耳がつまっているような、鼻がつまっているような変な感じがする、という症状で悩んでいる人が増えています。また、自分の声や呼吸音が大きく耳に鳴り響く、ということもあります。
こんな不思議な現象はどうして起きるのでしょうか。耳と鼻にはどんな関係があるのでしょうか。
今回は、耳と鼻の つながりや、つながりに不調が起きてしまう原因などについて解説していきます。
この記事の目次
耳と鼻はつながっている
耳と鼻をつなぐ耳管(じかん)
上の図にあるように、耳の奥と鼻の奥は、細い くだでつながっています。このくだのことを 耳管(じかん)といいます。耳管は普段は閉じていますので、耳は耳としての役割を、鼻は鼻としての役割を、それぞれ別々に果たしています。
鼻の役割には呼吸があります。鼻が詰まって息ができない場合などに、口呼吸をする場合もありますが、耳呼吸をする人はいませんよね。
飛行機にのったときや、長いトンネルに入ったとき、エレベーターに乗ったときなどに、耳が詰まった感じになることがあります。音が聞こえにくくなったり、自分の声が耳に響いたりして、とても嫌な感じがしますよね。
これは、耳の中にある鼓膜がどちらか一方に引っ張られる、というか押されることによって発生します。 耳の中の気圧と外の気圧に差ができるからなのです。
鼓膜はどちらにも引っ張られない状態にあるとき、外からの音に反応して振動し、それを耳小骨(じしょうこつ)という器官に伝えます。そうすることで、私たちは正常に音を聞くことができます。
鼓膜が引っ張られて張りつめていると、鼓膜が振動できないので、音がこもって聞こえにくかったり、キーンという音がすることもあります。
耳が詰まった感じや、こもってへんに感じたときに、私たちはつばを飲み込んだり、あくびをしたりして解消しようとします。これはなぜでしょう。
ここで登場するのがいつもは閉じている 耳管です。私たちは意識して耳管を開いているわけではありませんが、つばを飲み込んだり、あくびをしたりしたときに耳管が 一瞬開くのです。。
耳管が開いたと同時に空気が入ってきたり、出て行ったりすることで、耳の中の気圧と外の気圧が同じになり、 鼓膜の緊張状態が解消されます。
外よりも鼓膜の中の気圧が高ければ、耳の中の空気が出ていきますし、耳の中の気圧が低ければ空気は入ってきます。
耳管の働き
耳管は、気圧を調整しているだけではありません。耳の中(中耳)の換気、血管から中耳にシミ出た液体の排出、 感染の防御などがあります。ものを飲み込んだ時や口を開いたときなどに耳管は開きます。
耳管が開きっぱなし!?
耳管は通常閉じていて、必要な時に一瞬開くと述べましたが、もし、いつも開いていたとしたらどんなことになるのでしょう。息を吐くときに耳の方へも抜けていくことになりますし、息を吸い込んだら、耳からも空気が入ってくることになるのです、そうなると、息をするたびに 鼓膜が大きく振動し、その音が大きく耳に入ってきます。
話し声はどうでしょう。いったん口から出て、外から入ってくるのではなく、耳管を通って直接耳に入ってきます。すると 声が大きく耳の中で響きますし、外の音が聞きづらくなることもあります。
そういう症状を引き起こしてしまうのが、 耳管開放症(じかんかいほうしょう)という病気です。
これは大変苦痛をともなう病気ですし、悪化すると鼻の炎症で生じている膿が耳に達してしまうこともあります。
耳管開放症の原因は?
耳管開放症を引き起こしてしまう原因のひとつに、急激な体重の減少があると言われています。体重の減少にともない、耳管周囲の脂肪が減少し、硬くなります。血液の循環も悪くなると、さらに耳管周囲は硬くなってしまいます。
また、水分摂取の不足による脱水症やホルモンバランスの変化も原因と考えられています。
間違った対処法
耳が詰まったからと言って、鼻をふさいで無理に息を出そうとしたり、吸おうとしたりして、常に耳に圧力をかけると、鼓膜をいためてしまうことがあります。また、急性中耳炎や耳の周囲の骨を破壊する 真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎、鼓膜の内側に分泌物がたまる 滲出性(しんしゅつせい)中耳炎に進行する恐れもありますので、注意が必要です。
耳管が開かない!?
