リンパ球が少なくなる原因には、血液の病気や感染症、膠原病(こうげんびょう)、ある種の薬、栄養不良など様々なことがあります。
同じ白血球の好酸球や好中球などの増減が、参考になることもあります。
今回は、リンパ球が少ない原因や疑わしい病気などについて解説していきます。
リンパ球の数をみるときの注意点も参考にしていただければと思います。
この記事の目次
リンパ球が少ないってほんと?
「リンパ球が少ない」というときは、2通りの見方があります。
数が少ないという場合と、白血球全体に対するリンパ球の割合(%)が低いという場合です。
割合で見た場合は、ほかの白血球(好中球や好酸球、好塩基球、単球)が増えると、リンパ球の数に変化がなくても、少なくなったように見えるので注意が必要です。
白血球全体の数が多ければ、リンパ球の割合が低くても、数は少なくないこともあります。
健康診断などで行われる一般的な血液検査では、白血球全体は個数で表示し、リンパ球は割合で表示されていることが多いです。
リンパ球の数は【白血球の数】に【リンパ球の割合】をかければでます。
筆者の場合は、上の画像の時で白血球数が血液1μℓ(マイクロリットル)中に2800、リンパ球の割合が48.8ですので、2800×0.488=1366.4 リンパ球の数は1366.4/μℓということになります。
リンパ球の正常な数は大人で1000~4800個/μℓ、2歳未満の子供で3000~9500個/μℓとされています。
大人で1000個未満/μℓ、2歳までの子供で1400個未満/μℓになると、リンパ球が少ないとみなされます。
リンパ球が少ない原因ってなに?
血中のリンパ球が減少するのは、病気や栄養不良、薬剤などが原因と言われており、病気には次のようなものがあります。
- 悪性リンパ腫の1種で、予後がいいとされる「ホジキンリンパ腫」
- 10~20歳代の発症が増えたとされる「麻疹」(はしか)
- 感染症の「エイズ」
- 免疫細胞が体を攻撃する「膠原病(こうげんびょう)」
などです。
それぞれの病気について少し詳しく解説します。
リンパ球が少ない原因は「ホジキンリンパ腫」?
ホジキンリンパ腫とは、ホジキンという特殊な細胞が、リンパ節などで増えてしこりをつくるものです。
悪性リンパ腫全体の5%という、発症頻度の高くない病気で、治療による予後もいいと言われています。
おもな症状に、
- 首などのリンパ節の腫れ(しこり)
- 発熱
- 大量の寝汗
- 半年で1割以上の体重減少
などがあります。
貧血をともなったり、血液検査で「LDH」や「CRP」「好酸球数」の値が増加することもあります。
LDHは、糖をエネルギーに変える働きのある酵素(乳酸脱水素酵素)です。肉体的ストレスがある時や妊娠後期にも増加すると言われています。
CRPは、体内で障害や炎症が起こったときに増えるタンパク質です。
好酸球は白血球の一種で、おもに寄生虫を退治する働きがあります。
ホジキンリンパ腫は、20歳代と60歳代に発症が多いという特徴があります。
リンパ球が少ない原因は「麻疹」(はしか) ?
麻疹(ましん)は、麻疹ウイルスによる感染症で「はしか」とも呼ばれ、高熱がでたり、全身に発疹がでたりします。
乳幼児がかかりやすく、うつりやすい上に、重症になることもあることから、予防ワクチンの摂取が広く行われています。
近年は、 10~20歳代で発症する人が増えているため、小学生や中学生で2回目のワクチン摂取が行われたりしています。
はしかでは、リンパ球のほかに好酸球も減少傾向にあるとされています。
リンパ球が少ない原因はエイズ(AIDS)?
