ストレスは肌にとって良くない、ということをご存知の方は多いでしょう。肌のかゆみや乾燥、荒れ、赤みでさえもストレスが原因、と言われることがあります。
それほどまでに肌に与える影響の大きなストレスですが、なぜ肌にとって良くないのか、ということはわからないことも多いですよね。そこで今回は、ストレスが私たちの肌にどのように作用するのか、ということを解説していきます。
この記事の目次
ストレスが肌に与える影響
ストレスが肌に与える影響には、次のようなことがあります。
- 外敵を見張っている細胞の数を減らしてしまうので、バリア機能が弱くなる
- 肌表面の細胞を減らし、肌を薄く弱くする。
- 外敵を攻撃する細胞の数を減らしてしまうので、肌が弱くなる。
- バリア機能の回復を遅らせてしまう。
- シミの元が作られやすくなり、肌の炎症や黒化が起こってしまう
それでは、それぞれについて、詳しく解説していきます。
見張り役が減って、バリア機能が弱くなる
肌の見張り役として働いているのは、 ランゲルハンスという細胞で、肌表面の細胞(ケラチノサイト)の間に散らばって存在しています。
このランゲルハンス細胞は、ストレスにより数が減ってしまうことが分かっています。ランゲルハンス細胞の数が減ってしまうと、見張り役が減ってしまうということで、外敵につけ入るすきを与えてしまうことになります。
その結果、肌に痒みがでたり、赤くなったりしやすくなる、というわけなのです。
肌表面の細胞を減らし、肌を薄く弱くする。
肌表面の細胞は ケラチノサイトです。ストレスはこのケラチノサイトの数を減らしてしまうというのです。
肌の表面では、小さな細胞がいくつも積み重なって層を作っています。毎日、層の一番奥で新しい細胞が生まれ、いちばん外側の細胞は、はがれて落ちていきます。これを ターンオーバーと言いますが、ストレスがかかると、生まれてくるはずの新しい細胞が作られにくくなり、外側の細胞ははがれていくので、結果的に肌が薄くなってしまう、ということになります。
抗菌ペプチドの数を減らしてしまう
抗菌ペプチドとは、有害な菌を攻撃して死滅させる働きがあるアミノ酸とアミノ酸が結合したものです。抗菌ペプチドは、いつも私たちの肌の表面にあって、肌から忍び込もうとする外敵に対処しています。
ニキビの原因と言われている アクネ菌に対処しているのも、この抗菌ペプチドですので、数が減ってしまうとニキビができやすくなってしまう、ということになるのです。
抗菌ペプチドは、ストレスのほかに、ホルモンの分泌が変化した時にも、減ることがあります。生理前の女性の体では、エストロゲンが減り、プロゲステロンの分泌が増えますが、こんなときにも抗菌ペプチドが減ってしまいますので、 肌荒れが起きやすいということなのです。
シミの元が作られやすくなる
ストレスがかかるとまずは脳に情報が伝えられ、脳からホルモンを調節している器官に連絡がいって、ストレスから体を守るためのホルモンが出されます。
ですが、そのホルモンが出すぎてしまうと、色々と悪影響が出てしまうのです。
シミの元となる メラニンもその一つで、増えすぎてしまうということがあり、シミを悪化させたり、できやすくなってしまうということになるのです。
ストレスには2種類ある
ストレスには大きく分けて 心理的ストレスと 生理的ストレスがあります。
心理的なストレスを解消するために行っていることが、生理的なストレスになっている、ということがあるので注意が必要です。お酒を飲んだりタバコを吸ったりすることは、一時的に心理的ストレスの解消にはなっているかもしれませんが、体には相当の負担がかかっている、ストレスになっている、ということも多いものです。
最近は、紫外線も体にとって相当なストレスとなっていますよね。DNAを障害したり、細胞を死なせたり、コラーゲンの分解も行われ、光老化と言われるものを引き起こし、肌を老化へとすすめてしまいます。
外に出て遊び、思いっきりストレスを発散する、ということも注意してやらなければならなくなりました。
ストレスが作用する3つの機関
ストレスの刺激はまず、体の各器官をコントロールしている脳の領域に伝えられます。
そのあと、大きく分けて3つの機関に伝えられ、ストレスに対応することになります。3つの機関とは、自律神経系、内分泌系(ないぶんぴつけい)、免疫系(めんえきけい)です。
自律神経系では、情報を伝達するための物質である 神経伝達物質をやり取りして、調整を行います。
内分泌系では、 ホルモンと呼ばれる、情報伝達のための物質を出して各器官の働きを調節しています。
免疫系では、 サイトカインというタンパク質が情報伝達のための物質です。
この3つの機関は、私たちの体がいつも安定した状態を保てるように、働いている重要な機関です。
ストレスの刺激で 自律神経の交感神経が活発になると、一部の免疫細胞が数を増やして活発になります。その免疫細胞は、ストレスをさらに受け続けると、自分の体をも攻撃してしまう、という行き過ぎたところがあります。それが 胃潰瘍や 急性胃炎を引き起こすことになるのです。
ストレスの刺激が、内分泌系に伝えられると、腎臓の上にある 副腎(ふくじん)という臓器で、グルコース(ブドウ糖)が合成され、ご飯を食べた後のように血液中の糖の割合を増やします。これを血糖値が上昇するといい、炎症を抑える効果があります。
血糖値の上昇は、免疫細胞などによる炎症を抑える効果がありますが、逆に高血圧や、糖尿病をまねく原因になります。
また、血糖値の上昇が慢性的になると、脳の 海馬と呼ばれる記憶をつかさどる部分にダメージを与え、 うつ病を引き起こすこともある、と言われています。
まとめ
いかがでしたか。
ストレスが私たちの肌に与える影響には色々なものがありますね。体を正常に保とうとして働いているシステムが、ストレスによる狂ってしまうこともあります。そうなれば、とたんに肌の バリア機能が弱くなって、細菌などにやられてしまい、ニキビや吹き出物、赤みといった症状がでてしまうことになります。
逆に言うと、いつも守られているんだなぁ、ということもわかってきますよね。
できるだけストレスのない状態を保ちたいですね。自分でコントロールできないこともあるかもしれませんが、コントロールできることも多いです。気持ちの持ち方を変えたり、見方を変えることでストレスを減らせることは色々あります。
身体的なストレスにも注意が必要ですよね。悪い習慣だと思いつつ、続けていることがあるなら、これを機会にやめることもできるでしょう。
私たちの一番外側で、体を守っている肌を健康に保つことは、本当に大切なことですよね。
ストレスを蹴散らしちゃいましょう ^^)