亜鉛の不足は、様々な症状や病気の原因に深く関係していると言われています。
亜鉛はまた、精神を健康に保つうえにおいても、欠かすことのできないミネラルです。
今回は、亜鉛の不足が引き起こす症状や原因などについて解説していきます。
亜鉛不足を解消する食べ物もご紹介していますので、参考にしていただければと思います。
この記事の目次
亜鉛の不足が引き起こす症状ってなに?
亜鉛が不足すると、次のような症状がでると言われています。
- 成長障害(小人症)
- 抜け毛、髪の毛が細くなる、髪の毛の色が薄くなる
- 味覚障害
- 性的発育障害、生殖能力の低下
- 胎児や出産に影響
- 皮膚の炎症
- 肌の老化
- 視力の低下
- 精神への悪影響
- 免疫力の低下
- 慢性下痢症
などです。
亜鉛不足が引き起こす成長障害!?
重度の亜鉛欠乏におちいった場合、体の成長が止まってしまう小人症などを発症することが、海外の実例などにより明らかにされています。
亜鉛の不足で抜け毛が増える!?
亜鉛には、細胞分裂を促すという大切な役割があります。私たちのからだで細胞分裂が盛んなところと言えば、髪の毛がつくられる頭皮ですよね。
亜鉛の不足は、髪の毛が伸びないばかりか、細くなったり、抜け毛が増えたり、生えてこなくなったりする原因になります。
亜鉛不足が味覚障害を起こす!?
舌もじつは、細胞分裂が盛んなところなのです。味を感じる味蕾(みらい)と呼ばれる器官は、新陳代謝が速く、約30日で新しい細胞に生まれ変わると言われています。
亜鉛の不足が何日も続き、細胞の生まれ変わりがスムーズに行われなくなると、味蕾が壊れて、味覚障害が出てしまうこともあります
性的発育障害や生殖能力の低下!?
男性では精巣にたくさんの亜鉛が含まれており、精子の数や運動量に、亜鉛が関わっています。亜鉛の不足が生殖能力の低下ばかりでなく、性的発育障害の原因になるとも言われています。
女性では卵子に亜鉛があり、不足することで卵子の生育や、受精後の胎児の発育が悪くなったり、生理不順の原因になったりします。
亜鉛が不足すると、性欲そのものも減退すると言われています。
亜鉛の不足は出産にも影響!?
妊娠中の女性が亜鉛不足になると、早産しやすくなる、ということが、スウェーデンの研究で明らかにされています。
また、妊娠後期での亜鉛不足は、分娩の遅れや出血の増加、分娩異常を引き起こすこともあると言われています。
胎児が成長するにつれて、妊婦さんの亜鉛が激減すると言われていますので、妊娠期間中は血液検査で亜鉛の量をしっかりチェックしたいですね。
亜鉛不足が皮膚に炎症を!?
亜鉛の不足は、皮膚の炎症を引き起こすとも言われています。特に手足や開口部(口や耳などの穴)に多く発症し、赤くなったり、膿が発生したりします。
これを腸性肢端皮膚炎(ちょうせいしたんひふえん)といい、先天性のこともあり子供にもみられます。
ひどくなると、炎症があるところで脱毛や、色素の不足による脱色などもあります。
亜鉛の不足で肌が老化する!?
亜鉛は、肌を健康に保つ、コラーゲンの分解酵素であるコラゲナーゼを活性化させる働きがあります。
亜鉛が不足すると、コラーゲンがうまく作りだされないために、肌がカサカサになり、弾力がなくなり、しわやシミ、そばかすなどが増えると言われています。
亜鉛の不足は精神に影響!?
亜鉛が不足すると、無動症やうつ症状を引き起こしたり、気分が落ち込んだりすることもあると言われています。
脳の中、とくに学習や記憶をつかさどる海馬に亜鉛がたくさん存在していることが、関係しているのではないかと考えられています。
亜鉛不足は視覚に影響する!?
亜鉛は、網膜や眼球にも多く存在していますので、不足することで、視覚にも影響するとされています。
亜鉛不足で免疫力が低下!?
亜鉛が不足すると、肌のバリア機能が低下して、感染症にかかりやすくなったり、口内炎ができやすくなったり、アレルギーを引き起こしやすくなったりするとも言われています。
亜鉛の不足により、皮膚の表面に存在する免疫細胞(ランゲルハンス細胞)が、減少するためではないかと考えられています。
慢性的に下痢を起こす
亜鉛の不足は、慢性の下痢症を引き起こすこともあると言われています。
亜鉛が不足する原因はなに?
