便秘は、ある病気が原因で現れる一つの症状、ということがあります。食生活などを改善しているにも関わらず、なかなか便秘がおさまらないという場合には、病気が隠れているのかもしれません。
また、日常生活にちょっとした変化があった時にも、便秘を引き起こすことがあります。お腹には、たくさんの神経が通っていますので、とても敏感です。
今回は、便秘の原因について解説していきます。
この記事の目次
便秘は、生活の変化が原因?
次のようなことが原因で、便秘になることがあります。
- 食生活に変化があった・・・食物繊維や水分不足による便秘
- 家でじっとしていることが多くなった・・・活動が減ったことによる便秘
- お腹の手術や、放射線治療を受けた・・・細胞組織が引っ付いて、腸が狭くなることによる便秘
- 薬の服用・・・薬の副作用による便秘
- 出産・・・複数の出産経験で排便障害を起こすことがあります。
- 妊娠、月経・・・女性ホルモンの分泌に変化が起こることで、便秘になることがあります。
- ストレスが続いている・・・腸はとても敏感で、精神的な問題が便秘を引き起こすことはよくあります。
食物繊維が多く含まれた食べ物や水分は快便のために必要です。適度な運動もまた、腸を活性化するためには大切なことです。
食物繊維、水分、運動の不足が、便秘の原因になっていないかどうか、チェックしてみてください。
薬の服用や治療、出産が原因だと考えられる場合は、かかりつけの医療機関で相談してみてくださいね。
便を我慢していると便秘の原因に!
トイレに行きたくなっても、仕事の関係や人目を気にして、なかなか思うようにいけないことがありますよね。
でも、我慢を繰り返していると、肛門から送られてくる排便の信号に狂いが生じてしまうことがあり、便失禁を引き起こすこともあります。
肛門からのサインがあったときは、なにはさておきトイレに行くことを優先させるようにしましょう。
下剤を多用することが便秘の原因?
下剤や浣腸を日常的に使っている場合は、腸が鈍くなり、排便のサインが弱くなることがあると言われています。
便秘は、病気が原因?
便秘の原因がほかの病気による場合には、次のような症状をともなうことがあるといわれています。
- 体重が減少している・・・大腸がん、うつ病
- 腹痛がある・・・大腸がん、憩室炎(けいしつえん)、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
- 便が細くなった・・・大腸がん、過敏性腸症候群、
- 吐き気や嘔吐がある・・・腸閉塞(ちょうへいそく)、過敏性腸症候群
- 発熱がある・・・憩室炎、大腸がん
- 背中の痛み・・・馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)
- おならが出ない・・・腸閉塞
- 便失禁がある・・・馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)
- 足に脱力感がある・・・脊髄損傷(せきずいそんしょう)
- 肛門当たりにしびれがある・・・脊髄損傷
- 残便感がある・・・過敏性腸症候群
- 眠れない・・・うつ病
- 体重増加・・・甲状腺機能低下(こうじょうせんきのうていか)
- 足のむくみ・・・甲状腺機能低下
- お腹にガスがたまっている・・・腸閉塞(ちょうへいそく)
- 血便が出る・・・大腸がん、憩室炎
- 排尿回数が増えた・・・糖尿病、自律神経障害
- 粘液がでる・・・過敏性腸症候群
- 下痢をする・・・過敏性腸症候群、大腸がん
それぞれについて、もう少し詳しく解説していきます。
大腸がん
血便が出ることが多く、また、それを痔だと勘違いされやすい大腸がんの症状に、体重減少、腹痛、細い便、発熱、下痢などがあります。
大腸がんに関しては、こちらでも解説していますので、参考にしていただければと思います。
うつ病
脳と腸には密接な関係があることがわかってきています。 うつ病の人が便秘になりやすいのは、ひとつには抗うつ薬の副作用によるものですが、もうひとつは、うつ状態が自律神経系に影響を与え、腸の動きを低下させる、と考えられています。
うつ病に深く関係すると言われている 「セロトニン」という情報伝達物質は、腸の活発な動きとも関係していますが、脳内のセロトニンと、腸内のセロトニンは行き来することができないため、関連性はまだ明らかにはされていません。
憩室炎(けいしつえん)
憩室とは、大腸内にできる小さなポケットのようなもので、そこに細菌などが原因で炎症を起こすのが 憩室炎です。
憩室炎については、こちらを参照していただければと思います。
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
腸内に炎症や潰瘍(かいよう)などがないにも関わらず、不快な症状を引き起こすものを 過敏性腸症候群と言います。
過敏性腸症候群は、腸の緊張や激しい動きが原因となって起こり、ウサギのような硬くてコロコロとした小さな便がでたり、便秘と下痢を繰り返すこともよくあります。
そのほかの症状として、お腹の左下の痛み、めまい、頭痛、肩こり、不眠、動悸、粘液がでる、などを引き起こすことがあります。
腸閉塞(ちょうへいそく)
便秘とともに吐き気や嘔吐がある場合には、腸閉塞を起こしている恐れがあります。腸閉塞は腸が詰まってしまう病気で、原因には様々なものがあります。
腸閉塞の原因や症状はこちらで詳しく解説しています。
馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)
馬尾症候群とは、背骨の中にあって、馬のしっぽのように束になっている神経が、圧迫されることによって引き起こされる、不快な症状のことです。
馬尾症候群では、背中の痛みや便秘のほかに、腰痛、足のしびれ、尿・便失禁、性機能障害などを起こすことがあります。馬尾症候群が起こる原因には、骨の変形や腫瘍などによって、背骨の中の神経の通り道が狭くなることで起こると考えられています。
関連記事⇒「背中のしびれ、原因は?」
脊髄損傷(せきずいそんしょう)
背骨の中にあり、神経を含んでいる脊髄は、外から強い力がかかることで、骨折や脱臼などをするほかに、脊髄の中で病気が発生したときにも損傷することがあります。
この脊髄損傷の症状として、便秘や足の脱力感、肛門当たりのしびれなどがあります。
甲状腺機能低下(こうじょうせんきのうていか)
甲状腺とは、代謝などをつかさどる、のどにある小さな臓器です。この甲状腺の働きが鈍くなると、いろいろな症状が現れるのですが、便秘もその一つで、体重増加や足のむくみが現れることもあります。
糖尿病(とうにょうびょう)
血液中のブドウ糖が、エネルギーとして代謝されないために、通常よりも多くのブドウ糖が血液の中に残ってしまう 糖尿病も、さまざまな不快な症状を引き起こします。
便秘もその一つで、自律神経が障害されるために起こると考えれています。
自己判断で対処しないようにしましょう
病気については、一般的な症状などを解説しましたが、便秘の原因には、それぞれの体質なども大いに関係しています。
自己判断はさけて、医療機関できちんと診察を受けられることをおすすめします。
まとめ
一口に便秘と言っても、さまざまな原因で引き起こされますよね。腸は第二の脳とも言われていますから、神経も多く通っていて、いろんな器官とのつながりも多いです。
精神的なストレスが、すぐにお腹に出る、ということも珍しいことではありません。お腹の状態が免疫力に影響する、ということもありますので、お腹の健康はとても大切です。
便秘に代表されるお腹の不調は、体からのサインといってもいいでしょう。
日常生活の改善で、便秘が解消されれば、それに越したことはありませんが、別の原因があるのかもしれません。調子が悪い、と感じたときは、 早めに医師の診察を受けてくださいね。
水分摂取や適度な運動は、大切ですよ ^^)