目の奥の痛みと、頭痛が重なるのは、目と頭、または目と脳が密接に関係しているからなのです。
現代人の私たちは、目の使い方に注意しなければ、頭痛を簡単に引き起こしてしまうことになります。
今回は、目の奥の痛みと頭痛について解説していきます。
鼻や目の病気が原因になっていることもあります。
改善策も参考にしてくださいね。
この記事の目次
目の奥の痛みと頭痛の原因は?
目の奥の痛みと、頭痛を引き起こす原因には次のようなものがあります。
- 目の酷使や肩こり
- まぶたの病気
- 目の病気
- 鼻の病気
それぞれについて詳しく解説していきます。
目の奥と頭痛を引き起こす酸素不足
脳は、5感から受け取った情報を処理しているわけですが、目から入ってくる情報を処理する量は、全体のなんと90%にもなります。
精密な器官である目の周りには、たくさんの毛細血管が集まっていますし、視神経はほかの神経とも密接にからみあっています。
そして、脳からでている大きな三叉神経のひとつは、目の奥につながっているのです。
脳はかなりの酸素を消費する
脳も目も、正常に働くためには、十分な酸素を必要としますが、頭や目に痛みが起きるのは、 酸素が不足している、というサインでもあるのです。
酸素が不足した頭の中では、ATPと呼ばれる、筋肉を動かすエネルギー源の産出が減り、筋肉内が酸性に傾きます。筋肉内が酸性に傾くと、最強の発痛物質といわれる、「ブラジキニン」が作り出されてしまい、痛みが発生します。
悪いことにこの「ブラジキニン」には、血管を収縮させるという作用がありますので、血流が悪くなり、酸素不足がさらに進む、ということになってしまいます。
酸素不足を引き起こす目の酷使
酸素不足を引き起こす原因のひとつに、 目の酷使があります。
目を酷使することによって、頭の中の酸素の消費が膨大になり、 酸素不足が引き起こされる、というわけなのです。
目の酷使の大きな原因に、長時間のパソコンなどでの作業があり、頭痛や目の奥の痛み以外にも、さまざまな症状を引き起こしています。
これを特に、「VDT症候群」(Visual Display Terminal Syndrome:視覚表示装置症候群)と呼んでいます。
VDT症候群の症状はほかに、めまい、うつ、手足のしびれ、自律神経失調症におけるさまざまな症状などがあります。
目が疲れる原因
目を酷使している状況は、長時間の作業のほかに、次のようなことがあります。
- 度の合っていないメガネを使用している
- ドライアイになっている
- 神経を張りつめてディスプレイを凝視している。
などです。
ドライアイについてはこちらで詳しく解説しています。
目が疲れる行為は、首や肩のこりも引き起こす
パソコンを前に、長時間におよび同じ姿勢でいると、首や肩のコリも発生させてしまい、目や脳の酸素不足を加速させることにります。
もっとも良くないのが、猫背で、顎が前にでている姿勢です。猫背になると、頭を支えるために自然に顎があがり首を縮めて、筋肉を硬くしやすくしています。
こんな姿勢が毎日続くと、首はもちろん、背中の筋肉までガチガチに固まってしまう、というわけなのです。
首の後ろには後頭下筋群と呼ばれる筋肉群があり、頭や目、耳などとつながっている神経が密集しています。
これらの神経が圧迫されると、こめかみ辺りにズキズキとした痛みや、目のかすみ、耳鳴りなども併発しやすくなるのです。
こめかみが痛い、という頭痛に関してはこちらを参考にしていただければと思います。
まぶたの病気
目の周りの酸素不足を起こし、目の奥の痛みや頭痛を引き起こす原因は、ほかにもあります。
まぶたが開きにくくなる病気の「眼瞼下垂症(がんけいかすいしょう)」もそのひとつです。
まぶたが開きにくくなると、視界が狭くなるので、無意識におでこやこめかみ辺りの筋肉を使って、まぶたを上げようとします。
これが負担となって、目の奥の痛みや頭痛を引き起こす、というわけなのです。
眼瞼下垂症になる原因には、次のようなことがあると言われています。
- 目をこする、または、まぶたをかく行為
- まぶたを引っ張る行為(化粧落とし、つけまつげを外すなどの時)
- コンタクトレンズの長期使用
- 老化
などです。
眼瞼下垂症になると、次のような見た目の変化があります。
- 二重の幅が変化した
- 一重が二重になった
- 目の上が落ち込んだ
- 常に眉毛をあげている
- 顎を上げてものを見るようになる
などです。
注)ある日急にまぶたが下がった、などの場合には、ほかの病気、たとえば糖尿病や脳梗塞、動眼神経麻痺などが疑われます。
眼瞼下垂かなぁと思われた方は、眼瞼下垂に詳しい病院で診てもらってくださいね。
目の病気
目の奥の痛みや頭痛を引き起こす目の病気もあります。
たとえば、
〇 角膜に濁りがでて、吐き気をともなう緑内障(りょくないしょう)
〇 目が入っている骨のくぼみの中に腫瘍ができる、眼窩内腫瘍(がんかないしゅよう)
〇 視力障害を起こす視神経炎
などです。
鼻の病気
鼻や耳の疾患が原因で、目の奥の痛みをともなう頭痛がおきることもあります。
たとえば、
〇 鼻の奥にある副鼻腔に炎症ができる、副鼻腔炎(ふくびくうえん)
〇 耳の中に炎症が起きる、中耳炎や内耳炎
などです。
鼻の疾患に関することは、こちらも参考にしていただければと思います。
吐き気が起こる原因は?