耳管開放症は耳管の開きが問題の病気ですが、耳管が開かないのも問題です。耳管は気圧の調整をしていますので、開かなければやはり耳管開放症の場合と同じように、鼓膜の状態が異常になります。 耳に詰まった感じがしたり、キーンという音がしたり、自分の声が大きく響いたり、耳に痛みが出たり、難聴、耳鳴りをともなうこともあります。
耳管の開放がうまくいかない病気を「 耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)」と言います。
耳管狭窄症を発症すると、耳の中の圧力が低下することで、血管やリンパの液体がしみ出してしまうこともあるのです。
耳管狭窄症の原因は?
耳管狭窄症の原因は、耳管に炎症が起きる 耳管炎や、耳管近辺にある 扁桃(へんとう)の炎症による圧迫、筋性、または神経性の障害による 開閉機能の低下などが考えられています。
耳管炎は耳の中の炎症(中耳炎)を引き起こすことも多く、悪化して膿がたまると鼓膜が破れて、耳だれが出てくることがあります。
鼻のアレルギーがあったり、副鼻腔炎、喘息、上気道炎がある場合は、早めの治療が大切になります。
耳管機能不全を起こさないために
耳管の機能が低下する耳管開放症や耳管狭窄症のことを 耳管機能不全(じかんきのうふぜん)と言います、耳管機能不全の恐れがある場合は、なるべく早く耳鼻咽喉科での受診をおすすめしますが、ここでは、それらを引き起こさないようにするための対策をご紹介します。
脱水症に注意しましょう
耳管開放症を、汗をかいた後や運動の後によく引き起こす、という方がいらっしゃいます。これはからだが脱水症状を引き起こしているからと考えられます。
運動をする前や運動の後、汗をかく入浴の前や後などには、水分をしっかりとりましょう。
アルコールやカフェイン飲料は利尿作用がありますので、脱水症状をまねくものの一つです。また、甘い飲み物も有効ではありません。ミネラルウォーターか炭酸水を冷たくしないで飲まれることをおすすめします。
飲み方や炭酸水については、こちらを参考にしていただければと思います。
急激な無理なダイエットはしない
やせたいときは急激に!、というのが願いかもしれませんが、いろいろなところで急激なダイエットは体の調子を崩す原因だと言われていますよね。頭の中の、小さな管にも影響します。ダイエットで体の調子を悪くしてしまっては、やせられたとしても楽しい気分になれないことが多いものです。健康的に痩せる方法でトライしてみてくださいね。
鼻をかみすぎるのはよくないの?
耳に何度も、無理に圧力をかけるのは、良くないと言いましたが、鼻をかむときにも注意が必要です。鼻づまりがひどくても、鼻の中が気持ち悪くても、 無理に鼻をかむと耳をいためてしまう恐れがあります。
鼻をかむときは、片方ずつ、軽くかんでください。十分にかめてないと思ったときは、何度も軽くかむようにしましょう。
鼻をすすらない!
鼻の調子が悪いときは、ティッシュを常にたくさん持ち歩いてかむようにし、 鼻はすすらないようにしてください。鼻の菌が耳に到達して中耳炎をおこすことがあるからです。
鼻をかめない子供は特に、耳鼻科で早めに治療を受けられることをおすすめします。鼻のかたまりが喉に落ちると、咳の原因にもなります。
風邪をひいたときも、耳鼻科の診察を受けられると、早く回復することがありますよ。
まとめ
耳と鼻のつながりと、不調について見てきましたが、いかがでしたか。
耳と鼻をつなぐ3.5cmほどの細いくだである 耳管は、しっかり働いてくれないと、困ったことになりますよね。しかしそのためには、やはり私たちが気を付けることはしっかり気を付けて、日常生活を送りたいものです。
鼻や耳の不調を感じたら、早めに診察を受けたり、睡眠や水分を十分とったり、適度な運動で体力、抵抗力をつけたり…
鼻や耳の不調で悩んでいる人は、年々増えています。しっかり対策しましょう。
外から帰ったら、手洗いうがいをしっかりしましょう ^^)