口の中の唾液(だえき)が多い、という現象には、次の2つの意味があります。
ひとつは、唾液がたくさん出てくるということで、もうひとつは、口の中にたくさんの唾液がたまる、ということです。
多くの唾液が出てくる場合も、唾液が口の中にたまる場合も、病気が隠れていたり、ストレスが関係していたりと、さまざまな原因が考えられます。
今回は、「唾液が多い」ということについて解説していきます。
口の中に唾液がたまったときの対処法も参考にしていただければと思います。
この記事の目次
唾液が多いってどういうこと?
唾液は通常、1日に1~1.5ℓ分泌していると言われています。
「唾液が多い」という症状は、通常よりも多くの唾液が分泌している場合と、唾液の分泌量は正常だけど、唾液の飲み込みがスムーズにできなくなったことで、口の中の唾液が多くなってしまうという場合があります。
唾液が多いのは何が原因?
唾液が多い症状のうち、唾液の分泌が多い、という場合には次のようなことが原因だと言われています。
- 口の中に発生した炎症
- 薬剤の作用
- 精神的ストレス
- 胃の冷え
- 自己免疫性脳炎および脳症
- 狂犬病
- 脳腫瘍(のうしゅよう)
- 妊娠や生理
それぞれについて解説していきます。
炎症が原因で唾液が多い!?
口の中に 口内炎や舌炎(ぜつえん:舌に炎症がおきるもの)などの炎症が生じてしまったときに、唾液が多くなることがあります。
ウイルス性の口内炎が生じているときは特に、粘り気のある唾液が出やすい、と言われています。
関連記事⇒「口内炎の原因は?」
薬剤が原因で唾液が多い!?
食事を目の前にしたら、唾液が出てきた、という経験はありませんか。
これは、 自律神経のひとつである副交感神経(ふくこうかんしんけい)の働きによるものです。副交感神経は、栄養補給がスムーズに行われるように、消化・吸収の役に立つ唾液をたくさん出そうとするからなのです。
副交感神経に唾液を出すように信号を起こっているのは、「アセチルコリン」という神経伝達物質なのですが、アセチルコリンの量が多すぎると、唾液が出すぎてしまうことがあります。
アセチルコリンが多くなってしまう原因に、ある種の薬剤がある、というわけです。
ストレスが原因で唾液が多い!?
自律神経を乱す大きな原因に、ストレスがあります。
緊張すると唾液が出なくて喉がカラカラになる、ということもあるのですが、唾液が出すぎて多くなる、ということもあるのです。
関連記事⇒「自律神経を整えるための方法とは。」
胃の冷えが原因で唾液が多い!?
胃が冷えることで、胃の機能が低下すると、唾液が多くなることがあると言われています。
水分の代謝が正常に行なえないことが原因で、たまった水分が唾液としてでてくる、と考えられています。
胃が冷える原因は、冷たいものの飲み過ぎや、胃を冷やす食べ物や飲み物を飲んだりすることです。
自己免疫性脳炎や脳症が原因で唾液が多い!?
免疫機能の乱れが原因でおこる「自己免疫性脳炎(じこめんえきせいのうえん) 」や「自己免疫性脳症(じこめんえきせいのうしょう) 」の症状のひとつに、唾液の増加があります。
唾液分泌のコントロールに狂いが生じると考えられています。
狂犬病が原因で唾液が多い!?
狂犬病を発症すると唾液が増えることがあると言われています。
狂犬病ワクチンの摂取が浸透している日本では、50年以上にわたり、狂犬病を発症する人はいないと言われていますが、まれに海外で狂犬病に感染している犬やコウモリにかまれ、帰国後に発症する人もいます。
脳腫瘍(のうしゅよう)が原因で唾液が多い!?
脳や脊髄に腫瘍ができる脳腫瘍(のうしゅよう)が原因で、唾液が増えることがあります。
脳腫瘍の症状には、吐き気や、唾液を飲み込むことが困難になる嚥下(えんげ)障害などもあります。
妊娠や生理が原因で唾液が多い!?
