こめかみに感じる痛みには、いくつかの考えられる頭痛のタイプがあります。
痛みがどのくらい続いているのか、どんな風に痛いのか、どんな前兆があったのか、などによってタイプが異なります。
今回は、「こめかみが痛い」という頭痛について解説していきます。
この記事の目次
こめかみの頭痛、原因はなに?
こめかみに痛みを起こす頭痛には、次のようなものがあります。
- 頭を締め付けられるように痛い、緊張型頭痛
- ズキズキと脈打つように痛い、巨細胞動脈炎(きょさいぼうどうみゃくえん)
- 刺すような鋭い痛みがある、群発頭痛(ぐんぱつずつう)
- 何も手を付けられないほど痛い、片頭痛
それぞれについて、ほかの症状なども見ていきましょう。
緊張型頭痛
緊張型頭痛において一般的に考えられていることに、次のようなものがあります。
痛みの特徴
緊張型頭痛の特徴は、こめかみの両側から締め付けられるような痛みを感じることです。
ズドーンとした鈍痛で、「鉢巻を巻いたような」とか「頭にお鉢をかぶせたような」などと表現されます。
緊張型頭痛は、頭痛の中で一番多く発症するタイプだと言われています。
痛みの持続時間や発症時間
痛みは、30分のこともあれば、1週間と長く続くこともあります。
午後に痛みを発症することが多く、慢性になると週に1、2度といったペースで繰り返します。
痛みの程度
緊張型頭痛の痛みは、後述する片頭痛などに比べれば軽く、日常的な身体活動に多大な影響を及ぼす、ということはあまりない、とされています。
頭痛以外の症状
痛みのほかに、「光や音に過敏になる」ということがあります。
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛は、「筋緊張性頭痛」と呼ばれることもある、筋肉の緊張によって引き起こされる頭痛です。
肩こりや首のこりをともなっていることが多く、こめかみの後ろあたりの筋肉がかたくなっていることもあります。
筋肉が緊張すると血流やリンパの流れが悪くなります。血流やリンパの流れが悪くなると、筋肉に老廃物がたまり、たまった老廃物が神経を刺激するので頭痛が起こる、というわけです。
緊張型頭痛は、血流の悪さから起こる「脳の酸素不足を知らせるサイン」と言われたりもします。
緊張型頭痛の解消法
繰り返す緊張型頭痛には、ストレスを減らすことが有効だとされています。
ストレスが体の緊張を引き起こすことが多いからです。睡眠不足や環境の変化なども頭痛を引き起こすきっかけになることがあります。
緊張型頭痛を改善するには、ストレッチや入浴、肩・首を温める、などの方法が効果的です。
頭痛をやわらげる効果のあるツボを刺激するのも効果があります。こちらで場所などを解説しています。
緊張型頭痛は、痛み止めの薬を過剰に使用することで、慢性緊張型頭痛に移行することがありますので注意が必要です。
巨細胞動脈炎(きょさいぼうどうみゃくえん)
巨細胞動脈炎(きょさいぼうどうみゃくえん)とは、上半身から首、頭を通っている大きな動脈に炎症が起きるもので、多くの場合、こめかみあたりの動脈がおかされることで、頭痛を発症するとされています。
巨細胞動脈炎において一般的に考えられていることは次の通りです。
痛みの特徴
巨細胞動脈炎の特徴は、こめかみに心臓の鼓動のような、ズキ、ズキとした痛みがあることです。
髪の毛をとかしたときや押したときなどに、頭皮に痛みを感じることもあります。
また、こめかみ辺りが、腫れていることもあります。
頭痛以外の症状
巨細胞動脈炎では、あごや、あごの周辺、舌に痛みが出ることもあり、ものを噛んでいるうちに疲れたりすることもあります。
進行すると、かすみ目や複視、失明など、目に障害が出ることがあります。
巨細胞動脈炎は、55歳以上の方に発症することが多い、と言われています。
群発頭痛(ぐんぱつずつう)