亜鉛が不足する原因には、次のようなことがあると言われています。
- アルコールの飲み過ぎ
- 糖尿病
- 肝臓病
- 腎臓病
- 食品添加物の摂取
- ダイエット・偏食
- 喫煙
- 紫外線
- ストレス
- 下痢
- 炎症性腸炎
- クローン病
- スプルー(熱帯性下痢)
- 短腸症候群
- フィチン酸を多く含む豆類などの大量摂取
アルコールの飲み過ぎで亜鉛不足!?
アルコールの飲み過ぎや糖尿病、肝臓病、腎臓病などは、尿への亜鉛の排出を促し、亜鉛が不足する原因になると言われています。
コンビニ食が亜鉛不足の原因!?
加工食品の摂取も亜鉛不足の原因になります。
インスタント食品に含まれるポリリン酸ナトリウムなどの添加物や合成保存料は、体内への亜鉛の吸収を妨げると言われています。
偏食や喫煙でも亜鉛が不足する!?
偏食やたばこ、紫外線、ストレスなども、亜鉛の不足原因になると言われています。
日本では特に、女性に亜鉛不足が多いと言われており、その原因にダイエットもあげられています。
亜鉛の吸収不全症で不足が起こる!?
下痢、炎症性腸炎、クローン病、スプルー(熱帯性下痢)、短腸症候群などの、亜鉛の吸収に支障をきたす病気にかかっていると、亜鉛が不足する傾向にあると言われています。
亜鉛の吸収を妨げる食べ物!?
食物繊維や、タンニン、シュウ酸と亜鉛を一緒に摂ると、亜鉛などのミネラルの吸収が妨げられると言われています。
亜鉛と結合して亜鉛の吸収を妨げる成分に、豆類や穀類に含まれるフィチン酸という成分もあります。
フィチン酸は、穀物などの種子の外被に多く含まれていますが、通常は精米により、取り除かれることが多いです。
タンニンは、飲み物などに含まれる渋み成分です。
シュウ酸は、ほうれん草やチョコレート、大豆、小麦ふすま、お茶などに多く含まれています。
亜鉛の腸管からの吸収率は30%!?
亜鉛が腸管から吸収されるのは、摂取した亜鉛全体の30%ほどだと言われています。
亜鉛は、ほかのミネラル(鉄や銅、カルシウムなど)と吸収の入り口を奪い合う形で吸収され、吸収されなかった分は、便となって排出されます。
鉄や銅が過剰に摂取されると、亜鉛の吸収が妨げられることになり、また亜鉛の過剰摂取は、鉄や銅の不足を招いてしまいます。
亜鉛の過剰摂取が引き起こす、鉄欠乏症・銅欠乏症については、こちらで解説しています。
亜鉛不足を防ぐ1日の摂取推奨量は?
厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要』
亜鉛不足を起こさないために必要な1日の摂取量は、厚生労働省の摂取基準において、成人男性で10mg、成人女性で8mgと推奨されています。
妊娠中の女性においては、10mg(8+2)、授乳中の女性では11mg(8+3)となっています。
平成27年の国民健康・栄養調査によると、成人男性の亜鉛の摂取量は平均で約9mg、成人女性では平均で約7.3mgと、いずれも摂取基準を下回っています。
亜鉛不足を解消する食べ物はなに?
亜鉛を多く含む食べ物には、次のようなものがあります。
- 牡蠣 (100g中13.2mg)
- 豚レバー (100g中7mg)
- ピュアココア (100gあたり7mg)
- 抹茶 (100gあたり6.3mg)
- ごま (100gあたり5.5mg)
- 牛肩 (100g中4.9mg)
- ズワイガニ鶏肉 (100g中4.7mg)
- 卵黄 (100gあたり4.2mg)
- アーモンド (100gあたり4mg)
- 牛レバー (100g中3.8mg)
- チーズ (100gあたり3.2mg)
- 大豆 (100gあたり3.2mg)
- 鶏肉 (100gあたり1mg)などです。
全粒粉のシリアルなども、亜鉛の含量が比較的多いと言われています。
亜鉛を助ける食べ物・飲み物
牛乳に含まれるクエン酸に、亜鉛の吸収を高める効果があり、にんにくや玉ねぎには、亜鉛の働きを助ける効果があると考えられています。
まとめ
成人の体内では約1.5~2.5gの亜鉛が保持されるようになっていると言われています。
亜鉛を体内にとどめておくことができる量には、限界がありますので、亜鉛は毎日の食事でまめに摂る必要がありますね。
亜鉛の摂取が少ない、と感じる時には、サプリメントなどで不足分を補給するのもいいでしょう。その場合も、食事と一緒にとった方が吸収がいい、と言われています。
食事はバランスが大切ですね^^)