手のツボを押すだけで、今まで悩んでいた症状がうそのように改善する、なんて聞くとあなたは信じられないかもしれません。
いっけん神秘的なものと感じてしまうかもしれませんが、ツボへの刺激はWHO(世界保健機関)でもその効果が認められ、世界的にも注目されていることなのです。
手のツボは、いつでもどこでも利用できるという点で、とても便利だとも言えますね。
今回は、手のひらや手の甲にある31のツボと13の反射区を、15の症状別に図解でご紹介します。
万能のツボと呼ばれる、親指の付け根にある「合谷(ごうこく)」の秘密や、ツボの刺激が効果的なわけ、ツボ刺激のコツや注意点、便利なグッズなどについても解説していきます。
この記事の目次
手のツボが症状改善に効果があるってほんと?
医療機関などでも改善できない様々な体の不調は、血液やリンパ、神経などの流れに滞りがあるからだと言われています。
●血液の流れにとどこおりがあると、
細胞にとって大切な栄養や酸素が行き届きません。
●リンパの流れにとどこおりがあると、
老廃物がたまったままになってしまいます。
●神経の流れが悪いと、
脳と各器官のあいだを情報がうまく伝わりません。
手のつぼ刺激は、
細胞をいきいきとさせ、
不用なものは体外に素早く排出し、
情報伝達をアップさせることで、
体を健康な状態へと戻す手法なのです。
実際に、手のツボを刺激することによって、血流が改善され、神経伝達物質やホルモンの分泌が増えることがわかっています。
手のツボ図解31のツボと13の反射区
手のツボと反射区を、次の15の症状別にご紹介します。(上の図はツボと症状を簡単にまとめた一覧表です)
- 高血圧に効果のあるツボ
- 胃痛に効果のあるツボ
- 肩こりに効果のあるツボ
- 疲労を回復する効果のあるツボ
- 便秘に効果のあるツボ
- 乗り物酔いや吐き気に効果のあるツボ
- イライラに効果のあるツボ
- 下痢に効果のあるツボ
- 抜け毛や白髪、薄毛に効果のあるツボ
- 腰痛に効果のあるツボ
- 二日酔い効果のあるツボ
- しゃっくりに効果のあるツボ
- アレルギー性鼻炎に効果のあるツボ
- 歯痛に効果のあるツボ
- 頭痛に効果のあるツボ
それぞれのツボや反射区には、さらに別の効果がありますので参考にしてくださいね。
反射区は、ツボよりも広い面でそれぞれの器官や臓器とつながっており、特に名前などがなかったりします。
ツボは小さな点でとらえるような意識で刺激し、反射区はツボよりは広い範囲で刺激するといいでしょう。
(それぞれで刺激しやすいグッズなどについては、後述しています。)
人によって微妙にツボの位置がずれることはよくあります。
図を参考にしながらもその周辺で痛いところや気持ちいいところ、皮膚の状態が他と違っているところなどを手掛かりに、あなたのツボを探してみてくださいね。
高血圧を改善する効果のあるつぼ
高血圧を改善する効果のあるツボ「膻中(だんちゅう)」は、血圧を整えるため、低血圧の改善にも効果があります。
●膻中(だんちゅう)の位置:中指の第二関節と付け根のあいだ
●膻中(だんちゅう)の効果:動悸、低血圧によるめまい、胸やけ、吐き気、不眠症など
●瘂門(あもん)の位置:中指の第一関節の下
爪の下から瘂門のあたり一帯をマッサージするのも効果的です。
●瘂門(あもん)の効果:風邪、発熱など
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胃痛を改善する効果のあるツボ
ストレスなどが原因で、胃の粘膜が荒れてしまう胃痛は、胃の筋にならぶツボのマッサージが効果的です。
●中指付け根の真ん中にある巨闕(こけつ)から、手のひらの真ん中あたりに向かって並ぶツボを全体的にマッサージされるといいでしょう。
小指の下辺り一帯も効果があります。
●巨闕(こけつ)の効果:下痢、便秘、のどの痛み、生理不順、花粉症、貧血、自律神経失調症、糖尿病、肝臓病
●中脘(ちゅうかん)の効果:椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、眼精疲労、下痢、便秘、のどの痛み、生理不順、花粉症、貧血、自律神経失調症、糖尿病、肝臓病など
肩こりを改善する効果のあるツボ
右肩のこりは、自律神経の乱れや肝臓の疲れなどが原因に、左肩のこりは、心臓や胃腸の不調が原因になっていることもあります。
●手の甲側の中指を背骨にして、人差し指と薬指の付け根あたりが肩の反射区です。肩こりは、首の下全体の筋肉がこっている首のこりをともなっていることが多いので、中指も含めてマッサージされるといいでしょう。
からだの疲れをとる手のツボ
不老長寿のツボと言われる老宮(ろうきゅう)には、心や体の緊張、疲れをとる効果があります。
●老宮(ろうきゅう)の位置:手を軽く握った時に、中指と薬指の先があたる真ん中あたり
