自律神経を整えるのは、私たちが毎日を元気に過ごすために、大変重要なことです。
自律神経のバランスの乱れによるさまざまな症状は、医療機関を受診しても、なかなか解決しないこともあり、つらい思いをしている人も多いです。
自律神経は、さまざまな方法で整えることができます。
今回は、自律神経の整え方をはじめ、食べ物、漢方薬、アロマ、音楽などいろいろとご紹介します。
この記事の目次
自律神経を整える方法
自律神経を整えるための方法は、大きく分けると次の5つです。
- ツボの刺激で自律神経を整える
- 食事中に自律神経を整える方法
- 体の冷えを改善して、自律神経を整える
- 心の持ち方を変えて自律神経を整える
- 自分に向き合って自律神経を整える
それぞれのやり方などを、くわしく解説していきますね。
自律神経を整えるツボの刺激
手や足、耳にはたくさんの、体の器官を投影しているツボがあります。
ツボの刺激は、滞っている血流を改善し、自律神経を整え、反映している臓器に元気を与えます。
自律神経を整える効果のある耳のツボ「神門(しんもん)」
自律神経のバランスが崩れたら、「まず神門を刺激するのがいい」と言われるほど、効果が高いと言われているのが、「神門」と呼ばれるツボです。
神門を耳の裏側と表側から指ではさむように持ち、優しくもんだりさすったりしてみてください。神門の位置は、上の画像を参考にしてくださいね。
もし、気分が悪くなるようでしたら、いったん止めて様子を見ながら少しずつ行っていきましょう。自律神経が整えられる過程で、こうした反応がでることもあります。
続けられるようでしたら、5分くらいマッサージすると効果的です。
自律神経失調症に効くツボ「心包区(しんぽうく)」
自律神経失調症の改善に効果の手のひらのツボが「心包区(しんぽうく)」です。
「心包区」の位置
心包区というツボは、中指の下で、手のひらのほぼ中央にあります。
「心包区」の押し方
親指を心包区に置き、少し強めに3秒ほど押し込みます。押している間は 息を吐きましょう。
手を放したら、ゆっくり息を吸いましょう。
目を閉じて、押している心包区に意識をもっていき、ゆったりとした気持ちでツボを刺激してくださいね。
何回か繰り返し、両方の手を、同じように押すと効果があがります。
「心包区」の効果
心包区の心包には、心臓を包んでいる袋、という意味があります。
心包区の刺激は、緊張状態にある心臓と交感神経をリラックスさせて、自律神経を整える効果があるのですよ。
心包区は、自律神経失調症のほかに、不眠症や多汗、疲れを解消する効果もあります。
心包区は足の裏の中央にもありますので、同じように刺激すると、さらに効果的です。
自律神経失調症に効くツボ「指間穴(しかんけつ)」
「指間穴」(しかんけつ)というツボも、自律神経失調症の改善に効果があります。
「指間穴」の位置
「指間穴」は、指と指の間で、手の甲側にあります。
「指間穴」の押し方
親指と人差し指で、「指間穴」を挟むようにして、刺激してください。
「指間穴」の効果
「指間穴」というツボは、自律神経を整えるほかに、冷え性や体の疲れをとる効果があります。
足の甲の、指と指の間にも「八風(はっぷう)」というツボがありますので、同じように刺激すると、さらに効果的です。
自律神経失調症に効く足裏のツボ
足の親指には、頭の中に関係するツボが集まっており、親指全体をマッサージすることで、自律神経を整える効果があります。
脳内の血行がよくなりますますので、頭の疲れがとれると同時に、体も気分もすっきりしてくるでしょう。
親指が硬い人は、脳に疲れがたまっている傾向にありますよ。
足の親指をマッサージする方法
まず、足の親指全体的を軽くほぐします。手は温めておいたほうがいいでしょう。親指がほぐれてきたら、少し力を入れてさらにほぐしていきましょう。
気分が悪くなったら止めて、様子をみながらゆっくり行ってください。
