ニキビの原因には、皮脂などがつまっている毛穴の中で、アクネ菌が炎症をおこす、ということを知っている方も多いでしょう。
でもじつは、”それだけではない”ということが、わかり始めています。
根本的な原因がわからなければ、ニキビを早く治したり、ニキビができる前に予防したり、ニキビ跡を消したり、ということができませんよね。
今回は、ニキビの原因についてくわしく解説していきます。
ニキビのできる場所や年齢の違いによっても、原因に違いがあったりします。
ニキビの原因ってなに?
ニキビの原因には、男性ホルモンの作用による多すぎる皮脂の分泌や、皮脂腺(ひしせん)のある毛穴のつまり、アクネ菌の増えすぎ、などが言われていますが、それだけではなく「活性酸素による皮脂の酸化」が、そもそものニキビの原因ではないか、と注目されています。
皮脂が酸化するとどうなるの?
皮脂の成分のひとつ「スクアレン」が酸化すると、ニキビの第1段階である、毛穴のつまりを引き起こしたり、 皮膚に炎症を起こす「サイトカイン」という物質を作り出したりする、と言われています。
スクワレンには、からだじゅうに酸素を運ぶ働きがあり、新陳代謝を活性化したり、血液を浄化したりという、重要な役割があります。
皮脂が酸化しやすい原因はなに?
皮脂が酸化を起こしやすい原因には、次のようなことがあると言われています。
- 細胞膜を構成するなど、からだに必要不可欠なリノレン酸などの必須脂肪酸(ひっすしぼうさん)の不足。
- 表皮脂質(垢に含まれる油分)の不足。(天然保湿因子や、角質細胞間脂質など)
- 皮膚のバリア機能の低下
などです。
ニキビの原因、皮脂の酸化を防ぐには?
ニキビの原因である皮脂の酸化を防ぐためには、活性酸素を取り除く必要があり、有効な物質に「アスコルビン酸」があります。
「アスコルビン酸」には、いくつかの種類があり、中でも皮膚の奥に浸透して、ニキビ肌を改善する効果のあるものに、「リン酸ビタミンC」があります。
「リン酸ビタミンC」ってなに?
「リン酸ビタミンC」は「ビタミンC誘導体」とも呼ばれ、皮膚の中に侵透しやすい特徴があります。
さらに「リン酸ビタミンC」は、皮膚から吸収され、表皮と真皮まで到達したあとに、リン酸が離れて純粋な「ビタミンC」にかわるのです。
皮膚内に浸透した「ビタミンC」は、活性酸素をとらえて除去するように働く、というわけです。
ビタミンをニキビの改善に活かす方法などについては、こちらでも詳しく解説しています。
「リン酸ビタミンC」には、ニキビが治ったあとに残る、赤みや色素沈着、ニキビ跡(痕)を改善する効果もあると言われています。
ニキビのできる場所によって、原因は異なるの?
ニキビは、できる場所によってその原因が異なることもあります。
おでこやこめかみ、眉間(みけん)、顎(あご)を含めたフェイスライン、鼻の下、頬、背中にできるニキビの原因について解説します。
おでこやこめかみ、眉間のニキビ、原因は?
おでこや眉間は、初めてニキビができる場所であることが多く、毛穴がつまりやすく、思春期ニキビの特徴でもあります。
こめかみやおでこ、眉間は、髪の毛が当たって刺激になっていたり、髪の毛についているトリートメントやリンスといったヘアケア用品の成分が、肌に炎症を起こす原因になっていたりすることもあります。
また、髪の毛の生え際は、化粧落としが不十分であったり、クレンジング剤や洗顔料のすすぎ残しがあったりして、ニキビの原因になることもあります。
顎(あご)、フェイスライン、頬、鼻の下のニキビの原因は?
あごやフェイスラインのニキビは、20歳以降に生じることが多く、頬づえをつく癖があり、手でよく触っていたり、服のえり、化粧などが原因になっていたりすることが多いと言われています。
よく触るところでいえば、頬や鼻の下などは、こすったり、ひっかいたり、触ったりすることが多く、ニキビの原因になります。
鼻の下は、洗顔のすすぎ残しが原因になることも多いと言われています。
背中のニキビの原因は?
ニキビは、脂腺性毛包(しせんせいもうほう)という毛包(毛穴)で起こります。
毛包には3種類あり、うぶげがはえる毛包と、髪の毛などの大きな毛がはえている毛包と、ニキビができやすい脂腺性毛包です。
脂腺性毛包には、大きな皮脂腺(ひしせん)があり、毛は短く、毛穴の出口がつまりやすい性質があります。
脂腺性毛包は、顔のほかに、デコルテ(胸の上)と背中に多く存在していますので、ニキビもこの場所にできることが多いのです。
背中にニキビができやすい原因はほかに、髪の毛による刺激や、シャンプーやリンスなどの成分がついてしまっていること、などもあります。
ニキビの原因は、年齢によって異なるの?
