女性の中にもある男性ホルモンの量って、気になりますよね。
これまで、女性のからだの中にあるテストステロンの量は、少ないことは問題にならなくて、多いことはあまりいいことではないと、言われる傾向にありました。
でも実際、正常な値とは、どのくらいなのでしょう。
今回は、女性の中にある男性ホルモンの働きや、量について解説していきます。
この記事の目次
女性のテストステロン量、正常値(基準値)は?
女性のテストステロン量については、世界的に設定されている正常値(基準値)というものはありません。
ですが、これまで日本で、一般的に参考にされていたテストステロンの正常値(基準値)というものがあり、以下の通りです。
血清テストステロン値(総テストステロン値):0.06~0.86 ng/ml
遊離テストステロン(フリーテストステロン)値:
2.7 pg/ml以下(20~29歳)
1.9 pg/ml以下(30~39歳)
1.1 pg/ml以下(40~49歳)
1.0 pg/ml以下(50~59歳)
ご覧のように遊離テストステロンの正常値には、下限値がなく、上限値はかなり低く設定されていました。
つまり、最初にもお伝えしたように、低いのはいいけど、高いのはあまりよくない、ということが読み取れますよね。
ところが近年になって検討されている女性の遊離テストステロンの正常値(基準値)には、次のようなものもあります。
0.72~7.3 pg/ml (20~80歳)
1.2~6.4 pg/ml (30歳代)
随分、上限値が上がっていますね。
ちなみに、女性のテストステロン値は、月経にともない変動することは少ないと言われています。
女性のテストステロン値は低い方がいいの?
女性のテストステロン値はこれまで、低いのは「問題」ではない、と言われてきました。
しかし近年、女性にとってのテストステロンの重要性が見直されてきたのです。
テストステロンの効果
テストステロンが、男性と女性に共通してもたらす効果には、次のようなものがあります。
- 筋肉の成長を促進する効果
- ドーパミンという興奮作用のある神経伝達物質を増やし、性欲を高める効果
- やる気や気力を高める効果
などです。
女性におけるテストステロンは、更年期障害による様々な症状や、閉経後のQOL(Quality of Life:生活の質)の低下をはじめ、無気力や抑うつ等の精神症状の緩和に対し、有効だと考えられています。
テストステロン値を上げるもの
私たちの体内で、テストステロンとして活性しているのは、テストステロンの中の遊離テストステロン(フリーテストステロン)と呼ばれるものです。
女性の遊離テストステロン値は、魅力的な男性を見たり意識したりすることで上昇する、ということが調査の結果明らかにされています。
テストステロン値があがると、生活をするうえで、積極的・活動的な行動や思考につながると言われています。
テストステロン値を上げるためには
テストステロン値をあげるためには、ラブロマンスをテーマにしたドラマや映画を観たり、好きな男性芸能人に夢中になったりのが効果的だと考えられています。
ワクワクする気持ちが、体内の遊離テストステロンを増やし、アンチエイジングや更年期障害の緩和などに期待がもてると言われています。
テストステロン値が高い女性は不妊になりやすい?
女性の不妊症の原因のひとつに、PCOS(多囊胞性卵巣症候群:たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)という、排卵が起こりにくくなる症状があります。
PCOSが起こるのは、肥満や糖質代謝の影響で、黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンに、分泌バランスの乱れが生じるためだと考えられています。
PCOSが起こり、結果的に血液中のテストステロン量が増えると言われています。
女性の不妊とテストステロン
海外では、女性の不妊治療にテストステロンが用いられることがあります。テストステロンを経皮吸収することにより、排卵を誘発させようとするものです。
また、テストステロン値が低くなると、受精卵が子宮内膜に着床するための胚盤胞(はいばんほう)という形態になりにくいとも言われています。
ですが、テストステロン値が高すぎると、妊娠はしにくくなるとも考えられています。
まとめ
女性にとってのテストステロンについて見てきましたが、いかがでしたか。
テストステロンという男性ホルモンは、タイミングや目的によって、多くすることで役に立ったり、多すぎることで問題になったりするものですね。
女性ホルモンが減ってくる年齢になると、テストステロンがそれを補うように増えることで、元気になる女性がいると言われています。
不妊とテストステロンなどのホルモンの関係については、これからの研究・調査にますます期待したいところです。
ホルモンとは、上手に付き合っていきたいですね ^^)