吐き気を起こす原因はたくさんあって、それほど心配のないものもありますが、注意を要するものや、緊急の対応が必要なものもあります。
吐き気は、胃や食道といった消化器官に問題があるときばかりに、起こるものではありません。
今回は、吐き気の原因について解説していきます。
この記事の目次
吐き気の原因はなに?
急性の吐き気の原因で、最も多いと言われているのがウイルス性胃腸炎ですが、吐き気が長く続いている場合は、ほかの原因も考えられています。
まずは、ウイルス性胃腸炎の特徴的な症状だと言われているものを見てみましょう。
ウイルス性胃腸炎の特徴
ウイルス性胃腸炎の特徴には、次のようなものがあります。
- みぞおちが痛くなる。
- 吐き気や嘔吐がある。
- 腹痛もある。
- 水のような下痢もしている。
ウイルス性胃腸炎では、最初にみぞおちが痛くなった後、「吐き気・嘔吐」、「腹痛」、「下痢」の3症状が続いて起きる、と言われています。
腹痛や下痢がなかったり、吐き気や嘔吐が、24時間経過しても軽くなっていないようであれば、ウイルス性胃腸炎以外の原因があると、考えられています。
吐き気を起こす病気には何があるの?
吐き気を起こす原因はたくさんあって、大きく次の6つに分けることができます。
- 中枢神経系(脳や脊髄)の病気
- 消化器系(口から肛門まで)の病気
- 感染症(細菌やウイルス、カビなど)
- 服用している薬など
- 内分泌系(ホルモンなど)の病気
- その他(上記以外の病気)
それぞれについて、どんなものがあるのか解説する前に、注意を要すると言われている、吐き気以外の症状を見てみましょう。
要注意の症状とは
次のようなことがないか、チェックすることが大切です。
- 24時間以上、吐き気が続いている
- お腹の右下に痛みがある
- 38℃以上の熱がある
- 下痢が1日に6回以上ある
- お腹の強い痛みがある
- 便が黒い
- 血便が出る。
- めまいがある。
- 高血圧や糖尿病をわずらっていて、みぞおちがいつまでも痛い。
- 高齢者の突然の嘔吐
- 妊娠の可能性
お腹の右下には何があるの?
お腹の右下が痛い、という場合には、急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)が原因になっている恐れがあり、緊急手術が必要、という場合もあります。
虫垂炎は、「盲腸(もうちょう)」とも呼ばれるもので、初期症状はみぞおちの痛みと吐き気・嘔吐だと言われています。
100%ないと言えますか。
女性で気を付けなければならないのは、妊娠の可能性です。可能性がないと思っていても、「妊娠していた」、ということはよくあることです。不用意に薬を飲むことは、胎児への影響を考えて、避けたいところです。
吐き気を起こす原因の病気って?
吐き気を起こす原因になる病気には、次のようなものがあります。
中枢神経系(脳や脊髄)の病気が吐き気の原因?
脳や脊髄(せきずい)に異常がある場合にも、吐き気をもよおすことがあり、次のようなものがあると言われています。
- 片頭痛
- 内耳炎:耳の内耳に炎症が起きるもの
- てんかん:発作的なけいれんや、意識障害がおきる脳の病気
- 前庭障害:耳にある、平衡感覚をつかさどる前庭に起きる障害
- 脳血管障害:脳内の血管に異常が起きるもの
- 脳腫瘍(のうしゅよう):脳やその周りにできる腫瘍
- 髄膜炎(ずいまくえん):脳や脊髄をおおっている膜に炎症が起きるもの
などです。
消化器系(口から肛門まで)の病気が吐き気の原因?
消化器に異常が起きた場合の、吐き気の原因には、次のようなものがあると言われています。
- 胃潰瘍(いかいよう):胃の中がただれてしまうこと
- 過敏性腸炎:腸が過敏に反応することが原因で、下痢や腹痛、便秘を起こすもの
- 食道アカラシア:原因不明の、食道の機能障害
- 肝炎
- 神経性胃炎
- 炎症性腸疾患
- 腸重積:腸の一部が重なってしまう病気
などです。
感染症(細菌やウイルス、カビなど)が吐き気の原因?
感染症を発症した場合の、吐き気の原因には、次のようなものがあると言われています。
- 急性中耳炎
- 細菌性腸炎
- 肺炎
- 尿路感染症:尿の通り道である、腎臓、膀胱、尿道、前立腺、精巣などが細菌などに感染すること
- 突発性細菌性腹膜炎(ふくまくえん):胃や肝臓をおおっている膜に炎症が起きるもの
などです。
服用している薬などが吐き気の原因?
次のような薬が原因で、吐き気をもよおすことがあると言われています。
- 不整脈の薬
- 抗菌薬
- 抗てんかん薬
- 抗ガン薬
- ジゴキシン
- エタノール過量摂取
- オピオイド
また、殺虫剤や農薬に含まれている薬剤、塗装に使う成分が吐き気の原因になることもあります。
内分泌系(ホルモンなど)の病気
内分泌系に異常が起きた場合の、吐き気の原因には、次のようなものがあると言われています。
- 副腎疾患(ふくじんしっかん):性ホルモンなどを分泌する副腎の病気
- 糖尿病性ケトアシドーシス:糖尿病がもとで、血液が酸性に傾いた状態
- 甲状腺疾患(こうじょうせんしっかん):代謝をつかさどる喉にある臓器の病気
- 尿毒症(にょうどくしょう):腎臓の機能が低下しておこる病気
- 腫瘍随伴症候群(しゅようずいはんしょうこうぐん):がんがあることによって起きる症状
などです。
その他(上記以外の病気)
上記以外に、吐き気を起こす原因となるものには、次のような病気があります。
- 急性緑内障(きゅうせいりょくないしょう):眼圧が上がる目の病気
- 急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく):心臓に続く血管が詰まること
- 腎結石(じんけっせき):腎臓の中に石ができてしまうこと
- 精神疾患:うつや過食症、不安、転換性障害など
などです。
まとめ
吐き気を起こす原因になるものを見てきましたが、いかがでしたか。
初めに、ウイルス性胃腸炎の特徴を述べましたが、その通りではないからと言って、ウイルス性胃腸炎ではない、とは言えませんし、ウイルス性胃腸炎のようでいて、じつは違う病気が隠れていた、ということも考えられます。
いつまでも、吐き気が続いていたり、ほかにも気になる症状がある場合には、なるべく早く医師の診察を受けられることをおすすめします。
生ものなどを食べた後に、胃腸炎による吐き気が起きることがよくありますので、注意してくださいね ^^)