円形脱毛症の原因には、いろんな説があるのですが、ある細胞が脱毛部分に多く現れていることがわかっています。
円形脱毛症は、数か月後には治ると言われていますが、再発するものや治りにくいもの、中には、円形脱毛症とよく似た毛髪の疾患もあるので、注意が必要なこともあります。
今回は、円形脱毛症の原因を中心に解説していきます。
この記事の目次
円形脱毛症の原因ってなに?
円形脱毛症の原因と考えられていることには、次のようなものがあります。
- 毛母細胞への栄養が不足する、栄養障害
- 遺伝
- ストレスが原因で、毛母細胞が障害される
- アレルギー疾患や炎症性疾患にともなって起きる
- 毛包(もうほう)に対する自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)
毛包とは、下の画像にあるように、毛を包んでいる部分のことです。
自己免疫疾患とは、免疫システムの乱れが引き起こす様々な症状の総称で、免疫細胞が自らの体を攻撃するために起こります。
毛包に対する自己免疫疾患が円形脱毛症の原因?
円形脱毛症を発症している部分の毛包には、ある種の免疫細胞の沈着や浸潤(しんじゅん)、発現が見られますので、脱毛には自己免疫が何らかの形で関係していると考えられています。
このような毛包では、委縮(いしゅく)した病的な毛が形成され、やがて抜けていきます。
うつ病と円形脱毛症
うつ病と円形脱毛症は、同時に発症することが多く、精神的ストレスが円形脱毛症に強く影響していると考えられています。ストレスは、免疫機能に異常をもたらす大きな原因とも言われています。
思春期の子供や、社会的責任を強く感じている男性、育児や家庭内の問題で悩んでいる女性などに円形脱毛症がよく見られます。
症状別、円形脱毛症
円形脱毛症には、次のように5つのタイプがあります。
- 単発型・単発であらわれる、完全脱毛班(かんぜんだつもうはん)
- 多発型・完全脱毛班が複数現れるもの
- 全頭脱毛症:頭部全体の毛が抜ける
- 汎発性脱毛症(はんぱつせいだつもうしょう)・頭全体、さらに眉毛も抜ける
- 蛇行状脱毛症(だこうじょうだつもうしょう)・髪の毛の生え際が帯状に抜ける
円形脱毛症の治し方は?
円形脱毛症は、数カ月たつと自然に治ると言われていますが、再発するものや治りにくいものも中にはあり、医療機関では円形脱毛症の治療に、一般的に次のような薬剤や治療法が用いられます。
- ステロイド外用薬
- 塩化カルプロニウム外用薬
治りにくい円形脱毛症には、
- SADBEなどの局所免疫療法
- PUVA療法
- 凍結療法
などが行われ、急激に悪化したような場合は、
ステロイドやシクロスポリンなどの内服薬が使われることもあります。
また、患者さんの不安が強い場合には、精神安定薬が用いられることも。
年齢によって治療法が異なります
「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010」によると、16歳以上の円形脱毛症と、15歳以下の円形脱毛症に対して推奨される治療法が異なります。
15歳以下では、ステロイドの内服やPUVA療法などは適応しないとされています。
局所免疫療法は15歳以下でも適応され、 円形脱毛症が改善することが多い、と言われています。
AA の治療で,小児例と成人例では治療内容が異な ることは周知である.
AAとはalopecia areataで、円形脱毛症のことです。
出典:「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010」
円形脱毛症によく似た脱毛症
円形脱毛症によく似た毛髪の疾患に次のようなものがあり、鑑別することが必要だと言われています。
- 子供に多いトリコチロマニア
- 頭皮に変化がみられる、瘢痕性脱毛(はんこんせいだつもう)
- 女性に多い、SLE(全身性エリテマトーデス)
- 梅毒による脱毛
それぞれについて、解説します。
トリコチロマニア
トリコチロマニアは、小さい子供に多く見られる症状で、自分で髪の毛を抜いてしまうために起こります。本人に自覚がなかったり、抜いていることを認めないこともあります。
脱毛の場所としては、手の届く利き手側の側頭部や前頭部に多いと言われています。
脱毛か所に短くて硬い毛が残っているのが特徴で、病的な毛もなく、不明瞭な脱毛班とされています。
瘢痕性脱毛(はんこんせいだつもう)
瘢痕性脱毛の特徴は、頭皮が線維化して硬くなったり、色素沈着を起こすことで、外傷ややけど、放射線などにより毛包が破壊されるために起こります。
SLE(全身性エリテマトーデス)
SLEは、ある種の免疫細胞が異常な行動を起こすことで、自己に対する拒否反応を示す抗体が作られて発症すると言われています。
症状の現れ方は人によってそれぞれで、発熱や疲労感、食欲不振、体重減少などがでることもあります。
梅毒
梅毒に感染すると、脱毛を発症することが知られています。
脱毛のタイプは、後頭部や側頭部に円形脱毛症がでたり、全体的にまばらに脱毛が出たりします。
まとめ
円形脱毛症の原因から治療法、間違いやすい疾患まで見てきました。
円形脱毛症は、ストレスなど何らかのことがきっかけで、自己免疫に起きた異常が原因になっている、と考えられています。
自然に回復してくることも多いと言いますので、気にしすぎないで、なるべくストレスから遠ざかる生活をおくるのがいいでしょう。
ただ、再発を繰り返すことがあったり、円形脱毛症ではないケースもありますので、気になる時は、早めに医師の診察を受けられることをおすすめします。
深い呼吸を心がけると、リラックスしやすいですよ ^^)