妊娠のつわりにもいろいろあって、唾液が多く出るよだれつわりという症状もあり、妊婦さんを困らせることがあります。
妊娠によるホルモンバランスの変化で、胃や腸などの消化器官で機能が低下し、水分の代謝に支障がでるためだと言われています。体内にドロドロした水分がたまってしまい、唾液となって出てくる、というわけなんです。生理前などにも同様の症状が出ることがあります。
口の中にたまった唾液が、妊婦さんの吐き気の原因にもなっています。
飲み込むのが困難なのは何が原因?
唾液が多い、という症状のもう1つの原因は、唾液の飲み込みがスムーズにできない、というものです。
唾液を飲み込むのが困難になったことを嚥下障害(えんげしょうがい)といい、原因には次のようなものがあると言われています。
- のどや食道に異物があって、通り道がせまい
- 舌が大きかったり、あごが小さかったり
- 薬の影響
- 舌をかむくせがある
- 神経がまひしている
それぞれについて解説していきます。
のどや食道の異物が原因で唾液が多い!?
扁桃腺がはれた経験のある方ならお分かりだと思いますが、のどのまわりにある扁桃腺が腫れたりすると、通常は無意識に飲み込んでいた唾液が喉にたまって、飲み込めなくなりなったりします。
関連記事⇒「扁桃腺がはれてる!?」
舌やあごの大きさが原因で唾液が多い!?
舌が大きい人や、あごが小さいために相対的に舌が大きいという人に、嚥下障害が見られることがあると言われています。
薬が原因で唾液が多い!?
睡眠薬などの薬剤の影響により、睡眠時に唾液の飲み込みがうまくいかなくなるケースもあります。
これを睡眠関連異常嚥下症候群(すいみんじかんれんいじょうえんげしょうこうぐん)と言います。
舌をかむくせが原因で唾液が多い!?
睡眠中に舌をかむ、というくせは、「睡眠時随伴症(すいみんじ ずいはんしょう)」という、睡眠中におこるさまざまな疾患の1つにあげられています。
舌を噛むことによって、唾液を飲み込むことが困難になる、嚥下障害を引き起こすことがあると言われています。
神経のまひが原因で唾液が多い!?
舌の神経が障害を起こし、舌を上手に動かすことができなくなって、唾液の飲み込みが困難になることがあります。
唾液が多い時の対処法は?
ここからは、唾液が口の中にたまってしまったときの対処法をご紹介します。
ガムやアメを口に入れて唾液を飲み込む
ガムをかんだり、アメをなめたりすることで、唾液が飲み込みやすくなることがあると言われています。
漢方薬で対処
唾液の分泌を抑える漢方薬もあります。
唾液が多い原因を病院などで診てもらって、症状や原因にあった漢方薬を処方してもらうのもいいでしょう。
飲み込めない唾液の処理
飲み込めない唾液は、空のペットボトルに吐き出すのもいいでしょう。外出先などでは、ペットボトルをペットボトルカバーなどに入れておけば、外からは見えないですので、安心です。トイレに行くたびに中を綺麗しておくといいですね。
脱水症に気をつけて!
唾液が多く出ることにより、体の中の水分が不足して脱水症になる恐れがあります。脱水症になると、頭痛をはじめ、吐き気やめまいなど、さまざまな症状を引き起こしかねません。
特に、妊娠中は通常より多めの水分が必要になりますので、 マメな水分補給が大切です。
関連記事⇒「脱水症状を起こさないために。」
気になる時は早めに病院へ
いつまでも症状が続いたり、どうも気になる、という時は早めに病院などの医療機関で医師の診察を受けるようにしてくださいね。
唾液のことに詳しい歯科や、口腔内科(こうくうないか)、口腔外科(こうくうげか)をおすすめします。
まとめ
いかがでしたか。
唾液が多い、という症状には様々な原因があります。
唾液の分泌が多くなる原因には、病気が隠れていることもありますし、ホルモンのバランスの崩れ、免疫機能の低下、ストレス、薬などが原因になっていることもあります。
唾液がうまく飲み込めていない、という場合は、通り道である喉に原因があったり、舌の動きに原因があったりします。
寒い時期はストレスも多くなりがちです。
暖かくして、夜はゆっくりお過ごしくださいね(^^)