「話」と「話し」の使い分けに、迷うことってありませんか。
文章を書いていて、「話」の文字のあとに「し」は付けるの?つけないの?
なんて、わからないときって、ありますよね。
たとえば「話合い」なのか「話し合い」なのか?
「お話しする」なのか「お話する」なのか?
どちらなのでしょう。
文部科学省の資料を参考にしつつ、「話」と「話し」の違いについて、見ていきましょう。
この記事の目次
「話」と「話し」の違いはなに?
「話」と「話し」の違いは、「話」を名詞として使うのか、動詞として使うのかということです。
「話」を名詞として使う場合には、送り仮名の「し」はつけません。
具体的な例を見ていきましょう。
名詞には送り仮名がつきません。
「話」を、名詞として使う場合、たとえば「昔話(むかしばなし)」などにして使う場合には、送り仮名の「し」はつけません。
ほかには、次のような例があります。
- 土産話(みやげばなし)
- 手柄話(てがらばなし)
- 別れ話
- 「~が結婚した、とかいう話だ」
- 世間話
- 作り話
- 話半分に聞く
- 耳よりな話
などがこれに当たります。
格助詞の前にあるときは、送り仮名をつけません。
また、格助詞(かくじょし)と呼ばれる「を」「が」「の」などが 後に続くときの「話」にも、送り仮名はつけません。
格助詞には、主に名詞の後に付く、という使い方のルールがあります。
つまり、格助詞「を」「が」「の」などの前の「話」は名詞と見なし、送り仮名をつけない、ということです。
たとえば、
- あの人は、話をするのがうまい。
- 話が早い
- 話のたね
- 話に花が咲く
- 話をする
- 話を聞く
- 話に乗る
- 話がある
- 話がうまい
- その話で持ちきりである
- 話の種
- 話に乗る
- 話にならない
- 話をまとめる
- 折り入って話がある
- 話の腰を折る
などがあります。
格助詞は「を・に・が・の・と・より・で・から・へ・や」の全部で10こあります。
動詞には、送り仮名をつけます。
「話す(はなす)」という動詞として使うとき、またはその活用形には、送り仮名をつけます。
活用形とは、送り仮名を変化させて、使い分けができるもののことです。
たとえば、
- 子供が誰とも話さない。(未然形)
- 先生に話します。(連用形)
- 田中さんと話す。(終止形)
- 誰にも話すことはできない。(連体形)
- このことを誰かに話せば、(仮定形)
- 俺に話せ。(命令形)
- お母さんに話そう。(未然形)
などがあります。
複合語の前に付けるときは、送り仮名をつけます
「話し合う」などの複合語で、「話」が前に付く場合(「話し〇〇」など)には、送り仮名をつけます。
「話し合う」は、「お互いに話す」という意味の動詞の変形だと考えると、理解しやすいかもしれません。
ほかにはたとえば、
- 話し相手
- 話し方
- 話し声が聞こえる
- 話し言葉
- 話し上手の人
- 話し好き
- 話し手
- 話し中
などがあります。
ただし、読み間違えるおそれのない場合は、送り仮名の「し」を省略して、「話合う」としてもOKなんです。
複合語の後に付けるときは、送り仮名はつけません
複合語の場合、「話」が後にくる場合には、送り仮名はつけません。
名詞のところでも出てきましたが、「昔話」などには、送り仮名はつけません。
「おはなしする」はどっち?
「先生とおはなしする時には、」などのように謙譲語として使うときの「おはなし」は、動詞の連用形と見なし、「お話」のあとに送り仮名の「し」をつけます。
連用形とは、あとに、動詞か形容詞が来る時の形のことです。
「おはなしする」の場合は「おはなし」に動詞の「する」が付いています。
● お話し申し上げることはございません。
なども「し」をつけます。
これらはあくまで「よりどころ」です
文部科学省の『送り仮名の付け方』という資料には、今回参考にしたものを含め、送り仮名に関するルールのようなものが、ぎっしり記されています。
ですが、次の一文が、一番初めに記されているのです。
一般の社会生活において現代の国語を書き表すための送り仮名の付け方のよりどころを、次のように定める。
引用:文部科学省の『送り仮名の付け方』
これはあくまで、「よりどころ」なのです。
厳密に正しいものと、正しくないものがある、というわけではない、ということですね。
まとめ
いかがでしたか。
「話」と「話し」の違いについての疑問が、払拭されていれば嬉しいのですが。
「し」を付けるか、付けないかは、その「話」が名詞なのか、動詞なのか、ということを考えることによって、判断できそうですよね。
名詞と考えるケースは、
複合語の後に来る、という場合が一つです。
たとえば、「自慢話」などです。
もう一つは、
格助詞である「を」「が」「の」などがあとに続く場合です。
「話をそらす」などです。
それ以外は動詞、という風に見極めるのも、一つの方法です。
ちなみに、今回の送り仮名についての説明は、あくまで「話」についてのことで、他の語のすべてがこれに当てはまる、というわけではありません。
かつて日本では「はなし」の字に「口」から「出る」と書く「咄」という字が当てられていました。
それでは、また(^^)