はしか以外では、「エイズ」もリンパ球が減る感染症です。
エイズは、「ヒト免疫不全ウイルス」というウイルスに、リンパ球などの 免疫細胞が感染するため、数が減り免疫力が弱ります。
感染の初期には、
- 発熱
- 喉の痛み
- リンパ節のはれ
- 頭痛
- 筋肉痛
など、風邪やインフルエンザに似た症状のほか、発疹がでることもあります。
エイズの治療には、ウイルスの増殖を抑える薬剤が使われ、早く始めれば始めるほど効果的だとされています。
エイズは保健所で、匿名で検査を受けることができ、施設によって検査した日に結果がわかることもあります。
リンパ球が少ない原因は「膠原病(こうげんびょう)」?
膠原病(こうげんびょう)は、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)とも呼ばれ、外敵を攻撃するはずのシステムに異常が起きて、体を攻撃する病気の総称です。
膠原病の中でリンパ球が減るのは、
全身の皮膚や臓器など、いたるところで症状が現れる「全身性エステマトーデス(SLE)」や、
関節内で炎症が起きる「関節リウマチ」です。
全身性エステマトーデス(SLE)ってなに?
全身性エステマトーデスは、白血球の40~70%を占める好中球や、血液成分の血小板にも減少がみられ、次のような様々な症状がでるとされています。
- 発熱
- 首の左右両側に腫れや赤い斑点
- 顔、体幹、手足、足の裏などに発疹
- 脱毛
- 口の内にできもの
- 手足のしびれ
- 関節炎
- 痙攣(けいれん)
- 意識障害
などです。
20~40歳での発症が多く、男女比は1:10で 女性に多いです。有病率は10万人に10~100人と推定されています。
原因には遺伝的なものと、紫外線や薬剤などの環境的なものがあると考えられています。
全身性エステマトーデスの治療は、炎症や免疫を抑える薬などで行われます。
関節リウマチってなに?
膠原病の中で最も発症率が高いのが関節リウマチで、日本では60~70万人の患者がいるとされています。
40歳代が最も多く、男女比は1:3~4と 女性に多いです。
症状には、
- 手のこわばり
- 微熱
- 倦怠感
- 関節の痛みや腫れ
などがあります。
抗リウマチ薬などで治療します。
関節リウマチの原因には遺伝や喫煙、病原体などがあるとされています。
リンパ球が少なくなる他の原因
栄養状態が悪いと、リンパ球など免疫細胞の減少や機能低下があると言われています。
バランスの良い食事は基本ですが、体の調子を整える「ビタミン」や「ミネラル」は不足しないようにすることが大切です。
抗がん剤や免疫抑制薬を服用しているときも、リンパ球が少なくなります。
リンパ球の働き。少なくなるとどうなるの?
リンパ球には3種類の細胞があり、特徴的で大切な働きをしています。
リンパ球のB細胞は、体内に侵入した病原体の「抗体(こうたい)」を作り、次に侵入してきたときに素早く抑え込めるようにします。
1度かかったインフルエンザに2度はかかりにくかったりするのは、抗体が作られたおかげです。
T細胞は、感染が広がらないように、感染した細胞や病原体を殺したり、ほかの白血球を助けたりする働きがあります。
リンパ球の3つ目はナチュラルキラー細胞で、NK細胞とも呼ばれています。癌化した細胞や、ウイルスに感染した細胞を殺す細胞です。
リンパ球は小さいもので径6μm(マイクロメートル:0.006mm)、大きいものでも径10μmと肉眼で見ることができない小さいものですが、とても重要な働きをしてくれています。
ストレスがあると風邪をひきやすくなると言われます。
ストレスは体の緊張状態であり、交感神経が優位に働いています。
交感神経は、体を機敏に動かすことを優先させるため、免疫の働きを抑えるためのホルモンを分泌されたりするのです。
ストレスが続けば免疫細胞の数が減ったり、免疫システムが狂ったりします。
膠原病などの原因になる、とも言われています。
まとめ
リンパ球の数の見方や、少なくなる原因などについて見てきました。
リンパ球が少なくなる原因は病気もありますが、栄養不良も大きな原因だと言われています。
摂りいれる食べ物は、いいものを選んで免疫力を高めていきたいですね。
自律神経のバランスも大切です。交感神経を働かせてがんばる時と、副交感神経を働かせてリラックスするときを上手に作っていきましょう。
睡眠も大切です ^^)