ゆうはつせいふしゅ)」と言います。
静脈注射薬の治療を受けている
一部の薬剤は、ナトリウムの濃度が高くなり、むくみの原因になることがあります。
むくみは病気が原因?
むくみにともなう、ほかの症状や経験から、むくみの原因として考えられることを探っていきましょう。
思い当たることはありますか。
- 筋力の低下や皮膚線条(ひふせんじょう)がある
- 薬を服用している
- 疲れや皮膚の乾燥、手のごわつきを感じる
- じんましんや呼吸困難がある
- 尿量が減った
- 胸が痛い、息切れを感じる
- 呼吸困難を起こしたことがある
- 心臓発作・息切れを起こしたことがある
- 虚血性心疾患にかかったことがある
- 結核にかかったことがある
- タバコを吸っている
- 結核、または肺がんにかかったことがある
- お腹の腫れを感じる
- 血栓ができたことがある
- 左足だけがむくんでいる
- 静脈が腫れている
- 爪が黄色い
- 下痢をしている
- アルコール摂取が多い
- 尿が泡状になっている
それぞれについて解説していきます。
筋力の低下や皮膚線条(ひふせんじょう)がある
急激な筋力の低下や、お腹などに 皮膚線条(ひふせんじょう)ができている場合は、 クッシング症候群を引き起こしているおそれがあります。クッシング症候群は、コルチゾールを過剰に生産することで、 むくみの原因になるアルドロステロンの濃度を上昇させる、 と言われています。
薬を服用している
ほとんどの薬は、アレルギー反応のひとつであるアナフラキシーによる、むくみの原因になり得ます。
ACE阻害薬(そがいやく)、またはカルシウム拮抗薬(きっこうやく)を服用している
ACE阻害薬や カルシウム拮抗薬は、血圧を下げたりするときに用いられる薬で、むくみを引き起こすことがある、と言われています。
疲れや皮膚の乾燥、手のごわつきを感じる
疲れや皮膚の乾燥、手のごわつきや寒さに対して弱くなった、などと感じる場合には、のどにある甲状腺の機能が低下しているおそれがあります。甲状腺の機能が低下すると、血管から水分がしみだしやすく、また、 抗利尿ホルモン(寝ているときなどにでる排尿を抑えるホルモン)が多く作られすぎて、むくみが生じる、と考えられています。
じんましんや呼吸困難がある
じんましんや呼吸困難といった症状を引き起こす場合には、 遺伝性血管浮腫(いでんせいけっかんふしゅ)ということも考えられます。遺伝性血管浮腫は、唇や顔面、気道、消化管(口から肛門まで)にむくみが現れるのが特徴で、突然現れたり消えたりします。
尿量が減った
尿の量が減ったと感じている場合は、腎臓や心臓、肝臓の機能が低下している恐れがあります。
胸が痛い、息切れを感じる
胸が痛いと感じたり、息切れがあったり、意識がなくなることがある場合には、 大動脈弁狭窄(だいどうみゃくべんきょうさく)を引き起こしているかもしれません。
大動脈弁狭窄とは、大動脈にある、逆流を防ぐための弁が、加齢などが原因で硬くなり、血液の通り道が狭くなることです。
呼吸困難を起こしたことがある
大動脈弁が機能しなくなると、左心室(さしんしつ)と肺静脈(はいじょうみゃく)の圧力が上がり、むくみとともに呼吸困難を引き起こすこともあります。これを 大動脈弁閉鎖不全(だいどうみゃくべんへいさふぜん)と言います。
大動脈弁閉鎖不全のおもな原因は、大動脈弁の感染だと言われています。
心臓発作・息切れを起こしたことがある
心臓の一部である左心室(さしんしつ)の筋細胞が傷つけられることで、左心室の機能が低下する、 心筋症(しんきんしょう)を引き起こすことがあります。心筋症を発症すると、静脈の圧力が上がり、むくみが生じると言われています。
心筋症の原因には、 高血圧、虚血性心疾患(きょせつせいしんしっかん)、糖尿病、ウイルス感染、分娩、まれに化学療法薬、などがあると考えられています。
虚血性心疾患とは、血管のつまりなどが原因で、心臓の血管に血液がいかなくなることです。
虚血性心疾患にかかったことがある
出典:ウィキペディア