次に、親指の付け根に、手の親指の腹を当てて、指先の方に向かって、押すように刺激します。両方の足を同じようにしてください。
マッサージの方法が難しいと思ったら、この通りにしなくても大丈夫です。気持ちいいと感じるやり方で、優しくマッサージしてあげてくださいね。
最後に、 肩や首をゆっくり回して、さらに血行を促しましょう。
ツボの刺激は効果がありますので、毎日少しずつでも、続けてやってみてくださいね。
食事中に自律神経を整える方法
食事中はリラックスすることが大切です
簡単すぎて、軽視されがちだけど、とっても大切なのが食事中の心の持ち方です。
食事の時は、自律神経の中の副交感神経が優位になるときで、消化がうまく進むように、調整しています。
副交感神経が働くためには、食事中はリラックスしていることが大切です。
食欲がないときは、無理をして食べる必要はないでしょう。食欲がないということは、内臓がまだ消化の体制に入っていない、ということが考えられます。
お腹がすいてきたら、少しずつゆっくりと、楽しい雰囲気の中で食べるようにして、 副交感神経が働ける状態を作ってあげてくださいね。
よく噛んで食べましょう
食べたものの消化を助けるために、よく噛んで沢山の唾液(だえき)を出すことも、自律神経を整えるためには大切なことです。
一口で30回くらい、かむようにするといいでしょう。
唾液は消化を助けるだけではなく、口の中の菌の増殖を抑えたり、虫歯になりにくくしたり、活性酸素を消去する働きがあるとも言われていますので、さらに自律神経を整える効果があると言えます。
唾液を沢山出すための方法は、ほかにもたくさんご紹介しています。
左右のあごは同じように使いましょう
あごは左右同じように使わないと、ゆがみが出て、頭蓋骨や身体のゆがみにつながる恐れがあります。
身体のゆがみは自律神経にも悪影響を与えるますので、左右のあごは同じように使ってかむようにしましょう。
まっすぐ前を向いて、ご飯を食べることも大切です。テレビを見るなら、テレビを正面にして食べてくださいね。
また、肩や首のコリが、あごの使い方に影響することがありますので、コリがあるなら解消しましょう。
身体のゆがみや、肩こり、首のコリを解消するには、ストレッチが効果的です。こちらで、やり方をご紹介しています。
体の冷えを改善して、自律神経を整える
冷え性を改善しましょう
身体に暖かい血液を運ぶ血管を調整しているのも、自律神経で、冷え性になっていると自律神経の働きを正常に保つことが難しくなります。
冷え性を改善する方法は色々ありますが、筋肉を鍛えて柔軟にしたり、熱を発生させるために、糖質やミネラル、ビタミンなどの栄養素をまめにとることも大切です。
筋肉を鍛えるために、つらい筋トレをする必要はありません。身体の中で一番大きな太ももの筋肉を使う、ウォーキングがおすすめですよ。
お尻の筋肉をほぐしましょう。
お尻の筋肉が固くなることで、血液の流れを悪くし、自律神経に悪影響を与えていることもあります。
お尻には梨状筋(りじょうきん)と呼ばれる筋肉があり、そばには大きな神経が通っています。固くなることで、神経を圧迫したり、下半身の血行を悪くしたりすることがあるのです。
足の後ろを伸ばすストレッチや、梨状筋をほぐすマッサージで、血液やエネルギーのとどこおりを解消し、自律神経を整えましょう。
梨状筋は上の画像の赤い丸の部分です。梨状筋をほぐすマッサージなどをこちらで解説しています。
腹巻をしましょう
自律神経は女性ホルモンなどのホルモンのコントロールもしています。
お腹が冷えたりすると、子宮が収縮して血流が悪くなり、自律神経を乱す原因にもなるのです。
不妊症にならないためにも、汗もが出たりしなければ、一年中腹巻などをして、お腹を温めることをおすすめします。
男性も腸がかたくならないように、腹巻をして大切なお腹を守ってくださいね。
心の持ち方を変えて自律神経を整える
心に負担をかけないようにしましょう
身体にかかる様々なストレスもそうですが、心にかかるストレスは心臓やその他の臓器に負担をかけてしまいます。
