「ほか」という言葉の漢字を当てるときに「他」と「外」の2つで迷うことってありませんか。
意味もとっても近いですので、ちょっとややこしいですよね。
それに、「他」という漢字には、常用漢字表で、 「ほか」とは読ませない、という時期もあったのです。
常用漢字表自体も、あくまで「目安」ということですし、慣習により変わることがありますので、「他」と「外」それぞれの意味を把握して、しっかり使い分けをしておきたいですね。
今回は、 「他」と「外」の意味の違いや使い分け方について解説していきます。
「他」と「外」の意味の違い
「他」と「外」にはどんな意味の違いがあるのでしょう。
まず「他」には、
簡単に言うと 『別のもの。』という意味があります。
それに対し、
「外」には、『ある範囲以外のこと』、という意味があります。
ちょっと分かりづらいかもしれません。
もう少し、 例を見ながら見ていきましょう。
「他」と「外」の使い分け
「他」と「外」の使い方の例をご紹介します。
「他」はたとえば、
● 他の会社を当たってみる
● 他の方法を試す
● 他の土地に住む
● その他にもいろいろなことがあった
● 他の人にも尋ねる
などがあり、
「他」を、 「別の」と言い換えができたり、 「それとは異なるもの。」という意味があるのがわかりますよね。
「外」の例を見てみると、
● 斎藤氏外3名
● 思いの外
● 殊の外(ことのほか:予想とはかなり違っている)
● 恋は思案の外(恋は理性ではコントロールできない)
● 以ての外(もってのほか:思いもかけず、はなはだしい)
などがあり、
「外」には、 『ある範囲から外れている』という意味があります。
「他」と「外」の違いや使い分け方について、ご理解いただけましたか。
でもじつは、この「他」と「外」は、はっきりと分けて使える、という ものばかりではありません。
「他」と「外」の使い分けが難しいものも
「他」と「外」どちらも使われている、というものもたくさんあるのです。
たとえば、
● 努力するより 外/他ない
● ~に 外/他ならない
● 鈴木氏の 外/他に3名が入門した
● 外/他ならぬ君の頼み
● やり続ける 外/他ない
● 外/他でもない
● 文書の 外/他、口頭でも説明する
などです。
ただ、これらは一般的に かなで書かれる傾向が強いと言えます。
その理由も見てみましょう。
「他」と「外」はかな書きが多い
先ほども書きましたが、「他」と「外」は、かなで書かれることが多いです。
その理由に、
○ 「外」は「そと」と読み間違いやすいこと
○ 「他」は「た」と読み間違いやすいこと
○ 「他」と「外」の使い分けが難しいこと
などがあるからなのです。
「他」は「ほか」と読まない?
始めに、「他」には「ほか」と読まない時期もあった、とご説明しましたが、常用漢字表に追加されたのは、平成22年からです。
下の表は、それを示す、文部科学省の資料です。
世の中の慣習により、変わることがあるのですね。
「他」の2つ上には、「創る」も載っていますね。おっ!「関わる」なんかもあります。
まとめ
いかがでしたか。
「他」と「外」の意味の違いや使い分けをおさらいすると、
「他」は、それとは違うもの、という意味で
「外」は、範囲外のもの、という意味になります。
使うときに、どちらを使っていいのか分かりにくければ、 かな書きで全然OK、ということでもあります。
「丸」と「円」の違いは?
「越える」と「超える」の違いは?
「対称」と「対照」と「対象」の違いは?
異字同音の漢字は、ほかにもまだまだありますね。の「ほか」ってどっちだろう ^^