髪の毛が抜けるのは、ストレスのせいだけではない、ということが言われるようになってきました。
子供や10代の中学生・高校生など、若い世代の人たちにも、抜け毛の症状がみられることから、単なるストレス説が疑問視されているのです。
今回は、髪の毛が最近よく抜ける、といった症状について解説していきます。
日常で髪の毛にとって良くないことを繰り返している場合や、病気が隠れている場合、時期的なことが関係している場合など、さまざまなことが考えられます。
この記事の目次
髪の毛が抜ける原因はなに?
私たちは誰でも1日に、50本~100本くらいは髪の毛が抜けていると言われています。これは髪の毛にも寿命があるためで、1本の髪の毛は生えてからおよそ4~6年で抜けていき、次に生えてくる新しい髪の毛に毛穴をゆずります。これをヘアサイクルといいます。
このような自然なヘアサイクルとは異なり、1日に抜ける髪の毛が多くなってしまう原因に、次のようなことがあると言われています。
- 免疫細胞が毛根を攻撃している
- 髪の毛を引っ張りすぎている
- 髪の毛が抜けやすい時期である
- 男性ホルモンの変化
などです。
髪の毛が抜ける原因をさらにくわしくみていきましょう。
免疫細胞が原因で髪の毛が抜ける!?
体に侵入してきた外敵を攻撃したりして、私たちの体を守っているのは免疫細胞ですが、何らかの理由で異常な行動を起こすことがあります。
免疫細胞の異常な行動のひとつに、「毛根を敵だと勘違いして攻撃する」ということがあり、円形脱毛症などを引き起こすことがあると言われています。
免疫細胞が異常な行動を起こす原因は?
免疫細胞が毛根を攻撃するという異常な行動を起こす原因には、次のようなことがあると考えられています。
- 甲状腺の病気
- 貧血
です。
甲状腺の機能低下で髪の毛が抜ける
免疫細胞に影響を与える甲状腺に機能低下が起きると、甲状腺ホルモンが多く出すぎたり、少なすぎたり、ということが起こり、体にさまざまな症状を引き起こします。
甲状腺ホルモンが多く出すぎた時に、「髪の毛が抜ける」という症状がでることがあると言われています。
甲状腺ホルモンが多く出すぎた時にあらわれる症状には他に、次のようなことがあります。
- 髪の毛が抜ける
- 汗が異常に多くなる
- 疲れやすい
- 手足がふるえる
- 脈が速く、動悸がする
- 口が乾く
- イライラする
- よく食べる
- 微熱がある
などです。
そしてじつは、甲状腺ホルモンが少なすぎる場合にも、髪の毛が抜けることがあると言われています。
甲状腺ホルモンが少なすぎる場合にはほかに、次のような症状がでることがあります。
- むくみ
- 寒がり
- 甲状腺が腫れる
- 声がかれる
- 便秘
- 筋力の低下
- 眠気
- 皮膚の乾燥
- 物忘れ
- 疲れやすい
などです。
貧血で髪の毛が抜ける!?
貧血が原因で、免疫細胞に「毛根を攻撃する」という異常な行動が起きることもあります。
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが少なくなった状態で、「髪の毛が抜ける」というほかに、次のような症状を引き起こすことがあると言われています。
- 食欲低下
- 動悸
- 頭痛
- 記憶力・集中力の低下
- 爪がもろく変形する
- めまい
- 立ちくらみ
- 疲れやすい
- 顔面蒼白
などです。
貧血を起こす原因はなに?
貧血を起こす原因には、次のようなことがあるとされています。
- 赤血球の材料である、鉄の不足
- 血球細胞の材料である、ビタミンB12または、葉酸の不足
- 赤血球を作ることができない骨髄の造血細胞の異常
- 出血などで血液が失われる
- 悪性腫瘍・結核・腎臓病など
などです。
引っ張りすぎで髪の毛が抜ける!?
引っ張りすぎが原因で髪の毛が抜けていくことを、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」といいます。
髪の毛を引っ張りすぎる原因には、次のようなことがあります。
- ポニーテールや三つ編み、アップなどの髪型
- パーマ
- 毛染め
- ブラッシングのし過ぎ
- いつも同じところで髪の毛を分ける
などです。
普段何気なく行っていることが頭皮や髪の毛にダメージを与えることがありますので、注意したいですね。
髪の毛を引っ張りすぎるとどうなるの?
牽引性脱毛症は、固着力を上回る力で髪の毛を引っ張ることにより、毛乳頭部分が委縮するために起こると考えられています。
毛乳頭が委縮を続けると、だんだん髪の毛が細くなり、やがて生えなくなってきてしまいます。
髪の毛が抜けるやすいところは?
