免疫力が低下する大きな原因に、ストレスがあると言われています。
免疫力は本来、私たちの体を守るためのものですが、ストレスが自律神経に作用し、逆効果をもたらしてしまうことがあります。
そうなると、免疫力が低下する、というどころか、自らの体を攻撃してしまうこともあるのです。
今回は、免疫力低下の原因や、ストレスと病気の関係について解説していきます。
この記事の目次
免疫力低下の原因は頑張りすぎによるストレス!?
免疫力はがん細胞を見張って病気を未然に防ぐ
私たちは常に、ウイルスなどの病原微生物にさらされていますが、 免疫力(免疫システム)のおかげで、そう簡単に病気になったりしないようになっています。
この免疫システムは、外界からの菌に対応しているだけでなく、からだの中も常に監視をしています。
ストレスを受けて、機能が充分に果たせなくなった細胞を見つけては、破壊や修復を繰り返し、悪影響が周りに広がらないようにしているのです。
常に発生する がん細胞に対応するようプログラムも組まれていて、がんという病気にならないようにしてくれています。
交感神経が優位になりすぎると
私たちが仕事をしているときは、交感神経優位の状態と言えます。
関連記事⇒「交感神経とは?」
交感神経優位の状態は、車で例えるとアクセルを踏んでいるときです。動きも速く機敏で、仕事も迅速にこなせるでしょう。
ですが、それが長く続く、あるいは過度になりすぎると、体にとってはストレスで、暴走車のようになってしまい、とても危険なのです。
これが、免疫力低下の原因と大きな関係があると言われています。
交感神経と免疫力の低下
顆粒球(かりゅうきゅう)が活動する時
交感神経が優位に働いている時には、 顆粒球という免疫細胞が活発に活動するのですが、度が過ぎてしまうところがあるのです。
免疫力(免疫システム)を担っているのは、血液の中にある白血球で、この白血球を、コントロールしているのが、自律神経です。
顆粒球は、白血球の6割をしめるもので、外からの比較的大きな細菌やウィルスを、食べて死滅させる働きを持っています。
頑張りすぎると顆粒球は凶暴になる!?
私たちが頑張って仕事をしているとき、交感神経が働いている時には、顆粒球も頑張っているのですが、私たちが頑張りすぎると、顆粒球は数を増やし、攻撃をやめない凶暴なものへと変化してしまうのです。
凶暴な顆粒球は、 自らのからだの組織をも攻撃の対象にしてしまうのです。
顆粒球の暴走が、胃潰瘍や口内炎の原因!?
顆粒球が暴走して、胃の組織を攻撃してしまうと、胃潰瘍という病気の原因になります。
口内炎や吹き出物を作ったり、ニキビを悪化させてしまうのも、顆粒球の異常な攻撃性が原因だと言われています。
がんや慢性骨髄性白血病、免疫不全症候群などの病気のリスクを高める原因にもなるのです。
顆粒球は活性酸素を生み出す!?
さらに悪いことに、顆粒球が死滅するときに、活性酸素が生成されてしまうのです。この活性酸素も、がんや様々な成人病を引き起こす原因になっていると言われています。
顆粒球の数が増えるということは、発生する活性酸素の数も増える、ということになります。
顆粒球が増えるとリンパ球が減り、免疫力は低下する
また、顆粒球が増えているかたわらでは、リンパ球は減ってしまいます。
リンパ球は、風邪やインフルエンザなどのウイルスに対し、攻撃を仕掛ける働きがありますので、リンパ球が減るということは、これらの病気にかかりやすくなっている、ということなんです。
リンパ球の中には、 ナチュラルキラー細胞(NK細胞)というものがあり、ある種のがん細胞を発見して破壊する働きもあります。
交感神経は血流を悪くし、体温、免疫力を下げる
交感神経に話をもどすと、交感神経は血管を収縮させる働きがあります。
血管の収縮がおきると、血液の流れは悪くなります。
血液の流れが悪くなる状態が続くと、からだに必要な酵素や栄養が運ばれにくくなりますので、体のあちこちで不調がおこったり、免疫力の低下も引き起こすことになります。
また、体温も低下して、体の中の酵素の働きも低下するのです。
血行が悪いと白血球が進めず、免疫力が低下する
血流が悪くなると、血液の中にある白血球の移動がスムーズにできなくなり、免疫力の低下を招きます。
白血球がスムーズに移動できないと、進入してきた外敵に対する攻撃が遅れてしまったり、体内で発生したがん細胞に対しても、素早い処置ができない、ということになるのです。
副交感神経が優位すぎるのも免疫力低下の原因
ここまで、頑張りすぎによる免疫力低下の原因を見てきましたが、全然頑張らない、ゆるみ過ぎる生活もまた、免疫力の低下を招きます。
副交感神経ばかりが働くと、リンパ球の増加を招き、アレルギー疾患などの病気を引き起こしやすくなると言われています。
血管は、交感神経の働きで、収縮すると血流が悪くなりますが、副交感神経優位の状態が続いて、ゆるみ過ぎてもまた、血流が悪くなり、体温も低下してしまいます。血流が悪くなり、体温が下がると、がんや成人病、冷え性などの病気のリスクが高くなるというわけなんです。
自律神経のバランスを保って、免疫力の低下を防ぐ
自律神経は、「 バランス」が大切、ということなんです。
免疫力の低下を防ぐためには、頑張り過ぎ、働きすぎないことに加え、バランスのとれた食事や適度な運動、入浴(お湯につかる)などで、自律神経のバランスをとることが大切になってきます。
関連記事⇒「自律神経を整える方法」
寒い冬は交感神経が働きやすくなります。寒い時に無理をしないことも大切です。
自然のリズムに合わせた生活が、ストレスをためないいい方法です。
冬は夜も長いです。
温かくして、ゆったりする時間も、多めにとりましょう。
まとめ
いかがでしたか。
私たちが体に与えるストレスと免疫力は、こんな風につながっています。
まとめてみますと、
- 頑張りすぎると、交感神経が優位になりすぎる。
- 交感神経が優位になりすぎると、顆粒球が凶暴になる。
- 交感神経が優位になりすぎると、顆粒球は数を増やすので、その分死滅するときの、活性酸素も増える。
- 交感神経が優位になりすぎると、リンパ球の数が減って、風邪をひきやすくなる。
- 交感神経が優位になりすぎると、血流が悪くなり、体温が下がる。
- 副交感神経が優位になりすぎても、血流が悪くなり、体温が下がる。
- 血流が悪くなると、酵素や栄養素がからだに運ばれにくくなり、様々な不調、病気を引き起こすことになる。
- 血流が悪くなると、白血球が細菌を見つけても素早く、駆けつけることができない。
頑張ることは悪いことではありませんが、アクセルを踏み続けないようにして注意してくださいね。
私たちのからだに備わっている素晴らしい免疫力を、悪者にすることなく、最大限有効に活用するのは、私たちの行動、心がけにかかっていますね。
頑張らずに、楽しんでいけるといいですね(^^)