免疫力低下の原因はいろいろあって、避けて通れないものや、普段の生活で自らやってしまっているもの、気をつければ改善できるものなどさまざまです。
免疫力の低下は、ほかの機能に悪影響を及ぼしますし、ほかの機能低下はまた、免疫力に悪影響を及ぼします。
今回は、免疫力低下の原因について解説していきます。
この記事の目次
免疫力低下の原因には何があるの?
免疫力が低下する原因には、次のことがあると言われています。
- 胸腺(きょうせん)が縮小する、加齢
- 粘膜の機能低下をおよぼす、乾燥
- 肌表面の免疫細胞に悪影響をおよぼす、紫外線
- 免疫細胞の活性を抑える、ストレス
- 免疫細胞の機能回復を妨げる、睡眠不足
- 免疫細胞を肺にあつめる、喫煙
- 有害物質を発生させる、飲酒
- 遺伝
それぞれについて、詳しく解説していきます。
加齢が免疫力低下の原因!?
免疫力が低下する最大の原因は、加齢だと言われています。
加齢によって免疫力を低下させてしまう体の変化には、次のことがあります。
- 免疫細胞を出す重要な器官、胸腺(きょうせん)の縮小
- 免疫細胞の減少
- 皮膚水分の減少
胸腺の縮小ってなに?
胸腺とは、体の中に入ってきた異物に強い反応を示す「T細胞」という免疫細胞を送り出す重要な機能を持つ器官で、その大きさは、10歳をピークに少しずつ小さくなり、70歳ごろには、ほとんど残っていないと言われています。
胸腺が小さくなると、T細胞を送り出す能力が低下するとともに、異物を認識する力の弱いT細胞や、間違えて自己を攻撃してしまうT細胞を体内に送り出してしまう、などということが起こってしまいます。
新しい免疫細胞が作られない!?
加齢が進むと、新しく免疫細胞を作る、ということが減ってきてしまいますので免疫力が低下します。
T細胞や、NK(ナチュラルキラー)細胞という、体の中に侵入してきた異物を攻撃する細胞や、B細胞という、ウイルスを無毒化する抗体を作る細胞などが減少してしまいます。
加齢で皮膚の水分不足が起こる
加齢にともなうおこる皮膚の水分量の低下も、免疫力低下の原因になっています。
健康な皮膚は、細胞と細胞の間に十分な水分がありますので、バリアとしての機能も果たすことができますが、水分が減少すると、すき間ができてしまい、外敵が侵入しやすくなってしまうのです。
乾燥が免疫力低下の原因!?
乾燥は、外敵の侵入を防ぐ重要な器官である、「粘膜(ねんまく)」の機能を低下させる大きな原因になっています。
乾燥すると粘膜の「腺毛細胞(せんもうさいぼう)」の働きが悪くなり、ウイルスなどの外敵をとらえて排出する、という能力が低下してしまうのです。
紫外線が免疫力低下の原因!?
免疫細胞のひとつである「ランゲルバンス細胞」は、皮膚の表面にあり、細菌などの外敵が侵入してきたことを「リンパ球」に伝える大切な働きをもっています。
「リンパ球」は、各免疫細胞に知らせを送り、外敵に対し攻撃を仕掛けます。
紫外線は「ランゲルバンス細胞」の働きを低下させる原因になっている、と言われています。
ストレスが免疫力低下の原因!?
私たちの体は、ストレスを感じると自律神経の「交感神経」が過敏になり、「アドレナリン」という興奮ホルモンを血液中に放出します。
その結果、血管には収縮がおこりますので、粘膜の機能も低下してしまいます。
またストレスにより、血液中に「コルチコステロン」というホルモンも増加します。「コルチコステロン」は、胸腺を委縮させたり、NK細胞やT細胞の働きをおさえたりして、免疫力を低下させることが知られています。
ストレスと免疫力の関係について、こちらでも詳しく解説しています。
睡眠不足が免疫力低下の原因!?
睡眠不足は、睡眠で得られる免疫細胞の機能回復の機会を奪ってしまうことになります。免疫細胞の活性化は、睡眠による、自律神経の「副交感神経」の機能を高めることで得ることができます。
免疫力を高めるためには、睡眠時間の確保するとともに、質の高い深い睡眠も重要になります。
喫煙が免疫力低下の原因!?
たばこを吸う人のT細胞やNK細胞の働きは、たばこを吸わない人の約4分の1に低下してしまう、ということがわかっています。
肺に、「マクロファージ」や「好中球」という免疫細胞が、過剰に集ってしまうとも言われています。
またマクロファージは、体内に入ってきた異物を、飲み込んで処理する免疫細胞で、煙に含まれる炭の粉を飲み込んで、真っ黒になりながら、活性酸素を発生させてしまいます。
作りだされる活性酸素の量は、たばこを吸わない人の約4倍だと言われてます。
飲酒が免疫力低下の原因!?
アルコールを分解するときに発生する「アセトアルデヒド」という有毒物質は、肝臓や消化器の機能を低下させ、体に必要な栄養を吸収する能力が下がりますので、免疫力低下の原因になっています。
免疫力の低下はまた、神経や内分泌系の機能低下をまねき、神経や内分泌系の機能低下が、免疫力の低下につながる、という悪循環におちいってしまうことになるのです。
遺伝が免疫力低下の原因!?
免疫力低下の原因には、「遺伝」もあると言われています。親がアトピー性皮膚炎などの免疫系の病気を発症している場合は、子供も免疫系の病気を発症する率が高い傾向にあります。
免疫力低下を避けるためにできることはないの?
免疫力をできるだけ高く保つためには、質の良い睡眠のほかに、バランスの良い食事がやはり大切です。
免疫細胞を作るのも、免疫細胞を出したり、よりよく働かせたりするのも、食事からとれる栄養素のおかげです。
その栄養素を体中に運ぶためには、十分な水分補給や運動も大切ですね。
まとめ
免疫力低下の原因について見てきましたが、いかがでしたか。
免疫力を低下させてしまうものの中には、加齢や遺伝のように避けられないものもありますが、自分でやってしまっていることや、気をつければ避けられるものもあります。
免疫力を高く保つために、改善できることは改善していきましょう。
たぼこやアルコールの量は、減らしてくださいね^^)