牽引性脱毛症で髪の毛が抜けやすいところは、額、側頭部、分け目などです。
髪の毛が抜けやすい時期ってあるの?
春や秋になると髪の毛が抜けやすくなると言われています。これは精神的・身体的ストレスが大いに関係しており、春のストレスは環境の変化よる精神的ストレス、秋のストレスは夏の強い紫外線による身体的ストレスによるものと考えられています。
精神的ストレスや身体的ストレスは、自律神経の機能を低下させることがあります。
ストレスが強くなると自律神経の交感神経が強く働き、血管を収縮させて血行を悪くします。夏の紫外線は活性酸素を多く発生させるため、さらに頭皮などにダメージを与えてしまうのです。
男性ホルモンの変化で髪の毛が抜ける?
男性ホルモンが関係している抜け毛に「男性型脱毛症」があり、男性だけでなく女性にも発症することがあります。
男性型脱毛症は、男性ホルモンがより強いタイプの男性ホルモンに変化することで、髪の毛に必要なエネルギーが作られなくなり、やがて髪の毛が抜けていくことになります。
男性型脱毛症については、こちらでくわしく解説していますので参考にしていただければと思います。
抜け毛を改善する方法
「髪の毛が抜ける」という現象を止める方法をみていきましょう。
病院で診察を受ける
甲状腺の機能低下が、抜け毛の原因と思われる場合は、内科や内分泌科を、「貧血かも」と思われる場合は、内科などを受診されることをおすすめします。
円形脱毛症や男性型脱毛症の場合は、脱毛にくわしい皮膚科がいいでしょう。
貧血を改善する
鉄分の不足による貧血の改善には、鉄分を多く含む食べ物をまめに摂ることが大切です。
厚生労働省による鉄分の1日の推奨摂取量は、男性で7.5mg、生理のある女性は11mg、生理のない女性で6.5mgです。
鉄分を多く含む食品には、 ひじき・あさり・鶏レバー・牛ヒレ肉・小松菜などがあります。
鉄分を効率よく吸収するためには、タンパク質やビタミンCを一緒にとることも大切です。
ちなみに、一緒にとることで鉄分の吸収を妨げる成分に、コーヒーやお茶に含まれるタンニン、食物繊維などがあります。
マッサージで頭皮をケアしましょう
毛根細胞に栄養や水、酸素を運ぶ血流を良くすることも大切で、頭皮マッサージが効果的です。
頭皮マッサージは、心地よいと感じる程度の強さで、うなじや側頭部など髪の生え際から、頭頂部に向かって徐々にもんでいくようにします。
決して頭皮をこすらないように注意して行ってくださいね。
マッサージのくわしいやり方は、こちらで解説しています。
頭皮はほうっておくとかたくなりやすく、血行が悪くなってしまうと言われています。
ストレスを避けましょう
抜け毛が時期的なものなら、ある程度は仕方のないこととしてやり過ごし、ストレスを増やさないことが大切です。時期が過ぎれば抜け毛がおさまってくるでしょう。
リラックスすることが大切です
精神的なストレスが原因だと思う場合は、なるべくリラックスした時間を多く作るようにしましょう。
紫外線対策をしましょう
紫外線は、頭皮にストレスを与え、ヘアサイクルを狂わせてしまうことがありますので、対策はしっかり行いましょう。
帽子をかぶったり、日傘をさしたりして、直接紫外線が頭に当たらないようにすることが大切です。
抗酸化作用のある食べ物や飲み物、活性酸素から頭皮を守るビタミンCを多く含む食べ物などを摂ることも効果があります。
抗酸化作用のある食べ物にはごまなどがあり、飲み物はルイボスティーがおすすめです。
ルイボスティーの効果や効能はこちらで解説していますので、よかったら参考にしてくださいね。
引っ張りすぎないブラッシングのコツ
やさしいブラッシングを心がけ、なるべく髪の毛を引っ張らないように注意しましょう。
ブラッシングのコツは、まず毛先から丁寧にときほぐし、徐々に根元へと進んでいくことです。
髪の毛が長い場合は、少しずつ髪の毛をもって、ブラッシングするのがいいでしょう。
また、ブラッシングはゆっくり行うことも大切です。
速くブラシを動かすと、キューティクルをいためてしまったり、髪をもつれさせたりして、髪の毛が抜けてしまう原因になることがあります。
まとめ
髪の毛が抜ける原因や改善方法などについて見てきましたが、いかがでしたか。
頭皮は細胞分裂が盛んなところですので、体の不調があらわれるやすいところだと言えます。
逆に髪の毛を元気に保つためにするあらゆることは、からだ全体を健康に保つために役立つということですよね。
不足しがちな栄養素を積極的にとって、バランスのよい食事をしてくださいね。
運動や水分摂取もとても大切なことです^^)