「初め」 と「始め」の使い分けに迷うことってありますよね。
仕事の場面でもよく出てくる言葉です。
「初め」 と「始め」、じつはこの2語にはある違いがあります。その違いさえつかんでおけば、もう使い分けに迷うことはなくなるでしょう。
今回は、「初め」 と「始め」の違いや、使い分けについてです。
「初めて」と「始めて」についても合わせて解説していきます。
この記事の目次
「初め」 と「始め」の違いは何?
「初め」は時・時間に関して、「始め」は物事に関して用います
「平成のはじめごろ」は「平成の初めごろ」と書きます。
「仕事はじめ」は「仕事始め」と書きます。
この違いがわかりますか。
「初め」は、「時」に対して使うことが多く、「始め」は、「物事」に対して使うことが多いのです。
さらに、例を使って解説していきます。
「初め」の使い方
「初め」は「順序の一番前のもの」、また、時の流れの中で、「初期の段階」のことを表します。
「初め」は「時」を意識しています。
たとえば、こんな使い方があります。
- 初秋(しょしゅう)
- 月初め
- 「初めまして」(初めてあった人との挨拶で)
- 初めから無理はしない
- 「初めに一言断っておきたい」
などです。
「始め」の使い方
① 一方、「始め」は「始めること」や、「物事の起こり」を意味します。
こちらは「始める」という行動を意識している、と言っていいでしょう。
たとえばこんな使い方があります。
- 御用始め
- 手始め
- 始めの合図
- 始めからやり直す
- そろそろ始めましょう
などです。
② また、「始め」には、「第一のものとして」という意味もあります。
たとえばこんな使い方があります。
● 父を始め全員元気です
などです。
「初めて」と「始めて」の違いは?
「初めて」と「始めて」についても見てみましょう。
「初めて」は、「その時が最初」、という意味
①「初めて」は、「最初である」という意味があります。
たとえばこんな使い方があります。
- 初めての経験
- 初めての試み
- 初めて見た
- 初めて参加した
- 初めてお目にかかります
などです。
② また、「初めて」には「そのときになって、やっと」という意味もあります。
たとえばこんな使い方があります。
- 失って初めて偉大さに気づく
- 病んで初めて健康のありがたさを知る
- 今になって初めて意味を理解した
などです。
「始めて」は「物事を新たに行う」という意味
一方「始めて」は「物事を新たに行う」という意味の動詞「始める」の連用形に、助詞の「て」がついたものになります。
意味は同じ「物事を新たに行う」です。
たとえばこんな使い方があります。
- 読み始めてすぐに嫌になる
- 走り始めて3時間になる
- 食べ初めて5時間が経過した
- 商売を始めて20年になる
- ピアノを習い始めて間もない
などです。
「初」 と「始」の昔と今。
言葉は、時と共に変化していくものです。
「初め」と「始め」も例外ではありません。
以前は「初」を「初める・初まる」のように動詞としても使っていましたが、今はもっぱら「始」を使うようになりました。
「初める」は現在、常用漢字表で「そめる」と読むようになっています。
「書き初め」や「出初め式」などがそうですね。
そして、じつは「始」と「初」の使い分けに関しては、今でも確定しているわけではないのです。
「年の初め」、「年の始め」
などのように、原則的には「初め」を使うのですが、「始め」が用いられていることも多いのです。
「初め/始めから終わりまで」や「物事は初め/始めが肝心」、「初めまして/始めまして」などもそうなのです。
ですので、厳密にはどちらを使っても間違いとは言えない、ということですね。
まとめ
今回は「初め」 と「始め」、「初めて」と「始めて」の違い、使い分けについてでしたが、いかがでしたか。
おおまかに「初め」は時に関して「最初」という意味で、
「始め」は物事に関して「開始」の意味で使います。
「初めて」と「始めて」も同じように、
「初めて」が「最初である」という意味で、
「始めて」が「物事を新たに行う」という意味になります。
これを原則的に使っていただければ、と思います。
「話」と「話し」の違い?使い分けは?
「意外」と「以外」の違い?使い分けは?
「無」「不」「否」「非」の違いは?
「はじめちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋取るな」の「はじめ」はどちらでしょう。
原則的には「初め」です。でも習慣的に「始め」も使われてます(^^)