精神的にしんどい時は、自分の 身体の健康を最優先に考え、無理をしないで、ストレスのある状況からは、一旦離れるなどしてみましょう。
心の負担をできるだけ軽くして、まずは体力をつけるようにすれば、自律神経も整ってきます。
身体が元気になれば、今まで気になっていたことも、それほど気にならなくなったりしますよ。
夜はゆったり過ごして、ゆっくり休みましょう
入眠体制を作ることが大切です。
睡眠は副交感神経の出番です。
この時に、元気に活動するための交感神経が働くようなことがあれば、自然な睡眠に入っていくことが難しくなり、自律神経を乱す原因にもなります。
夜はできるだけリラックスしていることが大切です。
カフェインなどの刺激物は、身体を緊張状態にしてしまいますので、夜はできるだけ飲まない方がいいですね。
寝る2時間前くらいに炭酸水を飲むことをオススメします。
炭酸水に含まれる炭酸ガスが、身体にたまっている疲労物質と結びつき、体外へ排出してくれることで、疲労回復に役立ちます。
また、炭酸水には血管を広げる作用がありますので、冷え性や肩こりの改善にも役立ちますよ。
炭酸水の効果については、こちらでもご紹介しています。
(ただし、お腹の弱い人は飲まないでくださいね。)
寝る前の糖質の摂取は控えましょう
寝る前の糖質の摂取は出来るだけ控えましょう。糖質をとると血糖値が上がり、上がった血糖値は次にガクンと下がって、下がった血糖値を上げるために次は交感神経が働きだすのです。
寝ているときに交感神経が働きだすと、熟睡もできません。悪夢を見たり、汗をかいたり、歯ぎしりしたりします。
寝る前にお腹がすいたら、お豆腐やチーズといった糖分の少ないものを食べるようにしてくださいね。
関連記事⇒「疲れが取れないのは、寝る前の食べ物に理由が!?」
ゆっくり動きましょう
ふらついたり、めまいがする、または物忘れがひどい、などの症状は、ストレスによる血行の悪さが原因で、自律神経が乱れている恐れがあります。
動きすぎたりしていませんか。
自律神経を整えるために、ゆっくりと行動して、気分を落ち着けることが大切です。
やらなければならないことが多いかもしれませんが、身体の健康を優先して、ゆっくりと動いたり、少し休みを入れたりしましょう。
自分に向き合って自律神経を整える
泣きましょう
涙の中には、ストレスで生じた有毒物質のコルチゾールと言う成分が、含まれています。
人は泣いた時に、このコルチゾールを体外に排出して、身体のストレスを減らしているのです。
感動する映画やドラマを見て、ときには大泣きし、自律神経のバランスを整えましょう。
泣くことは恥ずかしいことではありませんので、悲しいときや嬉しいときには泣いてくださいね。
姿勢を正して、丹田呼吸をしましょう。
背中が丸くなっていたり、肩に力が入りすぎたりすると、呼吸がとても浅くなります。呼吸が浅いと、酸素の供給も充分ではなく、自律神経が十分に働けなくなります。
肩の力を抜いて、自然に胸を開いて、お腹で息をするようなつもりで、呼吸してください。
おへそから、指3本くらい下のところに「丹田(たんでん)」というツボがあります。
ここに 意識をもっていき、ゆっくり出したりへこましたりを、呼吸とともに繰り返してみてください。身体が温まってきて、自律神経が整えられ、気分が落ち着きますよ。
自律神経を整える瞑想しましょう
瞑想の効果には、いまやグーグルやインテルといった大企業が、社内プログラムに取り入れているくらい、素晴らしいものがあります。
能力開発やストレス軽減、不眠症の解消にも効果を発揮しています。
瞑想と言っても、座ってじっとしているばかりではありません。
歩く瞑想や、自分の中の子どもである、インナーチャイルドを認め、癒すといった瞑想もあります。
気持ちが落ち着き、物事にあまりこだわらなくなったりしますよ。
とってもおすすめです。
色んなタイプの瞑想をこちらでご紹介しています。
自律神経を整える効果のある食べ物は?
