貧血は、かなり進まないと自覚症状がでない、と言われています。目の下まぶたの内側が白くなるのは、貧血の初期症状で、めまいや吐き気などがある場合には、それよりも貧血が進んでいると言えます。
今回は、貧血の症状を中心に解説していきます。
貧血には、さまざまな原因がありますので、適切な治療が必要になります。
この記事の目次
貧血の症状には何があるの?
ヘモグロビンが減るにつれて...
貧血の症状には、ヘモグロビン(血色素)の濃度に応じて、次のような症状があらわれることがあると言われています。
- 皮膚・目の結膜のふちが白くなっている (ヘモグロビン濃度 8.5g/dL)
- 脈が速くなる(1分間に100回以上) (ヘモグロビン濃度 8.0g/dL)
- 労働などの後の呼吸困難 (7.5g/dL)
- 神経過敏(痛みを感じやすかったり、通常あまり気にならないことが気になるなど)
- 頭痛・眠気
- めまい・目が回る (6.0g/dL)
- 心雑音(脈以外の音)
- 衰弱(すいじゃく)
- 食欲不振 (4.5g/dL)
- 吐き気
- 発熱 (3.5g/dL)
- 呼吸困難
- 心不全(心臓の機能が低下すること)
- 昏睡(こんすい) (2.0g/dL)
(女子栄養大学出版部「貧血を防ぐために」参照)
貧血初期の段階では、皮膚や目の結膜が白くなる、という症状があらわれ、重症になると昏睡状態を引き起こすと言われています。
ヘモグロビンの正常値は?
ヘモグロビン濃度の正常値(参考値)は、年齢により若干の違いがありますが、男性で13~18g/dL、女性では11~16g/dLだと言われています。
ヘモグロビンってなに?
ヘモグロビンが減少する、ということはつまり、全身の細胞が酸欠状態になる、ということなのです。ヘモグロビンは血液にのって全身をめぐり、酸素を届ける大切な働きをしています。
貧血とは、ヘモグロビンの濃度が低下した状態のことで、ヘモグロビンが減少する原因には、次のような様々なことがあります。
貧血の原因、ヘモグロビンはなぜ減るの?
貧血の原因である、ヘモグロビンの減少は、
- ヘモグロビンの材料である、鉄の不足が原因で起こる
- ヘモグロビンを作るビタミンB12や葉酸(ようさん)の不足が原因で起こる
- 失血が原因で血液そのものが減少する
- ヘモグロビンの居場所である赤血球が破壊される
- 血液を作る骨髄の機能が低下して、赤血球が作られない
などで生じると言われています。
この中で貧血の原因として最も多いのが、鉄の不足です。
鉄はどのくらい摂ればいいの?
体内にある鉄のうち3分の2は赤血球にあります。働きを終えて寿命になった赤血球は分解されますが、含まれていた鉄イオンの多くは、再利用されますので、体から去っていく鉄の量は、下の表にあるように大人で約1mgです。
(出典:厚生労働省)
1mgの鉄を補うためには、成人男性で約10mgの鉄の摂取が必要です。鉄は、腸管から約10%ほどしか吸収されないからなのです。
鉄が不足しがちな人は?
鉄が不足しがちな人は、菜食主義者や生理のある女性です。
また、鉄が通常より必要とされる成長期や思春期の人、妊娠している人も意識して多めに鉄を摂らなければ、不足しがちになります。
下の表は、厚生労働省が定める、鉄の一日の摂取量や上限量です。
鉄はどこから摂取すればいいの?
医療機関で鉄不足(鉄欠乏性貧血)だという診断がされた場合には、食事で鉄を補うことは難しいと言われています。
ほうれん草に含まれる鉄の量は、100gあたり約2.5mgで、ほうれん草から吸収できる鉄の量は、そのうちの約1%なのです。
医療機関では、徐放鉄剤(じょほうてつざい)と呼ばれる内服薬での治療が一般的で、貧血がよくなるまで、およそ3~4カ月以上にわたり用いられると言われています。
慢性貧血の場合は食事療法で
普段の食事に鉄が不足している場合や、妊婦さん、思春期や発育期にある人、生理出血のある人は、積極的に食事での鉄の摂取を心がけましょう。
食品別、鉄の含有量と吸収率を参考にしていただければと思います。
魚 (鉄の含有量14mg/100g) 吸収率 13%
牛肉 (鉄の含有量4mg/100g) 吸収率 23%
牛レバー (鉄の含有量5mg/100g) 吸収率 13%
ゆで大豆 (鉄の含有量2mg/100g) 吸収率 7%
20代の女性が、魚で1日の鉄分を補う場合には、約260g必要です。
牛肉では、約520g、牛レバーでは、約740g、ゆで大豆では、約3430gが必要ということになります。
まとめ
いかがでしたか。
貧血の原因は細胞の酸欠ですので、症状は全身におよび、様々なものがあります。目の結膜部分が白くなっていると、すでに鉄が不足している、と考えていいでしょう。
ひどくなる前に、医師の診察を受けられることをおすすめします。
また、貧血を起こしやすい人もそうでない人も、普段から鉄の摂取を心がけて、欠乏することがないようにしたいですね。
インスタント食品や加工食品はなるべく控えた方がいいですよ。