ドライアイの原因は、大きく2つに分けることができ、それぞれに病気や眼の炎症、日常使用しているあるものなどが関係しています。
今回は、ドライアイの原因について解説していきます。
この記事の目次
ドライアイの原因ってなに?
ドライアイの原因は、涙の分泌量が減るか、涙の蒸発量が増えるかのどちらかです。
涙の分泌が減る、ドライアイの原因は?
涙の分泌量が減るドライアイの原因には、次のようなものがあります。
- ドライアイの原因として最も有名な病気、シェーグレン症候群
- 眼の病気や炎症
- 加齢
シェーグレン症候群とは、眼と口に症状が出る、免疫機能の乱れが原因で起こる病気(自己免疫疾患)のひとつです。
涙腺が破壊されたり、涙の出口である導管がつまったり、分泌神経が異常を起こしたりすることで、涙の分泌量が減ってしまいます。
唾液の分泌が減って、口に炎症が起きることもあります。
涙が蒸発する、ドライアイの原因は?
涙の蒸発量が多いドライアイの原因には、次のようなことがあります。
- 油層(ゆそう)*に異常が発生する
- ウサギ眼*などでまばたきに障害がある、又はまばたきが少ない
- コンタクトを使用している
- 結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)などの眼の病気がある。
- 加齢
油層(ゆそう)って何?
油層とは、油の成分が含まれる、涙を構成する層のひとつで、涙の蒸発を防ぐ働きがあります。
ウサギ眼って何?
ウサギ眼とは、顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)や外傷などが原因で、まばたきをしても目を閉じることができません。
コンタクトも原因になるの?
コンタクトレンズの装着により、涙の蒸発を増やしてしまうことがあります。
また、正常な涙の分泌に障害をもたらすこともあります。
加齢は、両方のドライアイを引き起こす原因
加齢は、涙の出を悪くしたり、涙の蒸発を増やす眼の病気を引き起こしたりする原因になります。
ドライアイの原因になる眼疾患には何があるの?
ドライアイを引き起こす眼の病気には、次のようなものがあります。
- 細胞移植のあとに発症する、GVHD(慢性移植変片対宿主病:いしょくへんたいしゅくしゅびょう)
- 薬剤やウイルスなどが原因で起こる、スティーブンス・ジョンソン症候群
- 結膜に対して抗体ができる、眼類天疱瘡(がんるいてんぽうそう)
- 薬剤などが原因で発症する、偽眼類天疱瘡(ぎがんるいてんぽうそう)
- 油分が固まる、MGD(マイボーム腺機能不全)
- 結膜(けつまく)がゆるんでしまう、結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)
- IT作業などが原因で発症する、VDT症候群(office dry eye・IT眼症)
- 相互に病気を助長しあう、アレルギー性結膜炎
それぞれについて簡単に解説します。
GVHD(慢性移植変片対宿主病:いしょくへんたいしゅくしゅびょう)
GVHDは、再生不良性貧血や白血病などの、血液の病気に対して行われる「造血幹細胞移植」という治療法のあとに発症するもので、一種の拒否反応としてドライアイを発症することがあると言われています。
スティーブンス・ジョンソン症候群
スティーブンス・ジョンソン症候群とは、薬剤やウイルスなどが原因で、皮膚や粘膜、眼に症状を引き起こす病気です。
重症なドライアイを引き起こすと言われています。
眼類天疱瘡(がんるいてんぽうそう)
眼類天疱瘡(がんるいてんぽうそう)とは、自己免疫疾患のひとつで、結膜の基底膜に対してできた自己抗体が、結膜を攻撃することで炎症を引き起こす病気です。
原因不明のドライアイや頑固な慢性結膜炎の患者さんに、この眼類天疱瘡を発症している人が少なくないと言われています。
偽眼類天疱瘡(ぎがんるいてんぽうそう)
眼類天疱瘡(がんるいてんぽうそう)と同じように、ドライアイなどの症状がでますが、原因が薬剤やトラコーマのものを、偽眼類天疱瘡(ぎがんるいてんぽうそう)と言います。
MGD(マイボーム腺機能不全)
MGDとは、涙の蒸発を防ぐための油分を出すマイボーム腺が、機能低下をおこす病気です。マイボーム腺は上まぶたのふちに30~40個、下まぶたのふちに20~30個ありますが、油分が固まって、マイボーム腺を詰まらせることがあります。
下の動画は、マイボーム腺に詰まった油分を、医師が出しているところです。
結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)
結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)とは、結膜がゆるんでしわができる眼の病気で、涙を保持する能力が低下したり、異物感などの症状が出たりします。
VDT症候群(office dry eye・IT眼症)
近年、VDT(video display terminal)作業(IT作業)に従事する人が急増している中、ドライアイを発症する人も増えています。
VDT作業をしているときのまばたきの回数が、リラックスしているときに比べて減っていることや、オフィス内の空気が乾燥していることなどが原因で、ドライアイを引き起こすと言われています。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とドライアイは、相互に影響しあって症状を悪化させている、と考えられています。
アレルギーにより涙の安定性が悪くなり、一方ドライアイによりアレルギーの原因になる抗原が、目から侵入しやすくなって、アレルギーを長引かせてしまいます。
ドライアイの原因を知るためには、検査が必要です。
ドライアイの原因をきちんと知るためには、診察や検査をうける必要があります。
ドライアイの悪化や視力低下を引き起こさないために、ドライアイの症状があるときは、早めに専門医の診察を受けられることをおすすめします。
ドライアイの症状については、こちらを参考にしていただければと思います。
まとめ
ドライアイの原因をおさらいすると、大きく分けて2つあります。涙の分泌量が減っているか、涙の蒸発量が増えているかです。
涙の分泌量が減る原因には、自己免疫疾患のシェーグレン症候群、眼の病気や炎症、加齢などがあります。
涙の蒸発量が増える原因には、油層の異常や、まばたきの異常、コンタクトレンズの使用、眼の病気、加齢などがあります。
ドライアイは、眼を疲れさせる大きな原因になっていて、目が疲れると頭痛を引き起こすことも少なくありません。