ニキビの原因は、年齢によっても異なることがあります。
思春期ニキビの原因
思春期ごろに発症する思春期ニキビの原因については、「思春期ニキビの原因や治し方」で詳しく述べていますが、ホルモンの影響で皮脂が多く出るのに対し、毛穴が未発達なためにつまってしまうことが多いのです。
大人ニキビの原因
大人ニキビの原因は複雑で、ストレスがホルモンの分泌を調整している「自律神経」の機能を低下させていたり、男性ホルモンの分泌が多すぎたり、肌の乾燥だったりと様々です。
なかなか治らない大人ニキビに関しては、こちらで詳しく解説していますので、参考にしていただければと思います。
ニキビ?の原因はほかにも
もしかしたら、あなたのニキビは、ニキビではないかもしれません。
ここから解説するものは、症状はニキビによく似ていますが、厳密にいえばニキビではない「痤瘡(ざそう)」で、ニキビとは分けて考えられています。
痤瘡には次のようなものがあります。
男性ホルモン性痤瘡
女性でも男性でも、男性ホルモンが過剰に分泌されることが原因で発症するざ瘡です。
化粧品痤瘡
化粧品の成分が原因になるざ瘡です。25歳以降の女性に多いと言われています。
ひっかき痤瘡
心因性であることが多く、ひっかいたり触ったりすることで、炎症が長引き、皮膚も厚くなって、色素沈着が起こることもあります。
カンジダ性痤瘡
カンジダ菌の感染により生じるざ瘡です。顔に赤ニキビのような症状がでます。
ニキビの種類については、こちらを参考にしていただければと思います。
マラセチア毛包炎(もうほうえん)
マラセチア菌によるざ瘡で、高温多湿の夏期によくあらわれます。
マラセチア毛包炎については、こちらで詳しく解説しています。
毛包虫性痤瘡(もうほうちゅうせいざそう)
通称ニキビダニと言われ、中年以降の女性に、鼻を中心に生じることが多いです。かゆみをともなうこともあります。
集族性痤瘡(しゅうぞくせいざそう)
集族性痤瘡は、ニキビの重症型とする考え方もあります。首や背かな、デコルテに多く発症します。
劇症痤瘡(げきしょうせいざそう)
ざ瘡の中で、もっとも重症のもので、発熱や関節痛をともなうこともあります。
顔よりもデコルテに、丘疹のできることが多く、黄ニキビのような症状で、痛みをともなうこともあります。
pyocderma faciale( 顔面膿皮症:がんめんのうひしょう)
女性の顔面に急に発症する、原因不明のまれな疾患です。赤ニキビのような症状や、大きなしこりができることがあります。
壊死性痤瘡(えしせいざそう)
丘疹の中央部が壊死(細胞が死滅)するざ瘡で、大人の頭や顔に繰り返し生じます。
酒皶性痤瘡(しゅさせいざそう)
毛細血管の拡張により皮膚が赤くなるざ瘡で、中年以降の男女の顔に生じます。
老人性痤瘡
日光や風雨にさらされることが原因とみられる、老人性のざ瘡で、高齢者の眼の周りに特に多く生じます。
夏期痤瘡
春に発症し、夏に最も症状があらわれ、秋になると自然に消失するざ瘡で、首や肩、二の腕に、かゆみをともなうドーム状(半球)の丘疹が出ることが多いと言われています。
ステロイド痤瘡
副腎皮質ホルモンの全身投与により、2、3週間後、急に発症します。顔やデコルテに、紅色丘疹(こうしょくきゅうしん:赤ニキビのようなもの)、膿疱(のうほう:黄ニキビのようなもの)が生じます。
ハロゲン痤瘡
ヨード、ブロム、クロルを含むハロゲン化合物が原因で発症するざ瘡です。赤ニキビや黄ニキビのような症状が出ます。
抗結核剤による痤瘡
抗結核剤が原因で生じるざ瘡です。黒ニキビや赤ニキビのような症状がでます。
油性痤瘡
機械油などが原因で発症するざ瘡です。初期症状は、黒ニキビのような症状が多く出ます。
タール痤瘡
コールタールを使用する仕事をしている人が、発症しやすいざ瘡です。黒ニキビのような症状がでます。
まとめ
ニキビや、ニキビのようなざ瘡の原因について見てきましたが、いかがでしたか。
顔などの皮膚に、ニキビなどの丘疹ができる原因には、じつにさまざまなことがあります。
ニキビの詳しい原因も、徐々にはっきりとわかってきています。いずれにしても、ニキビなどの皮膚のトラブルを改善する画期的な方法が、一日でも早く見つかることを期待したいですね。
活性酸素は、要注意ですね!