カルシウムの役割について、しっかり理解している人は多くないかもしれません。
カルシウムは、骨や歯の原料になっているだけではありません。からだのいたるところで、さまざまな機能を調整するのも、カルシウムの大切な役割なのです。
今回は、カルシウムの不足がもたらす影響や症状などについて解説していきます。
この記事の目次
カルシウムが不足するとどんな症状がでるの?
カルシウムの不足がまねく症状には、次のようなものがあります。
- 片頭痛
- 足がつる
- 高血圧・動脈硬化・脳卒中などの生活習慣病
- 腕のしびれ
- めまい・頭重感
- 関節や肩の痛み
- 乳房の痛み
- イライラ・情緒不安定
- 骨粗しょう症
- あごの発達不良
カルシウムは、筋肉の中にあって心臓を収縮させたり、脳の神経細胞の働きをコントロールするなど、重要な役割もあります。
上にあげた症状について、さらに詳しく解説していきます。
カルシウム不足で起こる片頭痛
片頭痛は、血管の収縮が原因で、引き起こされると考えられていて、原因の一つに、カルシウムの不足があります。
カルシウムは、骨や歯に99%あって、残りの1%分が血液や筋肉、神経内にあります。
1%分のカルシウムが不足すると、骨から血管内にカルシウムを取り込み、不足しているところに補充しますが、そのときに、血管が収縮を起こすので、痛みが生じる、と言われています。それが頭の中で起こると、片頭痛になります。
カルシウム不足で足がつる
不足したカルシウムを、血管から筋肉に取り込もうとするときには、筋肉が激しく動き、けいれんを起こします。これがいわゆる「足がつる」という症状なのです。
カルシウム不足で起こる高血圧・動脈硬化・脳卒中
血管内にカルシウムを取り込んだときに、血管の壁にカルシウムが固まって石灰化を起こしてしまうことがあります。
こうなると血液はスムーズに流れにくくなり、高血圧・動脈硬化・脳卒中へと進行してしまうことがあるのです。
カルシウム不足で起こる腕のしびれ・めまい・頭重感
カルシウムが骨から放出されるときに、まるでつららのように、 骨に沈着してしまうこともあります。このとげ状の骨の一部が、神経を刺激してしまうと、腕の痺れやめまい、頭がどんより重く感じる、頭重感、肩こりなどを引き起こすことがあります。
カルシウム不足で起こる関節や肩・乳房の痛み
カルシウムの沈着・石灰化は関節や、アキレス腱、乳房などで発生することもあり、関節や足首、腰、乳房の痛みなどを引き起こすことがある、と言われています。
カルシウム不足で起こるイライラ・情緒不安定
骨から血管内にカルシウムを補充した時、血管内のカルシウムが多くなりすぎることがあります。これを「カルシウム・パラドックス」と言い、イライラや情緒不安定を引き起こす、と言われています。
カルシウムは脳の神経細胞の働きもコントロールしているのですが、血管内で増えすぎたカルシウムをうまくコントロールできないために起こる、と考えられています。
カルシウム不足で起こる骨粗しょう症
骨や歯にあるカルシウムを「貯蔵カルシウム」、血液や筋肉、神経内にあるカルシウムを「機能カルシウム」といいます。
機能カルシウムの不足を貯蔵カルシウムが補う話はしましたが、貯蔵カルシウムが減る一方だと、骨では当然カルシウムが不足してしまい、骨密度が低下します。骨密度が低下すると、骨折や骨軟化症(こつなんかしょう)、骨粗しょう症などを引き起こすことになってしまうのです。
成長期の子供は、歯の質が悪くなったり、 あごの発達が遅れます。
閉経前後の女性では、骨の代謝を促すエストロゲンも減少するため、骨が弱くなってしまうのです。
カルシウムが溶け出す量
「機能カルシウム」が不足している場合、一日に500mgが骨から放出される、と言われています。
日本人の1日のカルシウム摂取量は平均で、男性520mg、女性は489mgです。
女性の骨が危険な状態ですね。
厚生労働省では、1日のカルシウム推奨摂取量を次のように定めています。
成人男子では、650~800mg、成人女子では650mgです。中学生(12~14歳)においては、それぞれ1000mgと800mgになっていますね。
カルシウムを多く含む食品
カルシウムを多く含む食品には、干しエビ、イワシ丸干し、ヨーグルト、チーズ、煮干し、ししゃも、がんもどきなどがあります。
カルシウムを多く含む食品を、こちらでもご紹介していますので、参考にしていただければと思います。
カルシウムの過剰症?
カルシウムをサプリメントなどで、大量にとってしまった場合に起こる過剰症に、高カルシウム血症があります。
カルシウムが過剰になると、鉄や亜鉛、マグネシウムなどのミネラルの吸収を阻害することもあります。
まとめ
いかがでしたか。
カルシウムが足りなくなって骨から放出されるときには、神経や筋肉に痛みがでたり、とげができちゃったり、血管内でかたまって流れを悪くしたり、コントロールがうまくいかずに精神にも支障がでたりしますね。
もちろん骨や歯は、もろくなってしまいます。
なぜかヨーグルトが食べたくなったり、干しエビが食べたくなったりすることはありませんか。
そんなときは、カルシウム不足のサインかもしれませんよ。
体からのSOSが出る前に、毎日まめにカルシウムを摂るようにしたいですね。
カルシウムの吸収には、ビタミンDも必要です。
野菜からカルシウムをとる時は、酢やレモンに含まれるクエン酸を一緒に摂ると、吸収率がアップしますよ ^^)