尿から気になる臭い(におい)が立ち込める原因は、食べたものに匂いの成分が含まれている場合や、服用した薬、サプリメントが影響している場合、内蔵の機能が低下しているために本来は尿に含まれるはずのない成分が含まれている場合、細菌に感染している場合など、さまざまなことがあります。
尿から、いつもとは違うへんな臭いがしていたら心配になりますね。
今回は尿について、臭いの原因や、尿が臭くなる病気、尿が臭くなりやすい時間帯などを解説していきます。
この記事の目次
尿は何で臭くなるの?
健康な人でも尿が臭くなることはありますし、尿の臭いが病気を知らせてくれることもあります。
具体的には次のような原因で、尿が臭くなると言われています。
- 食べ物や飲み物に、臭いの原因物質が含まれている
- 食べ物の正常な分解ができていない(魚臭い尿)
- 薬剤やサプリメントに、臭いの原因物質が含まれている
- 尿が作られ、外に出るまでの臓器のどこかで、細菌が繁殖している(トイレ臭い尿)
- 尿に、脂肪の分解物質が含まれている(甘い匂いの尿)
などです。
このほか、尿の臭いに独特の症状がでる、まれな病気もあります。
それぞれについて、くわしく解説していきます。
尿を臭くする意外な食べ物や飲み物!?
尿は、血液を薄めて作られます。血液には、口から摂取した飲食物の栄養や成分などが含まれており、臭いの成分もあります。
にんにくやニラなどには、強い臭いの成分が含まれていますので、口臭や体臭ばかりでなく尿も臭くなります。
にんにくと同じ臭いの成分(アリシン)は、次のような食べ物にも含まれています。
- 玉ねぎ
- 長ねぎ
- あさつき
- らっきょう
- エシャロット
などです。
体の中で発生する臭い
食べ物が分解されて、体内で臭い成分(化合物)が発生することもあり、次のような食べ物や飲み物を摂取して、いつもと違う尿の臭いに敏感になることもあるでしょう。
- 大根
- ブロッコリー
- チーズ
- アスパラガス
- キャベツ
- アーモンド・ナッツ類
- アルコール
- コーヒー
- 香辛料
飲食物による臭いは異常なことではありませんが、気になるときは水分をミネラルウォーターなどで少し多めにとったり、普段の食事を見直してみたりするといいでしょう。
食べ物の正常な分解ができないと尿が臭う!?
食べ物の正常な消化・分解ができない場合、体内に「魚の臭い」などと表現されるトリメチルアミンという臭い成分が分解されずに残り、尿が臭くなることがあります。
トリメチルアミンが残ってしまう病気は、魚臭症(ぎょしゅうしょう)やトリメチルアミン尿症と呼ばれ、トリメチルアミンを分解する酵素が不足していたり、肝臓の機能が低下したりすると引き起こされると言われています。
魚臭症は、臭いのほかには症状がなく、食事療法などで軽減すると言われていますが、栄養が偏ったりするのは良くありませんので、まずは魚臭症(トリメチルアミン尿症)に詳しい医師の診察を受けられることをおすすめします。
薬剤やサプリメントが原因で尿が臭くなる
薬剤やサプリメント、漢方薬などに含まれる成分で尿が臭くなることもあります。
ビタミン剤や風邪薬を服用した後の尿から強い臭いがすることは、よく知られています。
細菌の繁殖で尿が臭い!?
大便と違い、出たばかりの尿には通常、細菌などは含まれていませんが、排泄した後の尿をしばらく放置しておくと、空気中の細菌が尿に含まれる尿素(にょうそ)を分解するため、アンモニアという強い臭いを放つ成分をつくり出します。
もし、尿を作る器官である腎臓(じんぞう)や、尿の通り道である尿道(にょうどう)、尿をためておく膀胱(ぼうこう)、膀胱の下にある前立腺(ぜんりつせん)などに細菌が繁殖するとアンモニアが発生し尿が臭くなります。
尿をトイレ臭くする病気
腎臓や尿道、膀胱、前立腺(男性にある臓器)などで細菌が繁殖することをまとめて尿路感染症(にょうろかんせんしょう)といい、膀胱炎や尿道炎、前立腺炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)などがあります。
尿路感染症では、細菌と戦ったあとの白血球(膿)などが混ざるため、尿に白い濁りがあったり、背中の痛みや発熱、だるさ、頻尿(トイレが近い)、排尿時の痛み、残尿感、血尿などの症状が出ることもあります。
正常でも、尿を放置しておくとリン酸や尿酸が結晶をつくるため尿が濁ります。
女性は、膣からの分泌物(おりもの)が混ざり、尿が濁ることもあります。
女性や子供は、出口から膀胱までの道(尿道)が男性より短いため、外から細菌が入りやすいので、清潔さを保つことが大切です。
尿路感染症は、薬物治療により比較的容易に治癒すると言われていますので、気になる場合は早めに泌尿器科や内科、小児科などを受診されることをおすすめします。
放置したり、治療を途中でやめると細菌の感染が広がることもあるので注意が必要です。
尿に、脂肪の分解物質が含まれるってどういうこと?