●老宮(ろうきゅう)の効果:心痛、精神不安、てんかん、血便、口内炎、口臭など
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便秘解消に効果のある手のツボ
「神様の入ってくる門」という意味の神門(しんもん)には、副交感神経を活発にし、腸を活性化させる効果があります。
●神門(しんもん)の位置: 左手の、手首にある横のしわの小指側で、少しへこんでいるところ
●神門(しんもん)の効果:心痛、不眠、認知症、狭心症など
感情線と知能線の間一帯のマッサージも、便秘解消に効果的です。
●合谷(ごうこく)の位置:人差し指の骨と、親指の骨が合わさっているへこみ部分
合谷(ごうこく)の押し方のコツ:反対の手の親指で、人差し指の骨の方に向かって押すのが効果的です。
●合谷の効果:肩こり、頭痛、歯痛、腹痛、難聴、風邪、腫れなど
合谷を押して、左右のどちらかがすごく痛い場合は、反対側のからだのどこかに不調が隠れているのかもしれません。
詳しくは、このあとの「親指の付け根・合谷が痛いときは?」で解説しています。
乗り物酔い(吐き気)にきく手のツボ
乗り物酔いは、体に伝わる振動や精神面の動揺などが、一時的な自律神経の乱れを引き起こしていると考えられています。
慢性的な吐き気がある場合は、消化器系の病気や心因性の病気が隠れていることもあるので、注意が必要です。
●耳・咽区の位置:中指の付け根のくぼみ
●耳・咽区の効果:めまい、下痢、便秘、のどの痛み、生理不順、花粉症、貧血、自律神経失調症、糖尿病、肝臓病
●手心(しゅしん)の位置:手の平の中央
●手心(しゅしん)の効果:消化器系の内臓の働きを整える効果
●神門(しんもん)の位置: 左手の、手首にある横のしわの小指側で、少しへこんでいるところ
●神門(しんもん)の効果:心痛、不眠、認知症、狭心症など
●関衝(かんしょう)の位置:薬指の爪の生え際辺りで、小指側
●関衝(かんしょう)の効果:吐き気を即効に抑える効果、扁桃腺炎など
イライラを解消する手のツボ
脳の神経伝達物質が不足すると、イライラとなって現れてしまいます。
●心穴(しんけつ)の位置:中指の第一関節の真ん中。
●心穴(しんけつ)の効果:イライラを沈める効果
●老宮(ろうきゅう)の位置:手を軽く握った時に、中指と薬指の先があたる真ん中あたり
●老宮(ろうきゅう)の効果:心痛、精神不安、てんかん、血便、口内炎、口臭など
●神門(しんもん)の位置: 左手の、手首にある横のしわの小指側で、少しへこんでいるところ
●神門(しんもん)の効果:心痛、不眠、認知症、狭心症など
●中衝(ちゅうしょう)の位置:中指の爪の生え際あたりの、人差し指側
●中衝(ちゅうしょう)の効果:不眠症など
●小衝(しょうしょう)の位置:小指の爪の生え際で、薬指側
●小衝(しょうしょう)の効果:動悸、神経性胃炎、不眠症など
下痢にきく手のツボ
下痢は、脱水症に注意が必要です。
●大腸(だいちょう)の位置:人差し指の第一関節の真ん中
●大腸(だいちょう)の効果:痔の緩和など
●三間(さんかん)の位置:人差し指と親指の付け根の中間点
●命門(めいもん)の位置:手のひらの小指の第二関節の真ん中
生命線の下あたり一帯も下痢の改善に効果があります。
●商陽(しょうよう)の位置:人差し指の爪の付け根で親指側
●商陽(しょうよう)の効果:扁桃腺炎
●合谷(ごうこく)の位置:人差し指の骨と、親指の骨が合わさっているへこみ部分
●合谷の効果:肩こり、頭痛、歯痛、腹痛、難聴、風邪、腫れなど
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抜け毛・白髪・薄毛にきく手のツボ
頭皮の反射区をよくもんで、血液循環を改善しましょう
●腎穴の位置:小指の第一関節、手の平側
●腎穴の効果:ホルモンのバランスを整える、不妊症、むくみをとるなど
頭の反射区である中指の先をマッサージするのも効果的です。
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腰痛にきく手のツボ
からだの筋肉がかたくなると、姿勢が悪くなり腰に負担がかかってしまいます。
二日酔いにきく手のツボ
アルコールを分解する肝臓や、腎臓の反射区をマッサージしましょう。
●肝穴(かんけつ)の位置:薬指の第二関節の真ん中
●魚際(ぎょさい)の位置:手の平と手の甲の境目あたりで、少し手の平より
●魚際(ぎょさい)の効果:肝臓や胃腸の働きを整える効果
しゃっくりにきく手のツボ
●肝穴(かんけつ)の位置:薬指の第二関節の真ん中
●太淵(たいえん)の位置:手首のシワの親指側
●太淵(たいえん)の効果:のどの痛みやはれ、せき、たんなど
アレルギー性鼻炎にきく手のツボ
鼻炎は呼吸がしにくいですので、早く治したいですね。
●中衝(ちゅうしょう)の位置:中指の爪の生え際あたりの、人差し指側
●中衝(ちゅうしょう)の効果:不眠症など