目の奥の痛みや頭痛とともに吐き気が起こるのは、頭の中の嘔吐中枢(おうとちゅうすう)という神経が刺激を受けるからなのです。
吐き気だけか、嘔吐にいたるか、という違いは、刺激されている神経の違いによるものと、考えられています。
対処法は?
激しい頭痛が起こっている場合に、効果があると言われている酸素吸入をしてくれる病院などがあります。
また、「頭痛外来」といって、頭痛に特化した診察をしてくれるところがありますので、詳しい検査などをしてもらうのもいいでしょう。
頭痛や目の奥の痛みの原因が、脳や頭部などに起きる病気であることもあります。
気になるときは早めに、内科、脳神経外科、神経内科などで、医師の診察を受けてくださいね。
目の奥の痛み、頭痛を起こさないために
目の奥の痛みを伴う頭痛は、非常に激しく痛みますよね。
起きないようにするための方法や、注意することを見ていきましょう。
ディスプレイの位置
● ディスプレイは、目の高さより、少し下になるように置いてください。
ディスプレイの距離
● なるべくいつも同じ距離でディスプレイを見てください。
いつもより近づいて、ディスプレイを凝視することがきっかけで、ただちに頭痛を引き起こすことがあります。
休憩をまめにとってください
● 1時間の作業ごとに、10分~15分くらいの休憩を入れて目や体を休めてください。
休憩の時は、ストレッチをしたり、腹式呼吸での深呼吸をするのもいいですよ。
適度な運動を
● ウォーキングなどの有酸素運動も日課にしてください。
ウォーキングの効果はこちらを参考にしていただければと思います。
姿勢に注意しましょう
● 猫背にならないように、注意しましょう。
メガネの度を合わせましょう。
● めがねの度数を合わせ、目に負担をかけないようにしましょう。
ストレッチをしましょう
● 首や肩、背中、体全体のストレッチを日課にしましょう。
首の後ろにある後頭下筋群の上には、覆うように首から背中にかけての大きな筋肉(僧帽筋:そうぼうきん)があります。
この筋肉が硬くなると、後頭下筋群も硬くなってしまいます。
ストレッチの方法はこちらでご紹介しています。
ツボを刺激しましょう
● また、後頭下筋群の辺りには、頭痛に効くツボが並んでいます。
首が凝り固まっている人は、この辺りを押すと、離れたところに電気の走るような痛みを感じることがあります。
ただし、ツボを刺激することで、体に不快な変化がでたり、気分が悪くなる人は止めて下さいね。
頭痛に効くツボはこちらでご紹介しています。
鉄分を摂りましょう
● 酸素を運ぶヘモグロビンは、鉄分から作られますので、日々の食事で鉄分を多く含むものを摂取してください。
鉄分を多く含む食品は、こちらを参考になさってください。
飲み物に気を付けましょう
● コーヒーなどの、血管を収縮させるものはあまり飲まないで、血管を広げる作用のある炭酸水などをおすすめします。
ただし、お腹の弱い人は、様子を見ながら飲むか、飲まないでください。
炭酸水の効果はこちらをどうそ。
季節の変わり目は注意しましょう
● 寒さで、身を縮めるようなことがないようにしましょう。
寒くなり始めのころに、頭痛になりやすい、という方は、知らず知らずのうちに、肩に力が入っています。
力をぬきましょう
● マウスを持つ手にも、力を入れないようにしましょう。
スマホでも注意してください
● プライベートでスマホをみる時にも、凝視したりしないように注意してくださいね。
まとめ
目の奥の痛みと、ひどい頭痛は、血流の悪さと酸素不足が大きな原因になっていることがあります。
酸素の供給を滞らせないためにできることは、目を酷使しない、首や肩がこらないようにする、目やまぶたの病気がないか診てもらうなど、いろいろあります。
私たちの生活は、体を動かすことが減ってきたことに比例して、目を使うことがますます増えています。
目の使い過ぎによる頭痛が慢性化すると、頭の中にある、 痛みを抑える働きをする神経の力が弱くなってくると言われています。
この神経の力が弱くなってくると、ますます痛みに耐えられなくなったり、痛みがさらに長く続くようになったり、刺激に対して敏感になってしまうことになるのです。
痛みを抑える神経が弱くなる前に、改善できるといいですね(^^)