自律神経を整えるためには、栄養バランスのよい食事を心がけることが大切です。それぞれの栄養素が、バランスよく体内にあることで、よく働いてくれるからです。
ストレスへの抵抗力に強いと言われるビタミンCやB群は、不足しやすい栄養素なので、まめに摂るようにしましょう。
ビタミンCは野菜や果物に、ビタミンBは肉類、レバー、青魚、たまごなどに多く含まれています。
レバーは、貧血を予防し病気への抵抗力を高める効果のある鉄分も多く含んでいます。
不足すると、イライラしやすくなるカルシウムは、小魚や海藻、乳製品などで摂りましょう。
エネルギー不足は、良質のたんぱく質で補いましょう。大豆製品や乳製品、たまご、牛肉、豚肉、鶏肉、いか、マグロ、カツオなどに含まれるたんぱく質には、脳を活性化し神経の働きを改善する効果があります。
自律神経を整える効果のある漢方薬は?
漢方薬には、自然の恵みを利用しておだやかに自律神経を整えていく効果があります。
自律神経に効果のある漢方薬は、15種類以上あり、様々な症状や体質に合わせて用いられることで効果が発揮されます。なるべく医療機関を受診して処方してもらうようにしましょう。
自律神経失調症によく用いられる漢方薬には、次のようなものがあります。
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- 「桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)」疲れやすい、便秘などの症状に効果的
- 「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」疲れやすい、不眠などの症状に効果的
- 「 竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)」不眠、イライラするなどの症状に効果的
- 「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」熱感、イライラするなどの症状に効果的
- 「釣藤散(ちょうとうさん)」頭痛、めまいなどの症状に効果的
- 「加味逍遙散(かみしょうようさん)」ほてり、疲労、生理不順、冷え性などの症状に効果的
などです。
すでに「自律神経失調症」と診断されていらっしゃるなら、心療内科を受診されるのもいいでしょう。
自律神経を整える効果のある音楽は?
心地よいと感じる音楽には、心をリラックスさせるアルファ派を増やす効果があります。
毎日、あるいは数日に1回、あなたにとって心地いいと感じる音楽を聞きましょう。
もし、どれがいいのかわからない、ということでしたら「モーツァルト」をおすすめします。
モーツァルトの音楽には、癒し効果の高い曲が多いと言われているのですよ。
モーツァルトの音楽がいい理由や効果的な聞き方などは、こちらで解説しています。
自律神経を整える効果のあるアロマは?
香りの効果は、脳の自律神経をコントロールしている部分に、直接働きかけることができると言われています。
自律神経を整える効果のある香りは、自分にとって心地よいと感じる香りで、人によって異なりますが、一般的によく用いられるアロマには、次のようなものがあります。
- 「ラベンダー」神経痛、イライラ、不眠、頭痛、ニキビなどの緩和に効果
- 「ローズマリー」低血圧、無気力、記憶力低下の緩和に効果
- 「グレープフルーツ」リンパ液のとどこおり、落ち込み、ニキビ、オイリー肌の緩和に効果
- 「ゼラニウム」月経前症候群、リンパ液のとどこおり、うつ、セルライトなどの緩和に効果
- 「ローズオットー」生理痛、更年期障害、不安、敏感肌、乾燥肌などの緩和に効果
- 「フランキンセンス」呼吸器系の感染症、不安、強迫観念、しわなどの緩和に効果
などです。
まとめ
いかがでしたか。
自律神経を整えるための、簡単にできる方法をいろいろご紹介しました。
身体の調子は私たちの気分に影響します。
体調が悪いと、落ち込んだり、ネガティブな考えに陥ったりすることがありますよね。
そんなことにならないように、簡単なことから始めて、自律神経を整えていきましょう ^^)