群発頭痛において一般的に考えられていることは次の通りです。
痛みの特徴
群発頭痛の特徴は、こめかみの片側に刺すような痛みがあることです。
目の奥や目の周りが痛くなることもあります。
持続時間・時間帯・頻度
持続時間は、1回15分~3時間で、1日に数回繰り返したり、夜中の2時や3時ごろに痛み出すこともあります。
頭痛は、6~12週の間に群発して起こります。
痛みの程度
群発頭痛は痛みが強く、横になることができずに、歩き回ることが多い、と言われています。
頭痛以外の症状
群発頭痛は、右なら右、左なら左、という風に痛みが出ている側と同じ側に、目の充血やまぶたの腫れ、汗、涙、鼻づまり、鼻水などの症状が出ることがあります。
痛みの誘発因子と解消法
アルコールやヒスタミン、ニトログリセリンによって、誘発されることがあります。
群発頭痛では、「酸素吸入法」という治療法が効果的で、早ければ5分くらいで痛みがやわらぐと言われています。
群発頭痛が時々起こるという方は、「酸素吸入法」を実施している医療機関を見つけておかれるといいかもしれませんね。頭痛外来など、専門の医療機関で前もって相談されておくのもいいですね。
群発頭痛は、20~40歳くらいの男性、またはタバコを吸う人に多く発症する、と言われています。
片頭痛
片頭痛は神経血管障害で、血管が拡張することによって起こる、慢性頭痛症候群です。片頭痛において、一般的に考えられていることは次の通りです。
痛みの特徴と前兆
片頭痛は、ズキンズキン、ドクンドクンとした拍動性の激しい痛み(脈打つ痛み)が特徴で、片側のこめかみに起こることが多いです。
痛み出す前に、視界に光の点滅をみることもあります。
持続時間・頻度
持続は、4~72時間で、月に1、2回、あるいは年に数回、痛みがでます。
痛みの程度
痛みが強く、仕事や用事ができないこともあります。
頭痛以外の症状
話し言葉がしどろもどろになったり、音や光に対し敏感になったりすることがあります。吐き気をともなうこともあります。
痛みの原因と誘発因子
片頭痛は、脳周辺の血管が異常拡張を起こしたときに、血管から痛みを引き起こすセロトニンという物質が飛び散ることで発症する、と言われています。
血管が異常拡張を起こす原因のひとつに、自律神経失調症があると考えられています。
自律神経のバランスが悪く、交感神経(活動しているときに働く神経)ばかりが優位になると、血管は収縮しがちになります。そこに何らかのきっかけで血管はゆるむのですが、長く収縮していた分、 異常な拡張を起こす、というわけなのです。
チョコレートやチーズ、アルコールなどをとったとき、月経などがきっかけで痛み出すこともあると言われています。
片頭痛は、女性が男性の2~3倍多く発症する、とされています。
遺伝性があり、学童時期から起こることもあります。
片頭痛の解消法
片頭痛は、拡張した血管を静めるために、こめかみなどの痛いところを冷やして、安静に過ごすのがいいと言われています。
また最近、拡張した血管を収縮させるために開発された「トリプタン製剤」という薬が、治療に用いられていますので、医療機関で処方してもらうのもいいでしょう。(今のところ市販はされていません)
こめかみの痛みは他の原因かも
「こめかみが痛い」という原因が、これまで述べてきたもののどれかとは限りません。
特にいつもと違う痛みなどがある場合は、ほかの病気のことも考えられますので、自己判断せずに早めに医療機関を受診するようにしてくださいね。
まとめ
頭痛の原因は、はっきりわかっていないことも多いですが、筋肉や血管の緊張がもたらすことが多いようです。
水分や休養をしっかり摂り、ストレスを減らして、筋肉や心をゆるめていくことが、頭痛の予防になるでしょう。
目の使い過ぎは、酸素の消費を増やし、頭痛の原因になると言われています。時々目を休めることも大切ですね。