過去に、虚血性心疾患にかかっていたり、子供のころにリウマチ熱にかかったことがある場合には、左心房(さしんぼう)と左心室の間にある 僧帽弁(そうぼうべん)が逆流、または 狭窄(きょうさく:せまくなること)を起こしているかもしれません。
リウマチ熱はまた、同じく心臓内の弁である 三尖弁(さんせんべん)の狭窄や機能の低下を招くこともあります。
結核にかかったことがある
過去に結核にかかったことがあったり、肺がん、乳がん、または 心膜炎(心臓を包んでいる膜に起こる炎症)になった、ということがある場合には、心膜炎が進行した収縮性心膜炎を引き起こして、むくみの原因になっていることがあります。
タバコを吸っている
タバコを吸うことで、心(しん)タンポナーデを引き起こし、むくみの原因になることがあります。
結核、または肺がんにかかったことがある
上大静脈(じょうだいじょうみゃく:上半身の血を心臓に戻す静脈)の血が、静脈にできた塊などにより、心臓に戻るのを妨げられてしまうことがあります。これを 上大静脈症候群といい、むくみは腕や目、顔面に現れます。
お腹の腫れを感じる
下半身の血を心臓に戻す下大静脈(かだいじょうみゃく)の流れが、お腹にできたしこりや妊娠などが原因で、妨げられてしまい、むくみを発症させることがあります。
血栓ができたことがある
足や骨盤を通っている静脈の血液が固まってしまう 深部静脈血栓(しんぶじょうみゃくけっせん)を引き起こすと、むくみが生じると言われています。
深部静脈血栓の原因には、喫煙、経口避妊薬の使用、遺伝、長時間の同じ姿勢、などがあります。
左足だけがむくんでいる
左足だけがむくんでいるとしたら、 左腸骨静脈(ひだりちょうこつじょうみゃく)が腰骨と右腸骨静脈とに挟まれて、圧迫され流れがわるくなっているのかもしれません。
このような状態を「 May-Thurner(メイ・ターナー)症候群(腸骨静脈圧迫症候群)」と言います。
静脈が腫れている
静脈が腫れている場合は、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)という、静脈に血がたまり、はれてしまう病気のことで、むくみの原因になります。
爪が黄色い
爪が黄色くなる 黄色爪症候群(おうしょくそうしょうこうぐん)になると、リンパ管の機能低下である「 リンパ管閉塞(へいそく)」を引き起こし、むくみが出ることがあります。
リンパ管の機能が低下するほかの原因には、 悪性腫瘍、寄生虫感染(フィラリア症)などがあります。
下痢をしている
腸がタンパクを吸収する能力が低下すると、むくみのほかに下痢を起こすことがあります。これを「 蛋白損失性腸症(たんぱくそんしつせいちょうしょう)」と言います。
アルコール摂取が多い
アルコール摂取が過剰になったり、ウイルス性肝炎にかかると、肝組織が損傷して肝臓が硬くなり、機能が低下してしまう 肝硬変(かんこうへん)を引き起こすことがあります。肝硬変になると、水分を調整する働きのある アルブミンというタンパク質が作られにくくなり、むくみの原因になります。
尿が泡状になっている
尿の中にたくさんのタンパク質が漏れ出すと、尿が泡状になり、これを「 ネフローゼ症候群」と言います。ネフローゼ症候群は、血液の中のタンパク質が減ってしまう腎臓病の総称です。
ネフローゼ症候群の原因には、糖尿病、高血圧、腎臓病などがあります。
まとめ
むくみを起こす原因はたくさんありますね。
血液の流れやリンパの働きは、いろいろな器官やホルモンなど、たくさんのことが関係している中で行われています。一部の栄養素や成分が過剰になってバランスがくずたりしても、血管やリンパ管に影響が出てしまいます。
日常生活の中で改善できることをして、むくみがなくなればそれに越したことはありませんが、そうでないことがあるかもしれませんので、気になったら早めに医師の診察を受けてくださいね。
リンパの中には免疫細胞もありますので、むくみがおこると免疫力が低下して、感染症やアレルギーを起こしやすくなる、ということもあります。
大切な酸素が全身に行き届くためにも、血の流れはよくしておきたいですね ^^)