尿に脂肪の分解物質である「ケトン体」が大量に含まれると、甘い臭いや甘酸っぱい臭い、果実のような匂いの尿がでます。
次のような時に、尿にケトン体が含まれると言われています。
- 糖尿病をわずらっているとき
- 激しい運動をした後
- 糖質制限ダイエットをしているとき
- 発熱しているとき
- ケガをしているとき
- 脂肪分の多い食事を摂ったあと
糖尿病で尿が臭い!?
糖尿病は、ブドウ糖をエネルギーとして使うために必要な「インスリン」というホルモンの分泌が少なかったり、働きが弱くなったりする病気で、使われなかった糖が血液中や尿中に増えています。
糖尿病を発症すると、糖をエネルギーとして利用できないため、体内に蓄積されている脂肪が代わりに使われますが、脂肪が分解されるときにできる物質が、甘い臭いをだす「ケトン体」です。
糖尿病では、次のような症状が出ると言われています。
- 異常に喉がかわく
- 疲れやすい
- 食べているのにやせる
- 尿が多量でトイレが近い
- 石鹸を泡立てたように泡立つ尿が出る(勢いよく排出された尿も、泡立つことがあります)
尿路感染症を合併していることも多いと言われています。
気になる場合は、早めに内科や糖尿病科などを受診されることをおすすめします。
尿の臭いに独特の症状がでる、珍しい病気とは
遺伝性の病気で、尿からメープルシロップのような甘い臭いがする「メープルシロップ尿症」や、カビ臭いニオイ、またはネズミの尿の臭いがすると言われる「フェニルケトン尿症」いう代謝障害があります。
メープルシロップ尿症は、生後1週間の赤ちゃんにおう吐や昏睡(こんすい)などの症状が、フェニルケトン尿症では、発達の遅れなどがみられると言われています。
メープルシロップ尿症もフェニルケトン尿症も、新生児が生後5日くらいで受ける「新生児マススクリーニング検査」の対象疾患になっており、疑いが出たときは再検査や早期治療が必要です。
朝一番の尿は臭い!?
朝一番に出る尿は、ニオイがきつくなりがちです。
通常は、日中で5~6回程度はトイレに行くと言われています。3時間か4時間に1回くらいのペースですね。
就寝中にトイレに起きなくてもいいのは、排尿を止めておくホルモン(抗利尿ホルモン)が分泌されるからです。抗利尿ホルモンには、腎臓で作られた尿の水分を再吸収する働きがあるため、尿量が減り尿が濃くなるので、朝一番の尿の臭いはきつくなりやすいというわけです。
抗利尿ホルモンは、運動して汗をかいたあとや、水分摂取が長時間できなかった場合など、体内の水分が不足しているときにも分泌されますので、尿の臭いもきつくなりがちです。
気になる時は早めに診察を受けましょう。
尿の臭いが、このところずっと臭い(くさい)と感じていたり、気になるほかの症状などもある時は、早めに医師の診察を受けられることをおすすめします。
薬の服用であっさり改善することもありますし、病気の早期発見・早期治療につながることもあります。
まとめ
尿の臭いについて見てきましたが、いかがでしたか。
尿に限ったことではありませんが、臭いってとても気になりますよね。
いつもは食べない食べ物が原因で、臭いに敏感に反応することもあるでしょうし、からだの水分不足やダイエットが原因かもしれませんし、病気を知らせる尿からのサインということもあります。
気になる臭いは自己判断を避けて、専門家の診察を受けることが大切ですね。