「超える」と 「越える」は日常よく使う言葉ですが、使い分けに迷うことってありますよね。
「二十歳をこえる」などの年齢に使う場合や、「30℃をこえる」などの温度に使う場合は、どちらを使えばいいのでしょうか。
今回は、「超える」と 「越える」の違い、使い分けについて解説していきます。
「国境をこえた愛」は、どちらを使うのでしょうね。
この記事の目次
「超える」と 「越える」それぞれの意味は?
「超える」と「越える」の違いをみるために、まずはそれぞれの意味を確認しておきましょう。
「超える」の意味は?
「超える」には、
一定の範囲や基準、目標、限度、限界、制限、予想、想像、理解、定員、枠などを上回る、
という意味があります。
「越える」の意味は?
「越える」には、
一定の地点や時期を通り過ぎて、向こうへ行く、その先へ進む、
という意味があります。
理解しやすいように、それぞれの使い方例をご紹介します。
「超える」の使い方例
「超える」の使い方には次のようなものがあります。
- 90歳を超える(年齢)
- 40度を超える熱(温度)
- 今日は、20℃を超えた(気温)
- 8時間を超える手術(時間)
- 100万円を超える(金額)
- 1万人を超える
- 限界を超える
- 平均値を超える
などです。
なお、「超す」も同じように使います。
- 10万人を超す
- 度を超す
などです。
下の「文化審議会国語分科会」の「異字同訓の使い分け例」の資料もよかったら参考にしてください。
「越える」の使い方例
次は「越える」の使い方です。
- 峠を越える
- 山を越える
- 障害物を越える
- 国境を越える
- 難関を乗り越える
- 花も嵐も踏み越える
- 権限を越える
などです。
なお、「越す」も同じように使います。
- 冬を越す
- 引っ越す
- 繰り越す
- 追い越す
などです。
下は、「文化審議会国語分科会」の資料です。
「国境をこえた愛」は?
ところで、 「国境をこえた愛」はどちらを使うのでしょう。
意味からすると、国境という地点をこえるのだから、「越える」ですよね。
でも、「超える」が使われることもあるのです。
物理的な意味合いでは「越えた」を使いますが、
もっと広い、抽象的な意味合いで、「枠を超える」と表現したいときに「超えた」が使われるのです。
なんだか、ロマンチックですよね。
比喩的表現の場合
「超える(超す)」と 書くところを「越える(越す)」を使って、比ゆ的に表現されることもあります。
ある年齢に達した場合には一般的に、
「60を超す」
と表現されますが、
比ゆ的な表現を使って
「60の坂を越す」
なんて、書かれることもあります。
書く人の、 持たせたい意味によって、使う字に違いが出る、ということですね。
まとめ
いかがでしたか。
「超える」と「越える」の使い分けには、微妙な違いがありますよね。
私たちがよく使う、 年齢や金額、温度や時間に関しては、「超える」を使うのが一般的です。
引っ越しや繰り越しには、「越」が使われていることをよく目にするのではないでしょうか。
もう一度、意味をおさらいしておくと、
「超える」は、 一定の範囲や基準を上回る、という意味です。
「越える」は、 一定の地点や時期を通り過ぎて、向こうへ行く、という意味です。
「対象」と「対照」と「対称」の違い
「型」と「形」の違いと使い分け
「ずつ」と「づつ」の違い?
2つの字を組み合わせて「超越」(ちょうえつ)という熟語がありますよね。
普通の程度をはるかに超える、という意味と、「利害を超越する」に見るように、 そのことを気にしない、という意味の2つがありますよ^^