●合谷(ごうこく)の位置:人差し指の骨と、親指の骨が合わさっているへこみ部分
●合谷の効果:肩こり、頭痛、歯痛、腹痛、難聴、風邪、腫れなど
中指の第一関節から上をまんべんなくマッサージしても効果があります。
●大腸(だいちょう)の位置:人差し指の第一関節の真ん中
●大腸(だいちょう)の効果:痔の改善など
●太淵(たいえん)の位置:手首のシワの親指側
●太淵(たいえん)の効果:のどの痛みやはれ、咳止め、たん、腕(前腕)の痛みなど
●肝穴(かんけつ)の位置:薬指の第二関節の真ん中
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歯痛にきく手のツボ
歯医者さんに行くまでの応急処置として、痛みはおさえたいですね。
手のひら側の中指第一関節の上に、口の反射区があります。
●風府(ふうふ)の位置:中指の手の甲側、第一関節の真ん中
●腎兪(じんゆ)の位置:中指の骨をはさんだ両側
●合谷(ごうこく)の位置:人差し指の骨と、親指の骨が合わさっているへこみ部分
●合谷の効果:肩こり、頭痛、歯痛、腹痛、難聴、風邪、腫れなど
頭痛にきく手のツボ
●心穴(しんけつ)の位置:中指の第一関節の真ん中。
●心穴(しんけつ)の効果:イライラを沈める効果
頭の反射区である、中指の第一関節から上全体をマッサージするのも効果的です。
●合谷(ごうこく)の位置:人差し指の骨と、親指の骨が合わさっている辺りの、へこんでいるところ
●合谷の効果:肩こり、頭痛、歯痛、腹痛、難聴、風邪、腫れなど
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親指の付け根・合谷が痛いときは?
一説には身体の中に、365のツボがあると言われています。
その中で、もっとも刺激が脳に伝わりやすい、とされているのが、手の甲の親指付け根にある「合谷(ごうこく)」と呼ばれるツボです。
合谷は、骨と骨が合わさった谷から、気(エネルギー)が湧き出しているところ、とも言われています。
合谷が、からだのあらゆる痛みを和らげると言われているのは、合谷を刺激することによって、痛みを和らげる効果のある「エンドルフィン」という脳内物質が大量に分泌されるからだと考えられています。
左右で痛みに違いがある時は?
もし、左手の合谷が、右手の合谷より痛い場合は、体の右側が凝っているか、右目が疲れているのかもしれません。
そんな時は、顔にある目の疲れを取るツボの刺激や、ストレッチなども取り入れるといいでしょう。
合谷の刺激は、ニキビ、吹き出、寝違え、めまい、耳鳴り、神経過敏、精神不安、入眠困難などにも効果があります。
手のツボ刺激にはコツがあります。
効果的なツボの押し方もご紹介します。
手のツボを押す前とあとに水を飲む
ツボを刺激する前とあとに、水か炭酸水を飲むと効果が上がります。
血行を良くする助けにもなりますし、ほぐした後の老廃物を流すためでもあります。
血管を広げる作用のある、炭酸水がオススメですが、お腹の弱い方はやめておいた方がいいでしょう。
カフェインは血管を収縮させる作用がありますので、ツボ押しの前後には飲まない方がいいでしょう。
ツボの刺激には色々な方法があります
ツボや反射区を刺激する方法には、次のようなやり方があります。
- 指で押す
- グッズを使って刺激する(綿棒やヘアピン、先を出していないペン、ツボ押し棒など
- 指でつまむ
- もみほぐす
などです。
あなたのやりやすい方法を選んで行ってくださいね。
ちなみに上の画像のツボ押し棒は、100均のお店などで購入したものです。
また、イボイボがたくさんついているボールなどを、テレビをみているときなどにグリグリ手の中で回したりするのもおすすめです。
いろんな形をした、様々なツボ押しグッズを見たいという方は、こちらを参考にしてください。
ツボ刺激の注意点
押している時に気分が悪くなったり、体調に不快な変化が現れたときは、刺激するのをやめてください。
子どもや高齢者の方、妊婦さんなどは、弱い力で様子を見ながら、刺激してくださいね。
お酒を飲んだ時や内臓に疾患のある時、怪我をしている時はやらないでください。
ツボの刺激で改善されない時は
ツボに様々な改善効果があるといっても、症状のうらに重大な病気が隠れていることもあります。
気になる症状がある時は、早めに医師の診察を受けられることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか。
ツボの刺激は、WHO(世界保健機構)で医学的有効性が認められている、ちゃんとした治療法だということは、ご存知ですか。
薬などは安易に使わないほうがいいですから、不調があるときは、まずツボを活用してみてくださいね。
また、経絡(エネルギー)の流れをいつも良いものにしておくために、手の平や甲のマッサージをくせにされるといいでしょう。